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吃音【キツオン】

デジタル大辞泉

きつ‐おん【×吃音】
発声時に第1音が円滑に出なかったり、ある音を繰り返したり伸ばしたり、無音が続いたりする言語障害。不安や緊張などの心理的影響が強いと考えられているが、原因は不明。舌・声帯横隔膜など、発声調音構音)・呼吸に関係のある器官痙攣(けいれん)を伴うこともある。音症。吶吃(とっきつ)。どもり。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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朝日新聞掲載「キーワード」

吃音
、ぼ、ぼくは」と同じ音を繰り返したり、「ぼーくは」と引き伸ばしたり、「……ぼくは」と言葉に詰まったりすることを、どもるとか吃音という。おおむね人口の1%にみられ、原因は遺伝的要因や脳の機能障害ともいわれるが、はっきりしない。周囲のからかいから吃音を隠そうとしたり、話す場面を回避したりし、生きづらさを抱える人も少なくない。
(2020-07-14 朝日新聞 朝刊 香川全県・1地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

家庭医学館

きつおん【吃音 Stuttering】
[どんな病気か]
 同じ発音をくり返したり、ことばがつかえたりするなど、ことばのリズムまたは流暢(りゅうちょう)さの障害です。言語発達の初期段階(2~3歳ごろ)に始まる場合もありますが、言語発達が進んだ後年になっておこる場合もあります。
[原因]
 幼児期に生じる吃音は、ことばの発達の遅れにともなうものが多く、ことばを操る脳のメカニズムの発達の遅れと関係している可能性があります。しかし、ことばの遅れた子どもがすべて吃音をともなうわけではないので、ほかの要因、とくに心理的要因も考えねばなりません。
 子どもが神経質で、しかも親が子どものことばづかいや発音に干渉する場合や、大きな精神的ショックを受けて吃音が生じた場合には、心理的要因が強く関係しています。
 情緒不安や精神的葛藤を原因とする説もありますが、これらだけが原因とは単純にいえません。
「吃音をまねしていると吃音がうつる」という俗説がありますが、まったく根拠がありません。
[治療]
 吃音のほんとうの原因がわかっていないだけに、すっきりした治療法がありませんが、周囲の人が吃音児をどのような気持ちで見ているかといった心理的な要因が、直接・間接に大きく影響するので、子どもよりも親や周囲の人へのカウンセリングのほうが重要になります。
 幼児期や小学校低学年のうちは、こども自身がまだ自分の吃音を深く自覚していません。それだけに、周囲の人が吃音を受け入れてやり、吃音があっても平気で話せる雰囲気をつくってあげることがたいせつです。むりに矯正(きょうせい)しようとすると、心理的な圧迫となり、ますますひどくなる場合があります。
 周囲の人が、吃音をおおらかに受け入れていれば、吃音が目立ったり、軽くなったりをくり返しながら、治っていくことが多いのです。
[日常生活の注意]
 吃音児は、親や周囲の人の心理状態に敏感に反応します。それだけに周囲の人たち、とりわけ親や家族の情緒の安定がたいせつで、吃音があっても積極的に子どもの集団に参加させ、たくましく育てる姿勢が求められます。
 吃音を治してから子どもの集団に入れたいという親が少なくありませんが、このような消極的姿勢は逆効果です。吃音があっても堂々と生きていくというたくましさこそ、吃音を治す最良の道といえます。

出典:小学館
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きつおん【吃音】
 ことばの音や音節を頻繁(ひんぱん)にくり返したり、中断したりして、会話が流暢(りゅうちょう)に進まないものです。4、5歳ころ始まることが多く、女児に多くみられます。
 幼児期には、急速な興味の広がりに対して、表現することばや表現力が少ないことから、語をくり返したり、ためらうために吃音を生じることが多く、これは発達上の生理的な現象と考えられます。一方で吃音は内向的、几帳面(きちょうめん)、強迫的な子どもに多く、親の厳格・過干渉とそれにともなう子どもの緊張・不安定感などが指摘されており、神経症的な症状の場合もあります。
 吃音そのものを叱(しか)ったり、指摘したりせず、不安や緊張を取り除くように対応します。長引く場合、年長児になって本人が問題として自覚する場合は、ことばの訓練などが行なわれます(「吃音」)。

