●南画【なんが】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
南画
なんが
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デジタル大辞泉
なん‐が〔‐グワ〕【南画】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
南画
なんが
江戸中期(18世紀初頭)から明治(19世紀末葉)にかけて、おもに中国南宗画(なんしゅうが)の影響を受け、漢詩文の素養ある人々に支持された画派の呼称。文人画、南宗画と同義に用いられているが、厳密には同じ概念ではなく、また、南宗画の単なる略称でもない。「南画」は日本においてのみ用いられた固有の絵画様式を示す語である。
南画興隆の機となったのは、『八種画譜(はっしゅがふ)』『芥子園画伝(かいしえんがでん)』の木版画譜の翻刻、明(みん)より帰化した黄檗(おうばく)僧のもたらした墨戯、伊孚九(いふきゅう)や沈南蘋(しんなんぴん)をはじめとする来舶清(しん)人が身につけていた画風の影響が大きく、またそれを受け入れる当時の画壇の状況としては、狩野(かのう)・土佐など既成画派の芸術的生命の枯渇に対する不満も一因にあげることができる。南画は、京坂神を中心とする関西以西と、関東とでその様相を異にし、主流である関西以西では、いまだ安定したスタイルをもつには至らないまでも、南画様式を模索する祇園南海(ぎおんなんかい)、柳沢淇園(やなぎさわきえん)、彭城百川(さかきひゃくせん)などが初期にあり、それを継承しつつ中国画の模倣より脱し、柔軟な筆法と豊かな詩情によって日本の風土に根ざした独自の絵画様式を大成させたのが池大雅(いけのたいが)と与謝蕪村(よさぶそん)の2人である。この両者の画風は、南宗画様式にのっとりながらも、対立概念をもつ北宗画や、その他の要素を多分に含むという点で中国南宗画と異なり、売画によって生活をたてているという点で文人画とも異なる。
以後、南画はしだいに南宗画らしい様式を整えながら、化政(かせい)期には浦上玉堂(うらかみぎょくどう)、岡田米山人(べいさんじん)、青木木米(もくべい)、少し遅れて田能村竹田(たのむらちくでん)など、個性的な画家を生み、隆盛に向かう。このころ、関東では谷文晁(たにぶんちょう)が出て狩野派や沈南蘋の写生画風・西洋画風をも取り入れ、南宗画様式の少ない折衷的な南画を確立して一大画壇を形成し、門弟から渡辺崋山(かざん)、立原杏所(たちはらきょうしょ)、高久靄厓(たかくあいがい)を出し、また崋山の弟子からは椿椿山(つばきちんざん)が出た。このように関西以西と関東とでは同じ南画でも様式が異なり、また、関西以西では町人や、武士出身でも仕官をしない画家がほとんどなのに比し、関東では仕官する場合が多いという相違もみせている。幕末になると、名古屋に中林竹洞(なかばやしちくとう)、山本梅逸(ばいいつ)(1783―1856)、仙台に菅井梅関(すがいばいかん)(1784―1844)、大坂に岡田半江(はんこう)、京都に浦上春琴(うらかみしゅんきん)(1779―1846)、頼山陽(らいさんよう)など、各地に南画家が輩出して全盛期を迎える。さらに、武士の教養の一つという形で裾野(すその)を広げ、明治に入ってもその流行は続いた。しかし、そのころの画(え)は形式に堕し、「つくね芋(いも)山水」と蔑称(べっしょう)されている。そして明治日本画界の理論的指導者であるフェノロサ、岡倉天心の南画排撃運動によって、明治10年代の末には衰微するに至った。明治以後の南画家としては富岡鉄斎をあげうるのみである。
[星野 鈴]
『吉沢忠・山川武著『原色日本の美術18 南画と写生画』(1969・小学館)』▽『吉沢忠・山川武著『日本の美術25 南画と写生画』(1971・小学館)』
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なん‐が ‥グヮ【南画】
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