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劇症肝炎【げきしょうかんえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

劇症肝炎
げきしょうかんえん
fulminant hepatitis
肝炎のうち,発病当初から症状が急激に進み,8週以内に意識障害などの肝不全症状が出る,きわめて予後の悪いタイプの疾患肝炎の原因はA型,B型,C型の各肝炎ウイルス薬物中毒などがあるが,こうした分類とは別のものである。ウイルス性肝炎のなかではB,C型の発症が多い。なぜ劇症化するかはよくわかっていないが,感染したウイルスの毒性,患者の体質などが考えられている。著しい止血能の低下と意識障害の出現により確定診断される。治療法としては患者の血漿を新しいものに取替える血漿交換療法が中心であるが,消化管出血や脳浮腫対策も重要である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

げきしょう‐かんえん〔ゲキシヤウ‐〕【劇症肝炎】
もっとも重い急性肝炎。肝細胞の障害が急激かつ広範に起こり、肝不全となって昏睡(こんすい)に陥り、死亡することが多い。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

劇症肝炎
 急性肝炎の中でも最も重症のもので死亡率も高い.

出典:朝倉書店
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家庭医学館

げきしょうかんえん【劇症肝炎 Fulminant Hepatitis】
◎死亡率の高い肝炎
[どんな病気か]
 急性の肝炎のうち、とくに肝細胞の破壊が急激に進んで肝臓の機能が維持できなくなり、黄疸(おうだん)の進行、肝性脳症(かんせいのうしょう)、腹水(ふくすい)など肝不全状態が出現した場合に劇症肝炎と呼ばれます。
 日本では、年間に約2000例発生しています。
 きわめて予後の悪い重篤(じゅうとく)な病気で、70~80%の人が死亡します。
[症状]
 急性肝炎の際に、黄疸に加えて吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)が持続し、だるさが強くなってくるときは、劇症肝炎の徴候として、注意が必要です。
 劇症肝炎になると、うわ言を言ったり、興奮・錯乱状態になって、わけのわからないことを言ったりします。
 さらに進行すると、昏睡(こんすい)状態におちいって目覚めなくなるなど、意識障害が悪化します(肝性昏睡(かんせいこんすい))。
[原因]
 急性肝炎の原因が、そのまま劇症肝炎の原因となりますが、ウイルス以外に薬剤性肝障害や肝臓の循環障害なども原因になります。
 ウイルス性の急性肝炎のなかでは、B型肝炎が比較的、劇症肝炎になりやすく(約1%)、A型肝炎では約0.1%とされ、C型肝炎ではきわめて少ないとされています。
 なお、肝硬変(かんこうへん)、肝細胞がんなどがあったり、慢性肝炎が急性悪化したりして劇症肝炎と同じ状態になることもありますが、この場合は、劇症肝炎とは呼ばないことになっています。
[検査と診断]
 急性肝炎では、肝細胞が壊される目安である血中の酵素(こうそ)のGOT、GTPが高値となりますが、1ℓあたり1万U以下であれば、肝炎の重症度とは関係しません。
 むしろ、黄疸の程度を表わすビリルビン値の持続的な悪化や、肝臓でつくられる血液凝固因子(けつえきぎょうこいんし)(血液をかため、出血を止める成分)の指標であるプロトロンビン時間(PT)の延長が劇症肝炎へ移行する重要な指標であり、PTが50%以下となるようであれば警戒が必要になります。劇症肝炎になれば、PTが40%以下となります。
 さらに、肝不全にともなって生じる精神状態の低下である肝性脳症(肝性昏睡(「肝性脳症(肝性昏睡)」))がⅡ度以上(傾眠(けいみん)、錯乱、せん妄(もう)、異常行動を示す)となれば、劇症肝炎と診断されます。
 その他、血液検査の血清(けっせい)アルブミン値、コリンエステラーゼ値、総コレステロール、アンモニア、白血球数(はっけっきゅうすう)、血小板数(けっしょうばんすう)、BUN値、超音波やCTなどの画像診断が診断の参考になります。
◎原因療法は試験段階
[治療]
 劇症肝炎はきわめて重篤な病気で、早期の発見と早期の治療開始が必要です。
 そして、劇症肝炎となれば、全身の管理と血漿交換(けっしょうこうかん)や人工肝補助装置(じんこうかんほじょそうち)を用いて時間を稼(かせ)ぐと同時に(「人工肝補助療法」)、原因の除去を行なうことが目標とされます。
●原因の除去
 薬剤性肝障害のときには、薬物を吸着して取り除いたり、ウイルス性の急性肝炎に対しては、ウイルスに対してインターフェロン療法が試みられたり、新しい抗ウイルス薬が用いられたりしていますが、これらはまだ試験的な使用の段階です。
[日常生活の注意]
 劇症肝炎は、急性の重症疾患であり、入院治療が必要となります。
 回復してからの退院後は、肝硬変(「肝硬変」)あるいは慢性肝炎(「慢性肝炎」)に準じた生活上の注意が必要となります。
 この病気は厚労省の特定疾患(とくていしっかん)(難病(なんびょう))に指定され、治療費の自己負担分の大部分は公費の補助が受けられます。
[予防]
 急性肝炎(「急性肝炎」)と同じ生活上の注意が必要となります。
 また、急性肝炎がすでにおこっているときには、劇症化するか否かに十分注意をし、もし劇症化するきざしがあるようであれば、肝臓専門医のいる病院で集中管理することが望まれます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