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世界大百科事典 第2版

きつおん【吃音】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

吃音
きつおん

言語障害の一つで、ことばが流暢(りゅうちょう)に話せず(非流暢性)、どもる状態をいう。話そうとすると、語音の始めあるいは途中で、発声、構音、呼吸に関係のある器官、たとえば喉頭(こうとう)、舌、口唇、横隔膜などにけいれんがおこり、ことばがつかえ、ある音を繰り返したり、引き伸ばしたりする。このような状態に随伴して、顔が紅潮し、汗をかき、呼吸が苦しいようすで、脈拍も速くなり、顔をしかめ、異様なまばたきをし、激しいときには手足までけいれんすることがある。

 神経や発語器官などに形態的、器質的な病変はまったく存在せず、心理的な機能性障害である。小児で男子に多い。ある特定の語音のときにおこるのが普通で、カ行、サ行、タ行の音が多い。母音でおこることは、ほとんどない。

 原因についてはいろいろの説があるが、もっとも一般に認められているのは、幼児の言語発達に伴い二次的に発生するという説である。すなわち、幼児が言語を獲得してくる過程で、3、4歳ころになると発語意欲がきわめて旺盛(おうせい)になり積極的に話そうとするが、発語器官の働き(運動)が未熟でそれに追い付けなかったり、語音の選択を迷ったりして、どもったような状態になることは珍しくない。これを生理的吃音という。子供自身は自分のことばの非流暢さをとくに意識せずに、なんとかうまく話そうと努力し、自然にその状態から脱出する。ところが、母親など近親の人がその状態をみて、吃音ではないか、あるいは吃音になってはいけないと考え、その状態を治そうとして、うまく話せない語音を何回も繰り返して発音させたり、しかったりする。このようなことがかえって子供に焦り、不安、恐怖などの感じを与え、しだいに子供自身がことばの非流暢さを意識し、真の吃音になってしまうことがもっとも多い。このように、自意識があるかないかが重要であり、生理的に吃音に似た状態になったときにおける適正な指導が、吃音の予防にはもっともたいせつである。

 実際に子供が話の途中でどもるような状態になったときは、その単語を補足してやり、子供がその先を話しやすくし、話そうとする意欲をもつようにするのがよい。その単語を復唱させたり、練習させたりするのは、もっとも悪い。すなわち治療には、精神的・心理的方法がもっともよい。要は、話すことに喜びを感じ、自信を得させることであり、心理劇などを利用することが多くなっている。話し方は、呼吸は深呼吸、発声は軟起声、発語は母音から始め、しだいに練習させていく。

[河村正三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

きつ‐おん【吃音】
〘名〙 どもる音声。声帯、呼吸筋、横隔膜、唇、舌、口蓋筋などの痙攣(けいれん)によって、発音の際、第一音が円滑に出なかったり繰り返されたりするもの。
※読売新聞‐明治三八年(1905)三月一二日「伊沢修二氏が吃音矯正法なるものを創めし以来」

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

吃音
きつおん
Stuttering
(子どもの病気)

どんな病気か

 言葉の発音の流暢(りゅうちょう)さが損なわれる病気のひとつで、言葉の開始時に、最初の音を何回も速く繰り返したり、次の音が出ない状態(いわゆるどもり)です。流暢性障害とも呼ばれます。

原因は何か

 吃音の原因はわかっていません。家族性があり、男児に女児より3倍くらい多くみられます。本人の不安などの心理状態が発症に関与しているといわれますが、これも原因なのか(吃音の)結果なのか不明です。

症状の現れ方

 言葉の発達が急激に進んでいる幼児期から小児期に初めて気づきます。精神的緊張が強い状態で、自分の気持ちを一気に言葉にしようとした時に吃音が起こります。

 最初の音を「た、た、た、たぬき」というように繰り返したり、「たーーー、た、たぬき」と伸ばしたり、あるいは「ーーーーーたぬき」というように最初の音が出ないなどさまざまです。

 言葉を獲得しつつある幼児期の一時的な吃音は幼児の数パーセントにみられますが、次第に軽快し自然に治癒します。成人期の吃音は1%の人にみられます。

治療の方法

 小児期の一時的な吃音は、決してせかしたり注意したりせずに経過をみれば、自然に治るのが普通です。成人期の吃音には訓練が行われます。

榊原 洋一

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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