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加賀乙彦【かがおとひこ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

加賀乙彦
かがおとひこ
[生]1929.4.22. 東京
小説家。本名小木貞孝。東京大学医学部で犯罪心理学と精神医学を学び,東京拘置所医務技官,東京医科歯科大学助教授,上智大学教授などを歴任した精神科医でもある。 1957~60年にかけてフランスに留学し,それに取材した小説『フランドルの冬』 (1967) で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。『宣告』 (79) では死刑囚との交流をもとに,その極限の心理状態や獄舎の実態を描いて日本文学大賞を受賞した。ほかに,第2次世界大戦時の軍国教育を受けた少年が終戦時に体験した悲劇を描き,戦後の天皇制問題に一石を投じた『帰らざる夏』 (73) や,同大戦時の駐米大使,栗栖一家をモデルとする『のない船』 (82) ,新聞連載小説の『湿原』 (85,大仏次郎賞) など,重厚な長編が知られる。また,精神医学に関する作に『死刑囚と無期囚の心理』 (74) がある。

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デジタル大辞泉

かが‐おとひこ【加賀乙彦】
[1929~ ]小説家・精神科医。東京の生まれ。本名、小木貞孝(こぎさだたか)。現代社会の狂気を描いた長編小説で知られる。随筆評論も多い。著「フランドルの冬」「帰らざる夏」「宣告」「湿原」など。芸術院会員。平成23年(2011)文化功労者

出典:小学館
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus

加賀乙彦 かが-おとひこ
1929- 昭和後期-平成時代の小説家,精神科医。
昭和4年4月22日生まれ。上智大教授などをつとめ,昭和54年から執筆専念。「フランドルの冬」(43年芸術選奨新人賞),「帰らざる夏」(48年谷崎潤一郎賞),「宣告」(54年日本文学大賞),「湿原」(61年大仏(おさらぎ)次郎賞)などで,犯罪や狂気を追究しつづける。平成11年芸術院賞。12年芸術院会員。23年文化功労者。東京出身。東大卒。本名は小木(こぎ)貞孝。著作はほかに「永遠の」シリーズ,「の都」シリーズなど。

出典:講談社
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書籍版「講談社 日本人名大辞典」をベースに、項目の追加・修正を加えたデジタルコンテンツです。この内容は2015年9月に更新作業を行った時点での情報です。時間の経過に伴い内容が異なっている場合がございます。

日本大百科全書(ニッポニカ)

加賀乙彦
かがおとひこ
(1929― )

小説家、精神科医。東京生まれ。本名小木(こぎ)貞孝。1953年(昭和28)東京大学医学部卒業後、病院や刑務所に精神科医として勤務。57年より3年間フランスに留学。帰国後、東京医科歯科大学、上智(じょうち)大学で精神医学を講ずるかたわら創作を始め、北フランスの精神病院を舞台とした『フランドルの冬』(1966)で芸術選奨新人賞を受賞。以後、長編小説によって、本質的な人間存在の問題に取り組む。『荒地を旅する者たち』(1971)で、現代社会の狂気を描き、『帰らざる夏』(1973。谷崎潤一郎賞)で、戦争責任の所在を追及、『宣告』(1979。日本文学大賞)では、死刑制度の問題点を明らかにした。79年上智大学教授の職を退き、創作に専念し、日米開戦時の特派全権大使栗栖(くるす)三郎(1886―1954)の家族をモデルとした『錨(いかり)のない船』(1982)、犯罪者の生を多面的な手法で描いた『湿原』(1985)がある。そして、『永遠の都』(1997)では、長編小説『岐路』(1988)、『小暗い森』(1991)、『炎都』(1996)の三部作を合わせ、血縁でつながった四つの家族の、戦中、戦後を描く大河小説を完成する。ほかに短編集『風と死者』(1969)、『夢見草』(1972)、評論集『文学と狂気』(1971)などがある。

[山田俊治]

『『加賀乙彦短篇小説全集』全5巻(1984~85・潮出版社)』『『加賀乙彦評論集』上下(1990・阿部出版)』『『脳死と臓器移植を考える』(1990・岩波書店)』『『脳死・尊厳死・人権』(1991・潮出版)』『『高山右近』(1999・講談社)』『『夕映えの人』(2002・小学館)』『『錨のない船』上中下(講談社文芸文庫)』『『帰らざる夏』(講談社文芸文庫)』『『生きている心臓』上下(講談社文庫)』『『フランドルの冬』『宣告』『湿原』『永遠の都1 夏の海辺』『永遠の都2 岐路』『永遠の都3 小暗い森』『永遠の都4 涙の谷』『永遠の都5 迷宮』『永遠の都6 炎都』『永遠の都7 異郷・雨の冥府』(新潮文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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