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前野良沢【まえのりょうたく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

前野良沢
まえのりょうたく
[生]享保8(1723)
[没]享和3(1803).10.17. 江戸
江戸時代中期の蘭学者,医学者。名は熹,字は子悦,号は楽山,蘭化。良沢は通称。幼くして父母と死別し,叔父宮田全沢に育てられた。 47歳にして蘭学を志し,青木昆陽についてオランダ語を学び,さらに翌年長崎に遊学。明和8 (1771) 年骨ケ原 (小塚原) で,杉田玄白らと刑死体の解剖を見学したのがきっかけで J.クルムスの解剖書『ターヘル・アナトミア』を同志とともに翻訳,3年半で『解体新書』を完成したが,みずからは名前を出さなかった。著訳書に『管蠡秘言』『和蘭訳筌』『和蘭築城書』『輿地図編小解』『西洋画訳文稿』『仁言私説』『和蘭訳文略』『蘭語随筆』『魯西亜本紀』などがあり,洋学の普及に力を尽した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

まえの‐りょうたく〔まへのリヤウタク〕【前野良沢】
[1723~1803]江戸中期の蘭学者医者。名は達。豊前(ぶぜん)中津藩医。青木昆陽に師事してオランダ語を学ぶ。杉田玄白らとのオランダ語版「ターヘル‐アナトミア」(解体新書)の翻訳で指導的役割を果たした。

出典:小学館
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus

前野良沢 まえの-りょうたく
1723-1803 江戸時代中期-後期の蘭学者,蘭方医。
享保(きょうほう)8年生まれ。豊前(ぶぜん)中津藩(大分県)藩医前野東元の養子。青木昆陽(こんよう),吉雄耕牛(よしお-こうぎゅう)らにオランダ語をまなぶ。明和8年杉田玄白(げんぱく)らと刑死者の解剖を参観して「ターヘル-アナトミア」の翻訳を決意し,「解体新書」を刊行にみちびいた。門弟に大槻玄沢(おおつき-げんたく),江馬蘭斎(えま-らんさい)ら。享和3年10月17日死去。81歳。本姓は谷口。名は熹(よみす)。字(あざな)は子悦。号は楽山,蘭化。著作に「和蘭訳筌(オランダやくせん)」など。
【格言など】経営漫費人間力,大業全依造化功(経営みだりについやす人間の力,大業はすべて造化の功による)(自画像の賛)

出典:講談社
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書籍版「講談社 日本人名大辞典」をベースに、項目の追加・修正を加えたデジタルコンテンツです。この内容は2015年9月に更新作業を行った時点での情報です。時間の経過に伴い内容が異なっている場合がございます。

世界大百科事典 第2版

まえのりょうたく【前野良沢】
1723‐1803(享保8‐享和3)
江戸中期の蘭学者,蘭方医。杉田玄白ら江戸蘭学グループの《解体新書》翻訳事業の顧問格として,江戸蘭学勃興期に指導的役割を果たした。名は熹(よみす),字は子悦,号を楽山また蘭化といい,良沢は通称。本姓は谷口氏。幼くして孤児となり,伯父の淀藩医宮田全沢に養育され吉益東洞流の古医方を修め,縁続きの豊前中津藩医前野家の養嗣子となって江戸に住んだ。オランダ語の手ほどきを青木昆陽に受けたが,その時期には数説(46歳,43歳,あるいはそれ以前)があって確定をみていない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

まえのりょうたく【前野良沢】
1723~1803 江戸中期の蘭学者。豊前ぶぜん中津藩医の子。江戸生まれ。号は楽山・蘭化、良沢は通称。中津藩の医官。青木昆陽にオランダ語を学ぶ。杉田玄白・中川淳庵・桂川甫周らとの「解体新書」翻訳に指導的役割を果たす。著「和蘭訳筌」

