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原罪【げんざい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

原罪
げんざい
original sin
罪には法律上の罪と精神的あるいは宗教的な罪とがあるが,原罪は後者に属するキリスト教的な概念で,自罪と対置される。キリスト教はユダヤ教の影響下に,人類の始祖アダムの堕落物語 (創世記3章) を聖書的典拠として,すべての人間は人祖のを負い,生れながらにして罪のなかにあり,それから脱出する自由を自分ではもたないと説く。これが原罪である。原罪の観念パウロやアウグスチヌスらによって強調され,そこからの救いは神の恩恵にのみよるとされた。原罪からの解放は,カトリックでは信仰しるしである洗礼秘跡に,プロテスタントではキリストの贖罪とキリストへの信仰のみ (ソラ・フィデ) によるとされる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

げん‐ざい【原罪】
original sinキリスト教で、人類が最初に犯した罪。アダムイブ禁断の木の実を口にし、神の命令に背いた罪。アダムの子孫である人類はこの罪を負うとされる。宿罪

出典:小学館
監修:松村明
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デジタル大辞泉プラス

原罪
英国の作家P・D・ジェイムズのミステリー(1994)。原題《Original Sin》。「アダム・ダルグリッシュ警視」シリーズ第9作。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

げんざい【原罪 original sin】
キリスト教神学の用語。旧約聖書《創世記》3章には,まずイブがにそそのかされ,次にアダムがイブにそそのかされて禁じられた木のを食べ,その結果神に罰せられて,あらゆる生の苦しみをもつに至ったと記されている。またこれによって,神の造った世界の中に罪と死とのろいが入り込んだとされる。ドイツ語のUrsündeErbsündeはいずれも原罪を意味するが,前者は最初の罪,根源的な罪を言い,後者は遺伝によって相続される罪を言う。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

げんざい【原罪】
キリスト教で、人類の祖が犯した最初の罪のこと。蛇にそそのかされたイブとともにアダムが神にそむいて禁断の木の実を食べたことが旧約聖書創世記に記されている。アダムの子孫である人間は生まれながらに罪を負うとされる。 → 自罪

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

原罪
げんざい
peccatum originaleラテン語
original sin英語
Erbsndeドイツ語
pch originelフランス語
キリスト教の教理の一つ。人類の初めから罪と死が人間をとらえたので、キリストの十字架の死と復活によって贖(あがな)い、回復されなければならないとする「人類堕落の教義」をいう。これと、人類の始祖アダムが犯した罪が全人類に性交によって遺伝するという、一種の生物学的な思想が微妙な形で結び付くことが多い。
 原罪の思想は聖書に述べられている。「創世記」(3章1~24)で、イブがヘビにそそのかされてアダムを誘惑してエデンの園(その)の中央にある木の実を食べさせ、「神のように善悪を知る者」(3章5)となった結果、神の呪(のろ)いを受けエデンの園から追放されるに至る神話が、原罪説の源泉である。パウロはこの原罪の神話を神学的に深めた。「ロマ書」(5章12)の「ひとりの人によって、罪がこの世に入り、また罪によって死が入ってきたように、こうして、すべての人が罪を犯したので、死が全人類に入り込んだのである」として、人類の普遍的な罪性とアダムの死との連関をとらえ、後世、原罪説のよりどころとなった。
 恩恵の博士とよばれる教父アウグスティヌスは、ペラギウス派との論争の過程で原罪の思想を堅持した。罪を犯さない人間にとってはキリストの救済は不要であり、堕罪のあとでも自然本性によって義に達しうるとするペラギウスに反対して書いた『自然と恩恵』(3―3)でアウグスティヌスはいう。「人間の自然本性は確かに最初は罪も汚れもなく創(つく)られたのである。……しかし、この自然の善き能力を暗くし弱めている罪悪は、そのため照明と治癒とが必要なのであるが―罪のない製作者に由来しているのではなく、自由な意志決定によって犯した原罪から生じている」(金子晴勇訳『アウグスティヌス著作集9』)。418年のカルタゴ会議の決議のなかで、原罪の教義が確認され、トレント公会議で再確認された。
 やがて宗教改革者ルターやカルバンらは、コンクピスケンティア(邪欲)の問題を深めることによって原罪説を支持し、パウロ、アウグスティヌスに拠(よ)りながら、原罪説を展開した。人文主義者エラスムスの『評論・自由意志』に反対して『奴隷的意志』を公刊(1525)したルターは、「ただ1人の人アダムの、ただ一つの違反によって、私たちすべてが罪と刑罰のもとにあるとき、どうして私たちは、罪でもなくまた罰せられるべきものでもない何ごとかを企てうるのであろうか」(山内宣訳)と述べて原罪の教義に固くたっている。カルバンは『キリスト教綱要』第2巻で原罪について述べ、神の像が原罪の結果破壊されたと述べて、人間の本性を「邪欲」としてとらえ、「人間それ自体邪欲にほかならない」とした。
 パスカルが『パンセ』(ブランシュビク版230番)において、「原罪があるということも、原罪がないということも」不可解であるというとき、理性にとって不可解であっても人間の現実にたって原罪を支持している。[加藤 武]
『金子晴勇訳「自然と恩恵」(『アウグスティヌス著作集9』所収・1979・教文館) ▽ルター著、山内宣訳「奴隷的意志」(『世界の名著18 ルター』所収・1969・中央公論社) ▽渡辺信夫訳『キリスト教綱要』全7冊(1962~65・新教出版社) ▽パスカル著、前田陽一・由木康訳「パンセ」(『世界の名著24 パスカル』所収・1966・中央公論社) ▽内村鑑三著『堕落の教義』(『聖書の研究』所収・1925・教文館)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

げん‐ざい【原罪】
〘名〙 キリスト教で、アダムとイブが神にそむいて禁断の木の実を食べてしまったという人類最初の罪。すべての人間は、アダムの子孫として、生まれながら罪を負っているとされる。宿罪。また、転じて、人間が根源的に負う罪。
※吃逆(1912)〈森鴎外〉「それから原罪(ゲンザイ)とか贖罪(しょくざい)とか云ふ思想もさうです」

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