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占有【せんゆう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

占有
せんゆう
Besitz
(1) 私法上は,自己のためにする意思 (心素) をもって物を所持 (体素) することによって成立する (民法 180) 。占有は自主占有他主占有などさまざまに分類される。 (2) 刑法上は,財物が人の事実上または法律上の支配下におかれている状態をいう。学説では「所持」と呼ぶこともある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

せん‐ゆう〔‐イウ〕【占有】
[名](スル)
自分の所有にすること。「土地を占有する」
民法上、自己のためにする意思をもって物を所持すること。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

せんゆう【占有】
私法上,自己のためにする意思で物を所持することを占有という。例えばAが20年以上も前に土地を買って家を建てて住んでいたところ,隣地所有Bから,Aが境界線を2m越境しているからとして返還請求を受け,Aとしては自分が買ったときに売主から境界線として示されたもので自分の宅地であるとして主張したが,登記簿および登記所に備付けの地図によればBの主張が通りそうだという場合がある。所有権の関係でいえば,AはBに越境部分を返還しなければならない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

せんゆう【占有】
スル
自分のものとして所有すること。 土地を-する
自己のためにする意思をもって物を所持すること。 → 専有補説欄

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

占有
せんゆう
物をある人が事実上支配している状態。すなわち、自己のためにする意思で物を所持すること(民法180条)。家屋に現に居住し、その中に家財道具を置いている場合には、家屋と家財道具を占有していることになる。
 このように物を自分の支配下においている場合には、所有権、地上権、質権、賃貸権など、占有を正当化するなんらかの権利(本権)をもっていることが多い。占有は、こうした本権に基づいて物を支配している人のほか、本権がなくてただ事実上ある物を支配しているにすぎない人にも認められる点に特色がある。たとえば、泥棒が盗品をもっていたり、ある人が他人の物を誤って自分の物と思ってもっていたりした場合には、所有権取得の理由がなくても、占有者として法律上保護される。
 どのような場合に物を事実上支配している状態というべきかは、社会的観念によって決められ、物理的には決められない。たとえば、店員は一時的に店の品物を自分の支配下に置くが、占有は店主にあるものとみなされる。あるいは、甲が乙に物を貸したり預けたりした場合には、乙が占有を取得するほかに、甲も乙の占有を通じて(乙を代理人として)占有しているものとされる(同法181条)。この場合、甲は物理的にはまったく物を支配していないが、占有者として保護される。甲の占有を「代理占有」または「間接占有」、乙の占有を「自己占有」または「直接占有」という。[高橋康之・野澤正充]

占有権

物をある人が事実上支配している状態すなわち占有を法律要件として認められる物権(民法180~205条)が占有権である。占有権には次のような効力が与えられている。
(1)甲が占有している物を乙が奪って自分の支配下に置いた場合、甲は占有権に基づいて、乙に対し物の返還請求をすることができる。たとえその物が元来乙の所有物で、甲がかってに持って行った場合で、乙が実力でその物を奪い返したときでも、甲が自分に返せといえる点に特別の効力がある。現在の社会的秩序(たとえそれが不法な状態であっても)をいちおう保護して、個人が実力でこれを修正すること(自力救済)を禁じようというのがその趣旨である。前記の例で乙が自分の物を取り返すには、所有者は自分の物であるから返せということを別に裁判所に訴えるほかはない(本権の訴え)。甲の訴えを「占有の訴え」といい(同法197条)、占有を奪われた物の返還を要求する「占有回収の訴え」(同法200条)のほか、物の占有が妨害された場合に妨害の排除を要求する「占有保持の訴え」(同法198条)と、占有の妨害予防の措置を要求する「占有保全の訴え」(同法199条)の3種がある。
(2)本権の有無とは関係なしに、物を占有している者が自ら所有者であると主張している場合には、その者は所有者と推定される(同法188条)。すなわち、甲の占有する物を、乙が自分の物であると主張するには、乙自ら所有者であることを積極的に証明しなければならず、その証明ができない限り、甲は安泰だということになる(甲のほうから占有の根拠を明らかにする必要はない)。ただし、これは動産の場合にだけ当てはまることで、不動産の場合には、占有のかわりに登記がこの役割を果たすものと考えられる。
(3)ある動産を占有している甲をその所有者であると信じて、乙がその動産を買った場合には、実は所有者は丙であって甲はその借り主あるいは預かり主にすぎなかったというときでも、乙はその動産の所有権を取得する。丙は乙に所有物の返還請求はできなくなる。これを「即時取得」または「善意取得」という(同法192条)。動産を買ったり質にとったりする場合に、相手方が本当に所有者であるかどうかを調べていては取引がスムーズに行われなくなるので、真の所有者の犠牲において認められた制度で、動産の取引の安全のために重要な機能を営む。ただし、これは動産についてだけで、不動産には認められず、手形・小切手など有価証券については、前記の例の乙の立場にたつ者がより厚く保護されていることは注意しなければならない。
(4)物を長期間占有することによって本権を取得することができるという「時効」の制度も、占有権の効果の一つである。[高橋康之・野澤正充]

準占有

物以外の財産権(債権・特許権・著作権など)を事実上支配している状態で、たとえば預金証書と印をもっている人は、預金債権の準占有者であり、準占有には占有の規定が準用される(即時取得を除く。民法205条)。また、債権の準占有者に対する善意・無過失の弁済は有効とされる(民法478条)。たとえば、銀行が預金証書と印を持ってきた人を預金者だと信じ、かつ、信じることに過失がなく金を払ったら、たとえその人が真の預金者でなくともその支払いは有効とされる。[高橋康之・野澤正充]
『田中整爾著『自主占有・他主占有』(1990・法律文化社) ▽鷹巣信孝著『所有権と占有権――物権法の基礎理論』(2003・成文堂) ▽安永正昭著『講義 物権・担保物権法』(2009・有斐閣)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

せん‐ゆう ‥イウ【占有】
〘名〙
① すっかり自分の所有とすること。自己の領有とすること。
※物理全志(1875‐76)〈宇田川準一訳〉一「爰に一物ありて既に其地歩を占有するときは」
② 民法上、自己のためにする意思をもって物を所持すること。刑法上では、たんに所持の意味と解されている。〔仏和法律字彙(1886)〕
※民法(明治二九年)(1896)一六二条「二十年間所有の意思を以て平穏且公然に他人の物を占有したる者は」

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