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即決裁判手続【そっけつさいばんてつづき】

日本大百科全書(ニッポニカ)

即決裁判手続
そっけつさいばんてつづき

刑事訴訟において、争いのない軽微な事件について行われる簡易かつ迅速な裁判形態。2004年(平成16)の刑事訴訟法改正により導入された。それまでの簡易手続としては、簡易公判手続(刑事訴訟法291条の2)および略式手続(同法461条以下)があったが、即決裁判手続は公訴提起の段階からできること、懲役または禁錮の言渡しも可能であること、また、事実誤認を理由とする上訴ができないことなどの点において、従来の簡易手続とは異なる。

 検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が軽微かつ明白であり、証拠調べが速やかに終わると見込まれること等を考慮して、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、被疑者の同意のうえで、即決裁判手続の申立てをすることができる(同法350条の16)。被疑者に弁護人がある場合には、弁護人の同意(または、その意見の留保)も必要である(同法350条の16第4項)。被疑者の身柄が拘束されていない場合にも国選弁護人制度が適用になり、被告人には、本来は重大な事件に適用される必要的弁護制度(事件の審理をする場合に弁護人がなければ開廷できないとする制度)が適用される(同法350条の17、350条の18、350条の23)。

 迅速な審理を行うために、通常の審判手続規定は適用されず、証拠調べは適当と認める方法で行うことができる(同法350条の24)。被告人または弁護人に異議のないかぎり、伝聞証拠禁止の原則も適用されない(同法350条の27)。できるかぎり即日判決の言渡しがされ(同法350条の28)、懲役または禁錮の言渡しには、かならず執行猶予がつく(同法350条の29)。判決で示された罪となるべき事実についての事実誤認を理由とする上訴をすることはできない(同法403条の2、413条の2)。おもに万引や無銭飲食、薬物の自己使用、外国人の不法在留などの事件で利用されている。

 もっとも、実務上、即決裁判手続の決定があっても後に被告人が否認に転じた場合に備えておく必要があるとすれば、結局必要となる証拠の量に変わりはないことになり、即決裁判手続を申し立てる利点はあまりないという問題があった。そこで、2016年の刑事訴訟法改正において、自白事件の簡易迅速な処理を促進するために、被告人が否認に転じた場合に再捜査ができる措置が講じられ、検察官は、いったん公訴の取消しを行い、改めて再捜査を遂げた後に再起訴することを可能とする法改正が行われた。すなわち、公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは、同一事件についての再起訴の制限を定めた刑事訴訟法第340条の例外として、犯罪事実につき新たに重要な証拠を発見した場合でなくても再起訴ができることとなった(同法350条の26)。これにより、即決裁判手続が予定される事件については、捜査機関はあらかじめすべての捜査を尽くしておく必要はなくなり、自白事件の捜査の簡略化が可能となった。

[田口守一 2018年4月18日]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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