@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

前葉体【ぜんようたい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

前葉体
ぜんようたい
prothallium
原葉体ともいう。シダ植物胞子発芽して形成される植物体。これは有性世代すなわち配偶体であるので,造精器および造卵器を生じる。多くのシダ類では,前葉体は薄い1~2層の細胞から成る心臓形,横径数 mmないし 10mmの葉状であるが,スギナなどのものは多くの分岐をもち,ヒカゲノカズラ,ハナワラビなどのものは不規則な円筒状である。前葉体には雌雄同体のもの (一般のシダ類) と雌雄異体のもの (スギナ,クラマゴケ類,ミズニラ,サンショウモ,アカウキクサ) とがある。特にミズニラ,サンショウモ,アカウキクサの雄の前葉体は退化している。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

ぜんよう‐たい〔ゼンエフ‐〕【前葉体】
シダ植物の配偶体胞子の発芽したもので、ふつう緑色の平たい心臓形で大きさは約1センチ、裏面に造精器と造卵器をつける。扁平体。原葉体

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

ぜんようたい【前葉体 prothallus】
シダ類の配偶体のうち,扁平な緑色の葉状をして独立生活を営むもの。多くは心臓形。シダの植物体(胞子体)の前世代のもので,葉状体のような構造をもつことからこの名がついた。コケシノブシシランの仲間のように糸状帯状のものなどもある。シダ類の配偶体にはハナヤスリカンザシワラビの仲間のように地中にあって棒状塊状で葉緑体をもたず菌類を内生するものもあり,このようなものは前葉体といわないこともある。心臓形の前葉体では,中央部(褥(じよく))は厚さ数細胞,その他は1細胞である。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

前葉体
ぜんようたい

シダ植物の配偶体のことで、原葉体ともいう。前葉体は、胞子の発芽によって形成され、これから胞子体、すなわち葉が発生するので、前(原)葉体の名がある。大多数のシダ植物では、胞子が胞子体から離れたあとに発芽するので、前葉体は胞子体とは独立して生活することになる。少数の例外を除き、前葉体は地上生活をして、葉緑体を有し光合成を行う。前葉体は一般に短命で、次世代の胞子体がある程度成長すると枯死する。多くのシダ類の前葉体は薄いハート形で、通常、数ミリメートル程度の大きさであるが、リボン状、糸状のものもある(コケシノブ科、シシラン科)。

 一般的な前葉体(ハート形)のつくりは、次の七つの部分からなっている。(1)褥(じょく)(前葉体の中央部に位置し、数層の細胞からなり、生殖器を生じる部分)、(2)翼(よく)(褥の両側へ張り出した一層の細胞からなる部分)、(3)仮根(かこん)(前葉体の基部、および糸状体に生じる細長い細胞で、葉緑体を欠き、根と同様の機能をもつ)、(4)成長点(ハート形の凹部で、細胞分裂を繰り返す)、(5)糸状体(前葉体基部にある細胞が一列に並んだ部分)、(6)造卵器(褥の最厚部に生じ、葉緑体を欠く)、(7)造精器(褥の基部、翼上、または翼縁に生じ、葉緑体を欠く)。

 同型胞子シダの前葉体は、通常、雌雄同株(造卵器と造精器が同一の前葉体上に生ずるもの)であるが、トクサ科では雌雄異株のものもある。また、実験的培養下では、元来、雌雄同株のものでも、培養条件によって造精器のみを生じる前葉体ができることがある。マツバラン、ヒカゲノカズラ、ハナヤスリなどの前葉体は、塊状で葉緑体を欠き、菌根性で地中生活をするものが多い。異型胞子シダの前葉体は、著しく退化しており、雌性・雄性前葉体とも胞子の殻中で発達する。

[安田啓祐]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ぜんよう‐たい ゼンエフ‥【前葉体】
〘名〙 シダ植物の配偶体。ふつう心臓形の緑色葉状で、裏面に造精器と造卵器とを生ずる。種類によっては塊状・糸状などをなし、葉緑体を欠いて菌類と共生するものもある。原葉体。扁平体。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

前葉体」の用語解説はコトバンクが提供しています。

前葉体の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation