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和声【わせい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

和声
わせい
harmony
音楽用語。リズムメロディーとともに音楽の3要素の一つ。広義には和音連結一般をさす。しかし近代の音楽理論では,特に 18~19世紀の調性音楽の場合にのみ限定して考えられる。3和音と7ないし9の和音,またそれらの転回形を主音系T (トニック) ,属音系D (ドミナント) ,下属音系S (サブドミナント) に分類し,それらを種々に組合せることによって和声を形成する。なかでT→S→D→Tの形が最も一般的な和声進行とされる。一方,特定の和音群 (終止和声など) を和声という場合もある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

わ‐せい【和声】
音楽で、和音の連なり。リズム旋律とともに音楽の3要素の一。ハーモニー。かせい。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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か‐せい〔クワ‐〕【和声】

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世界大百科事典 第2版

わせい【和声 harmony】
和声(ハーモニー)の語源は,古代ギリシアのハルモニア(調和)に由来するが,今日,和声といった場合,音楽において和音が水平的・時間的に連結されたとき,その音響現象を意味する。したがって広には複数の楽音が垂直的に同時に響く音楽すべてに和声現象が生じるが,狭義には,和音の連結法が作曲技法の基礎となった18~19世紀ヨーロッパの機能和声法を指す。広義には,ヨーロッパ音楽では中世のオルガヌム以降,ルネサンスのポリフォニー音楽などに,まだ十分に規則化されない和声現象が豊かにみられ,また民族音楽においても,ガムラン雅楽などをはじめとして多くみられる。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

和声
わせい
harmony 英語
Harmonie ドイツ語
harmonie フランス語
armonia イタリア語

音楽用語。古代ギリシアのハルモニア(調和)に由来する。

[黒坂俊昭]

定義

音高の異なる二つの楽音の同時的響きを音程interval(英語)、三つ以上の楽音の同時的響きを和音chord(英語)というが、和声とは、そういった音程や和音の水平的進行、あるいはそれらの相互関係をさす。

 通常、和声は10世紀以降の西洋音楽に対して用いられるが、より狭義には17世紀以降の調性音楽(バロック音楽、ウィーン古典派音楽、ロマン派音楽)における機能和声法の体系をさす。確かに「和声」をより広義に解釈した場合、西洋音楽以外の音楽で多声性をもった楽曲にも和声的現象を認めることはできるが、そこでは和音の配列の方法や和音の相互関係の方法などがほとんど考慮に入れられていないため、「和声」とはいいがたい。

 また、和声は音の同時的な響きにかかわるため、通例「音楽の垂直的な側面」としてとらえられ、「音楽の水平的な側面」とみなされる旋律と対立させられる。しかし、和声はあくまでも同時的響きの連続を意味し、声部進行(=旋律)を考慮に入れるため、かならずしも和声と旋律が対立するとはいえない。そのような和音や音程(以下、和音とだけいう)の進行や和音間の相互関係は、時代様式や作曲家の個人様式によってさまざまであるが、その個々の方法をさして和声法、たとえばルネサンス音楽の和声法、ストラビンスキーの和声法などのようにいう。この和声法という用語は、しばしば対位法と対立して用いられるが、同時的響きを考慮しない対位法はなく、逆に各声部の旋律を考慮しない和声法もないことから、和声法と対位法もかならずしも対立した概念ではありえない。

[黒坂俊昭]