げきしょうかんえん【劇症肝炎】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

げきしょうかんえん【劇症肝炎】
急性肝炎のうち肝細胞の壊死えしなどが急激かつ広範におこったもの。死亡率が高い。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

劇症肝炎
げきしょうかんえん
ウイルス肝炎や薬物性肝障害の経過中8週間以内に重症化し、急激に高度の肝機能障害と意識障害が起こる病気。1976年(昭和51)から厚生省(現、厚生労働省)の特定疾患(難病)に指定された。急性肝炎の1~2%が劇症肝炎に移行するとされ、日本では年間450人前後が発病している。[恩地森一]

原因

原因は肝炎ウイルスが多く、そのなかでもB型肝炎ウイルス(HBV)と、原因不明であるものが多い。B型肝炎では変異株で劇症肝炎が発症することが多いとされている。ほかにはD型肝炎ウイルス、高齢者のA型肝炎、薬物としてはアセトアミノフェン、糖尿病用薬などがある。自己免疫性肝炎のなかには劇症肝炎として発症する例もある。急激に悪化する機構については解明されていない。B型慢性肝疾患の経過中に急激に高度の肝障害と意識障害が出現することがある。初感染による劇症肝炎よりも予後不良であり、抗ウイルス剤と免疫抑制剤による早急な治療が必要である。[恩地森一]

症状

症状としては、急性肝炎の一般的な症状が顕著となるとともに、出血傾向、意識障害(肝性昏睡)、腹水や腎不全が出現する。経過の比較的に長いときには黄疸(おうだん)が高度となる。発症後11日以後に肝性昏睡が出現する劇症肝炎亜急性型では原因不明が40%を超えている。診断は、肝機能検査、意識状態の把握が重要である。血液凝固検査において、肝臓で産生される半減期の短いタンパクを測定するプロトロンビン時間が40%以下となる。予後は不良である。肝性昏睡が肝炎発症後10日以内に発症する劇症肝炎急性型は、A型肝炎やB型肝炎によることが多く、比較的予後が良い。[恩地森一]

治療

抗ウイルス剤や免疫抑制剤による治療、血漿(けっしょう)交換、交換輸血、持続血液透析やその他の対症療法が行われている。消化管出血の予防としてH2ブロッカー(胃液の分泌を抑える薬)や、出血対策としてAT製剤の使用も大切である。抗ウイルス剤としては、B型肝炎ウイルスにエンテカビル(逆転写酵素阻害剤)が使用されている。肝移植(肝臓移植)も治療として重要で、日本では生体肝移植がおもに行われている。劇症肝炎すべての救命率は約30%で、急性型では50%前後、亜急性型では20%以下と予後はきわめて悪いが、肝移植では80%近くの救命率がある。[恩地森一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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六訂版 家庭医学大全科

劇症肝炎
げきしょうかんえん
Fulminant hepatitis
(肝臓・胆嚢・膵臓の病気)

どんな病気か

 劇症肝炎とは、急性肝炎のなかでもとくに重症のもので、高度の肝機能不全(かんきのうふぜん)と意識障害(肝性脳症(かんせいのうしょう)または肝性昏睡(かんせいこんすい)と呼ぶ)を特徴とします。

