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十六夜日記【いざよいにっき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

十六夜日記
いざよいにっき
鎌倉時代後期の紀行藤原為家の室阿仏尼 (安嘉門院四条) 。1冊。弘安5 (1282) 年成立か。旅行記,鎌倉滞在記,鶴岡八幡宮奉納長歌の3部から成る。為家の没後,播磨国細川庄を中心とする遺産相続をめぐって,為家の嫡男為氏と異母弟為相 (ためすけ) とが争い,裁判となった。京都では決着がつかなかったため,幕府裁決を仰ごうと,弘安2年 10月 16日,為相の生母阿仏尼は鎌倉に下った。本書はそのときの紀行と,鎌倉での生活の記録,勝訴祈願の長歌を内容とし,書名は出発の日が十六夜にあたっていたことによる。作者の才気がうかがわれる擬古文で,『伊勢物語』など古典の影響が顕著。歌枕ごとに和歌を詠み,また京都に残してきた子供たちや知人との贈答歌をも含む。母性愛のあふれた日記紀行として古来有名だが,ややエゴイズムが目立ち,また旅行の忠実な記録というよりも,わが子の作歌のための指導書という性格が認められる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

いざよいにっき〔いざよひニツキ〕【十六夜日記】
鎌倉中期の紀行。1巻。阿仏尼(あぶつに)著。実子藤原為相(ためすけ)継子為氏(ためうじ)との領地相続争い訴訟のために、弘安2年(1279)、京都から鎌倉へ下った時の旅日記と鎌倉滞在中の記録。京都出発が10月16日(陰暦)だったところからの名。いさよいのにっき。
[補説]建治3年(1277)の日記ともいう。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

いざよいにっき【十六夜日記】
鎌倉時代の紀行・日記。1巻。著者は藤原為家の側室阿仏尼(あぶつに)。為家没後,実子為相(ためすけ)と為家の嫡子為氏との間に播磨国細川荘をめぐる相続争いが起こり,その訴訟のため弘安2年(1279)阿仏尼が鎌倉へ旅立った際の日記。内容は,旅の動機を述べた,鎌倉までの道中の記,および鎌倉滞在中の記事から成る。作中,100首を超える和歌を含み,道中の記の部分では《伊勢物語》の東下りの影響が強い。書名は著者の命名ではなく,古くは単に《路次記》《阿仏記》などと呼ばれていたが,旅立ちが10月16日であったことから,《いさよひの記》《いさよひの日記》と呼ばれるようになった。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

十六夜日記
いざよいにっき

阿仏尼(あぶつに)の著。作者が亡夫藤原為家(ためいえ)との間にもうけた愛児為相(ためすけ)のため、播磨(はりま)国細川庄(しょう)(兵庫県三木市細川町)の相続権を異腹の長子為氏(ためうじ)と争い、1279年(弘安2)訴訟のため鎌倉に下ったときの紀行的日記。序章と下向の道の記、鎌倉月影の谷(やつ)滞在中の望郷の記、勝訴を鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に祈り幕府の善政を願う長歌の3部からなる。1、2部は弘安(こうあん)2年から3年にかけて成ったかとみられ、第3部の長歌は5年春の作。書名は、出立に際しての心境「身をえうなきものになし果てて、ゆくりもなく、いさよふ月にさそはれ」にちなむ後人の命名ともいわれる。別名『路次記(ろじのき)』『阿仏房紀行』『いさよひの記』など。母性愛と歌道家後室の自覚とに支えられた意志的女性の日記として特色があり、道の記に収める多くの和歌は、為相らに歌枕(うたまくら)とその詠み方を教える教科書的意図をもつという見方もなされている。「ささがにの蜘蛛手(くもで)あやふき八橋(やつはし)を夕暮かけてわたりぬるかな」。また鎌倉滞在中の詠「忍び音は比企(ひき)の谷(やつ)なる時鳥(ほととぎす)雲井(くもゐ)に高くいつか名のらん」はその真情を示す。細川庄訴訟は阿仏尼の没後1289年(正応2)為相の勝訴が認められ、なお紛糾したが1313年(正和2)最終的に勝訴と決した。

[岩佐美代子]

『江口正弘編『十六夜日記 校本及び総索引』(1972・笠間書院)』『福田秀一著『中世和歌史の研究』(1972・角川書店)』『森本元子著『十六夜日記・夜の鶴 全訳注』(講談社学術文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

いざよいにっき いざよひニッキ【十六夜日記】
鎌倉中期の紀行文。一冊。阿仏尼作。夫藤原為家の死後、実子為相と先妻の子為氏との播磨国細川庄をめぐる領地相続争いの訴訟のため、弘安二年(一二七九)一〇月一六日に京都から鎌倉に下ったときの日記。出立事情、道中風物、鎌倉滞在記、巻末の長歌から成る。多くの和歌を挿入し、擬古文体を用いる。いさよいにっき。

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旺文社日本史事典 三訂版

十六夜日記
いざよいにっき
鎌倉中期,阿仏尼 (あぶつに) の紀行文学
1277年ころ,夫藤原為家の死後,実子と継子との間におこった所領争いの訴訟のため鎌倉に下ったときのことを記す。東海道風物を文学的に叙述してある。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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