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南曲【なんきょく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

南曲
なんきょく
Nan-qu
中国の古典演劇の一つ。宋代に始まる南方系の歌曲基調とした戯曲。北方系の元曲 (雑劇北曲 ) に対する。正式には南戯といい,その歌だけを南曲ということもある。明,清代には伝奇とも呼ばれた。元代には北方系の歌曲を基調とする雑劇,いわゆる元曲の盛行に圧倒されたが,14世紀半ばに雑劇が衰退すると,雑劇の作者からも南曲をつくる者が現れてしだいに復興し,元末~明初には高明の傑作『琵琶記』をはじめ,『荊釵記』『白兎記』『幽閨記 (拝月亭 ) 』『殺狗記』などの作品が相次いで登場した。その後一時停滞したが,明の万暦年間に湯顕祖が出て,いわゆる「玉茗堂四夢」を書き,さらに清初の洪昇の『長生殿』,孔尚任の『桃花扇』が出るまで最盛期が続いた。

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デジタル大辞泉

なん‐きょく【南曲】
中国の戯曲の一。南宋のころ、浙江(せっこう)省温州の地方劇を母体として成立、代に元曲の衰微とともに盛んになった。伝奇的な作品が多い。「琵琶記」など。明曲。→北曲

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世界大百科事典 第2版

なんきょく【南曲】

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日本大百科全書(ニッポニカ)

南曲
なんきょく

中国の南方系の歌曲を基調とする戯曲。戯文また南戯ともいう。長編で50齣(せき)(幕)を超すものが少なくない。淵源(えんげん)は宋(そう)代の温州や杭州(こうしゅう)で上演されていた雑劇にあると考えられる。宋の周密の『武林旧事』には280種の芝居の題名がみられ、温州雑劇、官本雑劇の名も伝わっているが、宋の作品では、温州で南宋末に書かれた『張協状元』が伝存するのみである。元(げん)代では北方系の雑劇におされて振るわず、杭州でつくられた『小孫屠(しょうそんと)』『宦門子弟錯立身(かんもんしていさくりつしん)』が存するにとどまるが、元末明(みん)初に至って高明が傑作『琵琶記(びわき)』を書いたほか、『荊釵記(けいさき)』『白兎記(はくとき)』『幽閨記(ゆうけいき)』『殺狗記(さっくき)』などの作が世に出て勢力を挽回(ばんかい)した。1967年上海(シャンハイ)嘉定(かてい)県の墓中より発見された『白兎記』が成化年間(1465~87)に北京(ぺキン)で刊行されたテキストであったことから、南曲がかなり早く北上していたことが明らかになった。一時、演劇に対する厳しい禁令や江南の疲弊などのために、低迷の時期があったものの、嘉靖(かせい)(1522~66)から万暦(1573~1619)にかけて南北に盛行し、湯顕祖(とうけんそ)が文辞構成ともに優れた『紫釵記(しさき)』『還魂記』『南柯記(なんかき)』『邯鄲記(かんたんき)』を書き、曲律を重んずる沈璟(しんえい)らの呉江派と、作劇について激しい論争を繰り返すなど、華やかな最盛期を現出した。盛況は清(しん)朝の洪昇の『長生殿』、孔尚任(こうしょうじん)の『桃花扇(とうかせん)』まで続いた。

 元の作者の社会的地位は低かったが、明の南曲の作者には著名な読書人で高位高官に上った人が多かったから、しだいに戯曲は文学として尊重され、詩文と同等の価値を認められるようになる。元の雑劇には俗語が多く使用され、題材も市井の事件などを扱ったものが多く、庶民的な色彩が強かったが、明の南曲では俗語は減少し、典故ある美辞麗句が頻用される。歌辞の部分ばかりでなく、元来口語で応酬されるのが普通であった台詞(せりふ)の部分についても、万暦ごろになると駢儷(べんれい)体で書いた作品まで現れるようになり、読書人の雰囲気が濃厚に認められる。おおむね、作品の主人公は歴史上の著名な人物であり、その輝かしい生涯を描く。佳人才子劇の形をとるものが多く、生(せい)(男の立役)と旦(たん)(女の立役)にそれぞれ活躍の場を与える必要から、場面は頻繁に転換し、筋は二つに分かれて進む。悲歓離合の曲折のあと、結末はめでたく団円となるのが定石である。歌曲が中心をなす演劇であるから、節回しには海塩、弋陽(よくよう)、余姚(よよう)などの諸腔(しょこう)があったが、崑曲(こんきょく)がもっとも流行した。

[岩城秀夫]

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精選版 日本国語大辞典

なん‐きょく【南曲】
〘名〙 中国の南方系の古典劇。南宋のころの浙江省の杭州や温州の地方劇を起源とする。元代は北方系の元曲(北曲)に圧倒されていたが、高明の「琵琶記」を契機として、明代に入り盛んとなった。

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旺文社世界史事典 三訂版

南曲
なんきょく
元の中期から南(旧南宋)で盛んになった戯曲の総称
北方地域で栄えた北曲に対する呼称戯文ともいわれ,明代にかけて盛行した。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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