歴史

西洋音楽では10世紀の中ごろ、それまで単声で歌われていた聖歌を二声で歌おうとする試み(もとの聖歌の四度音程下に平行に同じ旋律を付け加えた複旋歌=平行オルガヌム)が初めてなされた。このことは、和音の誕生および和声(法)の芽生えを意味し、以降の西洋音楽を他の地域の音楽と区別する決定的な要因となった。というのは、平行オルガヌムでは、すでにその登場のときから、旋律の終止する箇所(終止音とその前の音)で二声間の音程が増四度になるのを避けるため、旋律を反進行ないしは斜進行させる現象がみられ、異なる音高をもつ二音の響きが単に偶然的に羅列されるのではなく、意図をもって協和音程にしようとする方法がとられているからである。ルネサンス期では、四声部以上の楽曲が多くつくられ、さらに三度音程も協和音程に加えられるようになるが、作曲技法としては対位法が中心で、音組織は依然として教会旋法によっていた。バロック時代になると、8種の教会旋法が現在の長・短調の全音階に集約され、フランスのラモーの『和声論』(1722)によって機能和声法の理論が確立する。古典派・ロマン派時代は機能和声法中心の時代である。古典派では単純明快な協和音を多用し、安定した音楽が多くつくられたが、ロマン派になると大胆な不協和音の使用、遠隔調への転調、半音階的書法の使用などにより、和声法がさらに複雑・拡大化された。この傾向は年代を追うごとに強まり、20世紀初頭にはドビュッシーが機能和声法によらない独自の和声法を確立するに至る。そして第一次世界大戦後、シェーンベルクの十二音技法の出現によって機能和声法の歴史は事実上終わりを迎えるが、大戦間の新古典主義の時代にふたたび復活し、多様化された。第二次大戦後は、不確定性の音楽や電子音楽などの出現によって機能和声法はその意味を失う。しかしふたたび今日では、とくに若い作曲家たちの間で機能和声法が見直され、従来とは異なった方法でこれを用いた作品が生み出されている。

[黒坂俊昭]

機能和声法

調性音楽は楽曲ごとにある主音を中心として安定する主調を保持しており、そのなかでは和音が機能的に配列されている。その機能は和声の調的機能とよばれ、トニカ和音tonica(イタリア語、略してT)、ドミナント和音dominant(英語、略してD)、サブドミナント和音subdominant(英語、略してS)の3種類に大別される。トニカ和音は楽曲の調性を決定するうえでもっとも重要な和音で、I度の和音(主和音)およびその代用としてⅥ度の和音などがこれに属する。ドミナント和音はトニカ和音を導いたり半終止をしたりする和音で、V度の和音(属和音)およびその代用としてⅦ度やⅢ度の和音の第一転回などがこれに属する。サブドミナント和音はフレーズの終止に向かうドミナント和音に先だったり、直接トニカ和音と結び付いてフレーズを終止させたりする和音で、Ⅳ度の和音(下属和音)およびその代用としてⅡ度の和音の第一転回などがこれに属する。

 調性音楽ではこのような和音が主軸となって個々の和音が分類され、これらを機能的に配列することによって一連の和音連結、つまり和声が形成される。この和声進行のもっとも顕著な例は、「T→D→T」や「T→S→T」や「T→S→D→T」に代表されるカデンツKadenz(ドイツ語)で、このカデンツこそが機能和声法の根幹をなすといってよい。

[黒坂俊昭]

和声学

和音や和声の分析は、実際の楽曲に際してはそれほど容易ではない。そこで、そういった分析を通して和音や和声に関する事柄を学として系統だてた理論的研究がある。一般に和声学とよばれ、和音の分類に始まり、和音の相互関係あるいは機能的配列方法、さらには楽曲構成における和声の内在的法則などがその分野で研究される。その代表的な研究者はフランスのラモーで、彼の代表的著作『和声論』(正式タイトルは『自然原理に還元された和声論』1722・パリ刊)は、後代の機能和声理論の源流となった。

[黒坂俊昭]

『池内友次郎・島岡讓著『和声 理論と実習』三巻・別巻一『課題の実施』(1964~67・音楽之友社)』『O・アラン著、永富正之・二宮正之訳『和声の歴史』(白水社・文庫クセジュ)』『A・シェーンベルク著、上田昭訳『新版 和声法――和声の構造的諸機能』(1982・音楽之友社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

か‐せい クヮ‥【和声】
〘名〙
① (「か」は「和」の漢音) 二つ以上の旋律が同時に調和して響くこと。わせい。〔辞林(明治四〇年版)(1907)〕
② やわらいだ声。相和してうたう声。〔春秋左伝‐昭公二一年〕

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わ‐せい【和声】
〘名〙 複数の和音の連結。一般に、旋律・リズムとともに西洋音楽の三要素の一つといわれる。ハーモニー。〔音楽字典(1909)〕

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