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剰余価値【じょうよかち】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

剰余価値
じょうよかち
Mehrwert; surplus value
労働者が労働過程において支出した剰余労働時間によって決定される価値。マルクス経済学の最も基本的な概念の一つ。資本家労働力商品を日決めで買取って労働過程で一定時間の労働に従事させるが,この総時間を労働日といい,労働力の再生産に必要とされる労働時間によって規定される必要労働と,剰余労働とから成る。必要労働は外生的な労働力再生産費=賃金水準によって決定されているのに対し,剰余労働は労働日の延長労働強度増大によって可変的に増大できる。これを絶対的剰余価値の生産と呼ぶ。さらに1日の労働支出量一定のもとでも,資本家間の競争が生産方法を上昇させることから技術的に労働力の再生産に充当される部分の労働時間が相対的に減少することによって得られる剰余価値の相対的増大を,相対的剰余価値の生産と呼ぶ。労働力の再生産費=可変資本v ,剰余価値を m として,m/v剰余価値率と定義する。剰余価値概念こそマルクス経済学の核心であり,資本主義的生産の根底にある賃労働本質とその搾取関係を明確にするものである。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じょうよ‐かち【剰余価値】
資本の生産過程において、労働者の労働力の価値(賃金)を超えて生み出される価値のこと。これが資本家に搾取され、利潤利子地代などの源泉となる。マルクス経済学の基本概念。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

じょうよかち【剰余価値 Mehrwert[ドイツ]】
マルクス経済学では,の生産,商品の売買貨幣貸借などから生まれる貨幣利得のの源泉を剰余価値とよんでいる。マルクス経済学においては,剰余価値は資本の本質規定をなし,資本主義を説明するのに必須の核心をなす概念となっている。
[剰余労働,剰余生産物]
 どのような社会でも,経済生活に必要な財(食料衣服のような生活必需品や,これらを生産するのに使用される原料道具など)の生産に直接たずさわる人々は,自分たちに必要な量はもちろんのこと,これ以上の生産物を生産する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じょうよかち【剰余価値】
資本家が商品としての労働力を購入するために投じた貨幣(賃金)以上に、労働者が労働(剰余労働)することによって生む価値。利潤の源泉であり、資本家的生産の動機となる。マルクス経済学の基本概念の一。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

剰余価値
じょうよかち
Mehrwertドイツ語
資本とは自己増殖する価値であり、投下された資本価値に対して増殖する価値部分を剰余価値という。この剰余価値の投下総資本に対する比率が利潤率であり、剰余価値が投下総資本の産物と意識されるとき、剰余価値は利潤とよばれる。利潤はこの剰余価値の転化された現象形態である。そして産業資本家の得る産業利潤、商業資本家の得る商業利潤、貸付資本家の得る利子、地主の得る地代は、この剰余価値を源泉とし、それが分割されたものにほかならない。
 資本制的生産の規定的目的は剰余価値の生産であるが、商品の売買が行われる流通過程では、剰余価値は生産されない。剰余価値は、産業資本家によって雇われた労働者の労働によって生産過程で生産されるのである。産業資本の運動は、

