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分子【ぶんし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

分子
ぶんし
molecule
物質に固有な性質をそなえた最小粒子。物質は分子の集合体であり,分子をさらに分割すると,その物質の性質を失った粒子になってしまう。分子の存在は 1811年 A.アボガドロによって仮説として提唱されたのが始りである。分子は原子からできており,1個の分子を構成する原子の数は1~数百個に及ぶ。高分子化合物では1個の分子が数千から数百万個に及ぶ原子からできているものがある。気体物質の分子は,空間を自由に動き回っており,液体物質ではある限られた空間を動き回っている。分子性結晶では分子は規則正しく配列されている。またイオン結晶共有結合結晶では,物質構成の最小単位は分子ではなくイオンや原子であり,結晶自身が1つの巨大分子とも考えられ,分子の概念が不確定になる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

分子
特定の物理化学的性質を示す原子、またはその結合体の最小単位のこと。1個の原子でも化学的に不活性で独立の粒子として振る舞う希ガス原子は分子である。同種の原子が化学結合で結び付いた分子もある。また二酸化炭素のように異なる原子の組み合わせからなる化合物もある。分子の大きさを示す尺度として相対的質量である分子量が用いられる。分子量は、その分子を構成する原子の原子量の和に等しい。分子量がおよそ1000以上のものは、特に高分子と呼ばれる。たんぱく質など数十万以上の分子量を持つものもある。単体または化合物を構成する分子の組成を表すには、成分元素記号に1分子中に含まれている原子の数を付記した分子式が用いられる。例えば水素の分子式はH^2、水はH^2O、メタンはCH^4など。
(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

ぶん‐し【分子】
原子の結合体で、その物質の化学的性質を失わない最小の構成単位。一つの原子よりなる単原子分子ヘリウムなど)、二原子分子(水素酸素窒素など)、三原子分子(水・二酸化炭素など)から、数千~数万の原子よりなる高分子まであり、主に共有結合で結び付いている。
団体を構成している各個人。集団の構成員。成員。「不平分子を除く」
ある性質や様相を形成している一部分。
「変化は則ち文学以外の―なり」〈子規・芭蕉雑談〉
分数または分数式で、割られるほうの数や整式。⇔分母

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ぶんし【分子 molecule】
分子は物質としての機能をもった最小の構成単位で,一般には安定である。分子は原子が化学結合してつくられ,その種類は600万以上に及び,毎年,数十万種の分子が新しく合成されたり,単離されている。英語のmoleculeはラテン語の〈量〉とか〈塊〉を意味するmolesと縮小辞のculaとを結びつけて物質固有の特性をもつ最小単位粒子を意味し,分子概念の本質をよく示している。
[分子概念の成立]
 錬金術時代を経たヨーロッパにおいては,哲学的で空想的な物質構成単位としての元素の概念が時代とともに科学的な言語となりつつあった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

分子
ぶんし
molecule

原子が結合して生成した物質の基本構成単位。

[岩本振武]

歴史

1811年イタリアのアボガドロは、当時広く認められるようになったドルトンの原子説に対し、水素や酸素の単体が原子1個からなるのではなく、水素と酸素が反応して生じた水の分子も、水素原子1個と酸素原子1個からなるのではないことを主張し、水素、酸素はそれぞれ2個の原子が結合した分子をつくり、水の分子は水素原子2個と酸素原子1個が結合したものであるとの仮説を提出した。これが現代の分子像の最初の提案である。その仮説の正しいことは、1860年ドイツのカールスルーエで開かれた第1回万国原子量会議でアボガドロの後輩にあたるカニッツァーロの力説によって、ようやく化学者たちの支持を受けるようになった。そこで初めて原子量の正しい数値の算出が可能となり、この会議に出席していたロシアのメンデレーエフが、のちに元素の周期律を提出することになるのである。

 同じころ、フランスのパスツールは酒石酸塩の光学異性体を分割し、オランダのファント・ホッフとフランスのル・ベルは有機化合物の光学異性体の構造と旋光能との関係を調べて、炭素が正四面体の中心から頂点の方向に結合の手を伸ばしている構造モデルを提案し、ドイツのケクレはベンゼン分子が正六角形に連結した炭素原子の環状構造をもつことを提案した。また、当時知られていた化合物のほとんどが簡単な整数比となる原子組成をもっていたため、すべての物質が単純な分子を基本単位としているとも考えられていた。

 20世紀に入り、X線回折法をはじめとする分子構造の決定法が発達し、熱力学的な諸量における分子(モル概念)と実際の分子との対応もつけられるようになった。その結果、通常の純物質の分子は一定種類の原子がそれぞれ正確に勘定できる一定個数だけ集合し、一定の結合順序によって構成されたものであることが明らかとなった。アボガドロが考えた分子はこれに相当するので、この種の分子をアボガドロ分子ということがある。これに対し、イオン結晶や金属結晶では、イオン結合や金属結合が結晶全体に及んでおり、比較的少数の原子からなる独立した分子は存在せず、あえて分子というならば、結晶全体が一つの巨大な分子を構成していることになる。そこで、この種の分子を巨大分子ということがある。

 一方、タンパク質やセルロースなどの高分子がきわめて分子量の大きな重合体であり、構成要素である単量体分子の単なる集合体ではないことが広く認められたのは1930年代のことであった。高分子は主として有機系、巨大分子は主として無機系の物質に使われる用語であるが、両者の間に本質的な差はない。

