●収束【しゅうそく】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
収束
しゅうそく
convergence



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デジタル大辞泉
しゅう‐そく〔シウ‐〕【収束】
1 分裂・混乱していたものが、まとまって収まりがつくこと。また、収まりをつけること。「事態の
2 数学で、ある値に限りなく近づくこと。収斂(しゅうれん)。⇔発散。
㋐ある無限数列が、ある値にいくらでも近づくこと。
㋑数列の項が、ある値に限りなく近づくこと。
㋒級数の途中までの和が、ある値にいくらでも近い値をとること。
3 多くの光線が一点に集まること。収斂。集束。
4 海洋学で、流線が周囲から一点に向かって集まること。収斂。
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世界大百科事典 第2版
しゅうそく【収束 convergence】


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日本大百科全書(ニッポニカ)
収束
しゅうそく
convergence
ある値に限りなく近づくことを表す数学用語。以前は収斂(しゅうれん)ともいった。
[竹之内脩]
数列の収束
数列a1, a2,……, an,……において、添数のnが限りなく大きくなるとき、anの値がある値Aに限りなく近づくならば、anはAに収束するという。Aをこの数列の極限値とよび、
と書く。収束しない数列は発散するという。数列の収束を論ずる際に基礎となるのは次の定理である。
(1)単調増加。有界な数列は、ある極限値に収束する。すなわち、a1≦a2≦‥‥‥であり(単調増加)、かつある定数Mがあって、すべてのnについてan≦M(上に有界)であるならば、ある値Aがあって、
となる。
(2)数列が基本列ならば収束する。基本列というのは、先のほうに行くにしたがってお互いどうしの差の絶対値がいくらでも小さくなるような数列のことである。
[竹之内脩]
関数値の収束
一つの実変数の関数f(x)を考える。この関数がx=aの近くで定義されているとする(x=aでは定義されていてもいなくてもよい)。ある一定の数Aがあって、aに収束し、かつaと異なる数列x1, x2,……を任意にとったとき、
となるならば、これを「xがaに近づくとき、f(x)はAに収束する」といい、
で表し、Aを、xがaに近づくときの極限値という。さらにx<aでありながらxがaに近づくときの極限値が定義される。これを左側極限値といって、
あるいはf(a-0)で表す。同様に右側極限値
あるいはf(a+0)が定められる。f(x)がx→aのときの極限値を有するための一つの条件はf(a-0), f(a+0)がともに存在して相等しいことである。
以上は1変数の関数の場合であったが、同様のことは変数の数が多い場合(多変数関数)についてもいえるし、関数の値が高次元空間の点の場合(写像または変換)にも適用される。
[竹之内脩]
関数列の収束
ある集合Dの上で定義された関数の列f1(x), f2(x),……があるとき、Dの任意の要素xに対して、数列f1(x), f2(x),……がつねに収束するならば、その極限値をxに対応させて一つの関数f(x)が得られる。この関数を極限関数といい、このとき、関数列f1(x), f2(x),……はf(x)に収束(あるいは、詳しくは各点収束)するといって、
で表す。関数列が各点収束するだけでは、極限関数の性質を十分に得ることができない。関数列の収束の議論には、一様収束および平均収束の概念が重要である。
[竹之内脩]
εδ論法
以上述べてきたことは、収束についての概念的な論じ方であって、数学的に十分に精密な議論ではない。厳密には、収束を次のように定義して論じる。「数列a1, a2,……について、ある数Aがあって、どのようなε>0に対しても、自然数Nを適当にとれば、n≧Nであるようなすべての自然数nに対して、|an-A|≦εが成り立つとき、anはAに収束するという」。また、数列a1, a2,……について、どのようなε>0に対しても、自然数Nを適当にとれば、n, m≧Nであるようなすべての自然数n、mに対して、|an-am|≦εが成り立つとき、この数列を基本列あるいはコーシー列という。数列a1, a2,……がある数Aに収束するための必要十分条件は、それが基本列であることである。次に、x=aの近くで定義された関数f(x)に対して、ある数Aがあって、どのようなε>0に対しても、適当にδ>0をとれば、|x-a|≦δ, x≠aであるようなすべてのxに対して、|f(x)-A|≦εが成り立つとき、f(x)はAに収束するという。これは先に与えた定義と非常に異なるが、内容は同じことになる。収束についてのこのような形の厳密な論理展開は、17世紀イギリスの数学者ウォリスが初めてだといわれている。一般に用いられるようになったのは、19世紀中ごろからである。日本の数学教育のなかでは、大学の数学で初めて登場する。εとδを用いて論じられることが多いのでεδ(イプシロン・デルタ)論法という。
[竹之内脩]
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精選版 日本国語大辞典
しゅう‐そく シウ‥【収束】
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