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

前野良沢
まえのりょうたく
(1723―1803)
日本洋(蘭(らん))学の開祖。中津藩医。名は達、諱(いみな)は熹(よみす)(余美寿)、字(あざな)は子悦・子章、通称を良沢、号は楽山。なお別号蘭化は、藩侯が良沢のオランダ語研究の熱心さを庇護(ひご)し戯れに和蘭の化け物と称したことによるもの。1723年(享保8)筑前(ちくぜん)藩士谷口新介の子として江戸牛込矢来(うしごめやらい)に生まれた。幼時、父を亡くし母に去られ孤児となり、山城(やましろ)国(京都府)淀(よど)藩医官で伯父の宮田全沢(『医学知律』の著者)に育てられた。宮田は「他人が捨てて顧みないようなことに愛情をもち、世に残すよう心がけよ」と説き聞かせた。良沢はやがて中津藩医前野東元の養子となり、吉益東洞(よしますとうどう)流医学を修めた。一方宮田の訓育方針に従い、当時すでに廃れかかっていた一節切(ひとよぎり)の竹管器に習熟し、さらに猿若狂言(中村座の家狂言)の稽古(けいこ)にも通っていた。オランダ語の学習も当時では珍奇に属することであったが、同藩の坂江鴎(さかこうおう)に蘭書の残編を見せられたがわからず、同じ人間のすることがわからぬことはないと志をたてたのが始まりという。1769年(明和6)『和蘭文字略考』の著をもつ青木昆陽の手ほどきを受け、翌1770年長崎へ赴きオランダ通詞吉雄幸左衛門(よしおこうざえもん)(耕牛)・楢林栄左衛門(ならばやしえいざえもん)(1773―1837)・小川悦之進らについて学び、『マーリン字書』や解剖書『ターヘル・アナトミア』などを購求し江戸に帰った。江戸参府のカピタンや商館医を宿舎長崎屋に訪ねもした。1771年3月4日江戸千住小塚原(こづかっぱら)での死刑囚の腑分(ふわ)けを杉田玄白(げんぱく)・中川淳庵(じゅんあん)らと参観、ヨーロッパ人の解剖書の図の正確さを認め翻訳を決意、翌日から築地(つきじ)鉄砲州の中津藩邸内の良沢役宅で開始。知識・年齢に先行する良沢が盟主に推され、自作の『蘭訳筌(せん)』を同志に示しながら推進、1774年(安永3)8月『解体新書』全5冊を公刊した。しかし良沢は自分の名を出すことを拒否。訳後、同志と離れオランダ語学研究とオランダ書翻訳に専念した。語学書『蘭語随筆』『字学小成』『和蘭訳文略』『和蘭訳筌』などのほか、天文書『翻訳運動法』『測曜(ぎ)図説』、カムチャツカについて『東砂葛記』、ロシアの歴史『魯西亜(ロシア)本紀』『魯西亜大統略記』、『和蘭築城法』、良沢の識見を随所にみせるヨーロッパの諸事項の評書『管蠡秘言(かんれいひげん)』など、諸学啓蒙(けいもう)訳書を著した。また、高山彦九郎や最上徳内(もがみとくない)と交流し、大槻玄沢(おおつきげんたく)、江馬蘭斎(えまらんさい)(1747―1838)、小石元俊らの指導にもあたった。享和(きょうわ)3年10月17日没。墓は東京都中野区の慶安寺。1893年(明治26)正四位を贈られた。[末中哲夫]
『岩崎克己著『前野蘭化』(1938・私家版/全3巻・平凡社・東洋文庫)』

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精選版 日本国語大辞典

まえの‐りょうたく【前野良沢】
江戸中期の蘭方医。豊前国(大分県)の人。本名熹(よみす)、字(あざな)は子悦、号は楽山。良沢は通称。中津藩の医官。青木昆陽にオランダ語を学び、「ターヘル‐アナトミア(解体新書)」の翻訳に際し、杉田玄白とともに指導的役割を果たした。著「和蘭訳筌」「魯西亜大統略記」など。享保八~享和三年(一七二三‐一八〇三

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旺文社日本史事典 三訂版

前野良沢
まえのりょうたく
1723〜1803
江戸中期の蘭学者
豊前(大分県)中津藩医。青木昆陽に蘭学を学んだ。1771年杉田玄白らと江戸小塚原で死刑囚の解剖を見て,『ターヘル‐アナトミア』の正確さに驚き,玄白らと翻訳,1774年『解体新書』として刊行した。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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