[岩本振武]

分子概念の拡張

狭義の分子は複数の原子からなる電気的に中性な化学種であるが、分子運動や分子構造を論ずるときには原子やイオンを含むことも多い。気体分子運動論におけるもっとも簡単な分子は、分子回転や分子内での振動の寄与がない単原子分子である。現実には、希ガスの分子がこれに相当する。硫酸イオンのような多原子イオンや錯イオンの構造と分子構造との間には、電荷の有無を除けば本質的な差はない。たとえば、テトラヒドロホウ酸イオンBH4-、メタンCH4、アンモニウムイオンNH4+は、いずれも正四面体型の分子構造をもつ。電解質水溶液では、各イオンはそれぞれ独立した化学種として挙動し、電荷をもつ分子として扱うことができる。モル概念から誘導された物質(の)量は、物理・化学における基本単位の一つであり、単位名称はモル、単位記号molで示される。12C(質量数12の炭素原子)の0.012キログラムと同数の粒子を含む物質の量が1モルであるが、分子、イオン、原子、その他の基本的粒子のいずれであるかを問わず、アボガドロ定数個の集団が1モルとなる。1モル当りの熱力学的諸量の取扱いにおいても、分子、原子、イオンに対する区別はほとんどない。

[岩本振武]

分子構造

もっとも簡単な構造をもつ分子は単原子分子であり、希ガス分子がその例となる。二原子分子は直線状であり、水素、窒素、酸素、塩素などその例は多い。三原子分子の二酸化炭素CO2は直線状であるが、水分子H2OはV字状である。アンモニアNH3は窒素原子を頂点とする三角錐(すい)の形となるが、リンの分子P4は各リン原子が頂点となる正四面体形である。アンモニア分子の三角錐も四面体形ではあるが、正四面体形ではない。BH4-,CH4,NH4+では、正四面体の中心にB、C、Nの各原子が位置し、各頂点にH原子が位置する。錯イオン[CoCl42-も正四面体形であるが、[Ni(CN)42-は正方平面形である。ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸イオン[Fe(CN)63-も六フッ化硫黄(いおう)SF6もともに正八面体形である。ドデカボラン(12)酸イオンB12H122-は正二十面体の各頂点をB原子が占め、中心から頂点を結んだ線の延長上にH原子が位置する対称性の高い構造をもつ。

[岩本振武]

分子集合体

自然化学においては、なるべく精製された物質を用いて精密な実験を行い、その結果をなるべく単純化されたモデルによって理論的に説明する方法論が一般に採用されている。物理学、化学にとくにその傾向が著しい。しかし、天然に存在する物質系や人工的に合成される材料物質の多くはけっして単純な物質種ではなく、さまざまな化学種(分子、原子、イオンなど)が集合したものである。それらの理解は個々の分子に関する情報を正確に把握し、総合することによって可能となるとされており、分子集合体の物理・化学は今後の発展が期待される研究課題となっている。

[岩本振武]

『日本化学会編『分子集合体――その組織化と機能』(1983・学会出版センター)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ぶん‐し【分子】
〘名〙
① 分け前。〔水滸伝‐第二四回〕
② 原子が結合して固有の化学的性質を示す集合体。物質がその化学的性質をもつ最小単位とみなされる。
※暦象新書(1798‐1802)中「諸質の分子〈質の分子は、聚て質を成せる者を云り、気は又質を積て生ずるが故に、気の分子は質也〉」
③ 分数1/bや分数式における a や f(x) のこと。⇔分母
※東海一漚集(1375頃)四「天九地十、二終之数、日法之母也、日月相去事十九分之七故以十九分母七為分子」 〔算法統宗‐衰分章・通分子母差分法〕
④ 団体を構成している各個人。成員。また、ある性質や様体を形作る一部分。
※雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「封建の分子は最も立憲政体に妨害あることを知るべからず」

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

分子
ブンシ
molecule

物質の化学的性質を備えた最小単位.種々の原子の結合によってできている.構成する原子の数に従って,単原子分子,二原子分子,三原子分子などという.原子数が数千,数万に及ぶときは高分子という.分子の概念はA. Avogadro(アボガドロ)によって1811年に提出された.その後,気体分子運動論が発展し,気体分子の大きさは,球とみなしたとき,直径が 10-8 cm 程度であろうと推定されていた.しかし,その実在が証拠づけられたのはA. Einstein(アインシュタイン)やJ.B. Perrin(ペラン)らのブラウン運動の研究によってである.現在では特殊な電子顕微鏡を使って拡大写真を撮り,視覚化することもできるようになった.分子を構成する原子間の結合距離,結合角など,いわゆる分子構造は各種の分光学的方法によって推定することができ,その結合様式は量子力学によって理論的に説明できるようになった.水素分子についてのハイトラー-ロンドンの理論はその先駆をなすものである.しかし,測定によって得られた結合エネルギーの値を量子力学で定量的に計算することは数学的に困難なため,ごく限られた分子について以外は成功していない.イオン結晶や金属結晶では,構成しているイオンや原子が同等な結合で無限につながっているので,これらの固体で分子という用語を使うのは不適当である.あえて名づけるとすれば,結晶全体を一つの巨大分子とよぶことができる.その点,分子性結晶では,分子間の相互作用が,分子内の原子間の結合をつくっている相互作用よりはるかに小さいので,気体分子と同じように,結晶中の分子を考えることができる.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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