として定式化することができるが、この運動の意味は次のとおりである。まず産業資本家は、生産開始にあたって一定額の貨幣Gをもって、労働市場において労働力Aを購入し、さらに商品市場において生産手段Pmを購入する。それらを生産過程P(点線は流通過程が中断されていることを示す)において合体して、剰余価値を含んだ商品W'を生産し、それらをふたたび市場で販売することによって、投下資本価値Gを回収すると同時に、それを上回る価値部分=剰余価値Δgを実現する。
 ところで、剰余価値を含んだ商品はどのようにして生産されるのであろうか。いま労働者が1日8時間労働することによって50ポンドの糸を生産するものとし、これに要する生産手段の価値が1万円、労働力の日価値が4000円、そして平均的1時間労働が1000円の価値を生むものと仮定しよう。この場合、消費された生産手段の価値は、生産過程で価値の大きさを変えることなく生産物である糸の価値に移転されていく。これに対して労働力の場合には、これが消費されることによって新しい価値を付加する。平均的1時間労働が1000円の価値を生み、労働者は8時間労働すると仮定されているから、生産物に新たに付加される価値は8000円となり、糸50ポンドの価値は合計1万8000円となる。資本家はこれを価値どおりに販売することによって、投下資本1万4000円を回収すると同時に、それを上回る価値部分4000円の剰余価値を実現する。これから明らかなように、剰余価値の発生根拠は労働力商品にある。労働力商品は、それを消費することが価値の創造であり、しかもそれ自身の価値よりも大きな価値を創造するという独自な使用価値をもっている。この例では労働力の日価値は4000円であるから、それを再生産するためには労働者は4時間労働すればよいが、このことはそれを上回って労働することを妨げるものではなく、この剰余労働によって剰余価値が生産されるのである。
 このように労働者の1日の労働時間=労働日は二つの部分からなっている。一つは労働力の価値を再生産するのに必要な時間であり、これを必要労働時間、この間に支出される労働を必要労働という。いま一つは労働者が必要労働時間を上回って労働する時間であり、これを剰余労働時間、この間に支出される労働を剰余労働といい、これによって剰余価値が生産される。この場合、

を剰余価値率という。このように直接的生産者の労働が必要労働と剰余労働に分かれ、後者が搾取されるということは、資本主義社会に特有なことではなく、それ以前の奴隷制および封建制社会においてもみられた。そこでは剰余労働の搾取は感覚的に明らかであったが、商品経済に基づく資本主義社会においては、この本質的関係は隠蔽(いんぺい)されているので、科学的分析が必要となるのである。
 資本家は剰余価値率を増大させようと努力しているが、剰余価値率を増大させるには、次の2通りの方法が存在する。すなわち、労働日のうち労働力の価値を再生産する必要労働時間は、所与の生産諸条件のもとでは一定であるから、この場合、労働日を延長すればするほど剰余労働時間は長くなり、剰余価値率は増大する。これを絶対的剰余価値の生産という。しかし、労働日の無制限的延長には生理的限界および社会的限界があり、労働者階級も反対する。労働日をめぐる労資の闘争の結果、法律によって標準労働日が設定されるようになる。こうして労働日の無制限的延長が不可能となったならば、剰余価値率を増大させるためには、必要労働時間を短縮し、それによって剰余労働時間を拡大する必要がある。これを相対的剰余価値の生産という。そのためには労働力の価値を引き下げなければならない。労働力の価値は労働者家族が消費する生活手段の価値によって決まるので、相対的剰余価値の生産のためには社会の生産力を上昇させなければならない。相対的剰余価値の生産は、特別剰余価値(社会的価値と個別的価値との差額)をめぐる資本家相互の競争を媒介として行われる。[二瓶 敏]
『K・マルクス著『資本論』第1巻第2~5篇(向坂逸郎訳・岩波文庫/岡崎次郎訳・大月書店・国民文庫) ▽K・マルクス著、長谷部文雄訳『賃労働と資本』(岩波文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じょうよ‐かち【剰余価値】
〘名〙 労働力の使用価値と労働力の価値との差額。資本家に搾取され、企業利潤、利子、地代などの所得の源泉となる。剰余労働の資本主義社会における発現形態で、その取得は、資本主義的生産の動機となり、推進力となる。〔現代語辞典(1923)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社世界史事典 三訂版

剰余価値
じょうよかち
Mehrwert (ドイツ)
商品の価値のうち,生産手段の購入費と賃金を除く残りの部分で,利潤の実体をさす
マルクスの造語。労働者が自己の賃金にあたる価値量を生む労働を必要労働,剰余価値を生む労働を剰余労働といい,後者は必要労働をこえて行われるとする。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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