 日本では、表1に示すような診断基準に従って「昏睡型の急性肝不全」を診断し、そのうち肝炎によるものが劇症肝炎の病名となります。

 診断するうえでの重要なポイントは、症状(発熱、かぜ様症状、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振など)が現れてから8週(56日)以内に肝性脳症(意識障害)が現れること、肝機能の指標であるプロトロンビン時間が40%以下(正常は80%以上)を示すことです。

 さらに、肝性脳症の出現までの日数により、2つの病型に分けています。すなわち、10日以内に肝性脳症が現れる急性型、11~56日以内に肝性脳症が現れる亜急性型です。

 このように2つの臨床病型に分けたのは、両者の最終的な予後(生存するか、死亡するか)が異なることが最大の理由です。実際に、内科的な救命率(肝移植例を除く)は急性型30%、亜急性型20%です。

原因は何か

 図3に現在の日本の劇症肝炎の原因別頻度を示しました。ウイルス、薬物(アレルギー)、自己免疫性肝炎によるものが主な原因です。今なお原因不明の例も多くみられます。

 日本ではウイルスによるものが多く、しかもそのほとんどが肝炎ウイルス(A型、B型、C型、D型、E型)です。B型肝炎ウイルスによるものが多く、D型は日本ではほとんどありません。慢性肝炎や肝硬変、肝がんの原因として有名なC型が劇症肝炎を起こすことは極めてまれです。

 薬物の中には、健康食品やサプリメントによるものも少なくありません。

症状の現れ方

 劇症肝炎に特徴的な症状は肝性脳症(意識障害)ですが、初期症状は通常の経過をたどる急性肝炎と何ら変わりはありません。前述したように発熱、かぜ様症状、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などが最初に現れ、尿の色が濃くなって黄疸(おうだん)に気づくようになります。

 意識障害出現までの日数はさまざまで、急性型と亜急性型がありますが、急性型のうち、肝炎様症状に続いて2~3日で出現する場合を超急性型と呼んでいます。

 亜急性型ではあまり症状がなく、徐々に黄疸や腹水が増加したあとに、急に意識障害が現れることもしばしばみられます。

 肝性脳症の程度は、昏睡度(こんすいど)分類(表2)に従って判定します。昏睡Ⅰ度の判定は専門家でも難しい場合があり、普段の言動との違いから家族の方が先に気づくこともあります。昏睡Ⅱ度になると自分の置かれた状況がわからなくなるため、誰が見ても異常と判断でき、Ⅲ度に進行すると興奮状態やせん妄状態となり、体動が激しくなります。Ⅳ度はいわゆる昏睡状態で、痛みの刺激にしか反応しなくなります。

検査と診断

 血液生化学検査では、肝機能検査、腎機能検査、血液凝固検査が行われます。とくにプロトロンビン時間の測定は必須ですが、肝臓で合成される蛋白質(凝固因子も含む)や脂質の状態を反映する検査項目(アルブミン、コリンエステラーゼ、コレステロール)、ビリルビン抱合能(総ビリルビンと直接型ビリルビンとの比)、ヒト肝細胞増殖因子も重要な検査項目です。

 血清トランスアミナーゼ(AST[GOT]、ALT[GPT])は肝機能障害の指標として有名ですが、劇症肝炎の診断には役立ちません。また、原因を探るために肝炎ウイルスマーカーも検査します。

 各検査値は、どの時点で医療機関を受診したかで異なりますが、急性型と亜急性型では肝性脳症発現時の肝機能検査値に違いがみられます。

治療の方法

 劇症肝炎の内科的治療法を表3に示しました。基本的には、肝性脳症の改善を図り、破壊された肝細胞が再生されるまで人工肝補助(血漿交換(けっしょうこうかん)など)を行い、合併症(腎不全播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)、感染症、脳浮腫)の発生を防ぐことが重要です。

 人工肝補助は、肝細胞の広汎な壊死(えし)および肝機能の低下によって体内にたまった中毒性物質(アンモニアなど肝性脳症の原因となる物質)の除去と、不足した必須物質(凝固因子(ぎょうこいんし)など)を補充することを目的としています。

 原因ウイルスが明らかな例では、抗ウイルス療法も行われます。

病気に気づいたらどうする

 肝性脳症が出現したら、ただちに人工肝補助療法を開始しなければなりません。

 また、明らかな意識障害がなくても、先に述べた肝機能検査で著しい異常を認めた場合には、劇症肝炎へ移行する危険性があることを考え、肝臓専門医と相談しながら治療を行い、できるだけ早期に専門的な治療が可能な医療機関へ移送することが大切です。

滝川 康裕

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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