@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

唯名論【ゆいめいろん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

唯名論
ゆいめいろん
nominalism
普遍者は名辞にすぎないとし,その実在を否定する学上の立場。実在するのは個体だけであり,たとえば赤という普遍概念は多くの赤いもののもつ赤という共通の性質に対して与えられる言葉,もしくは記号で,赤いものを離れて赤が実在するのではないとする。極端な唯名論はこの名辞を与える根拠としての事物間の類似性ということすら否定する。実在論概念論とともに西欧中世普遍論争一派をなした。 11世紀後半ロスケリヌスがこの立場を代表し,14世紀には W.オッカムが体系的理論を展開した。近世では 17世紀イギリスの経験論のなかに復活,T.ホッブズがその代表者。中世にあっては,その初期に確立されたプラトン的実在論やアリストテレス的な緩和された実在論に拠る正統神学にそむくものとして危険思想視され,また明白に唯物論的色彩を帯びていた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

ゆいめい‐ろん【唯名論】
実念論に反対して、実在するのは個物であり、普遍は個物のあとに人間がつくった名辞にすぎないと考える立場。ロスケリヌス・オッカムがその代表者。名目論ノミナリズム。→普遍論争

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

ゆいめいろん【唯名論 nominalism】
名目論ともいい,中世の実念論に対立する立場。個物のみ実在し,類・種などの普遍は実在せず,ただ人間の精神の中で〈個物の後にpost rem〉生じると説く。普遍は等しい個物に対する単なる〈声vox〉ないし〈名nomen〉であるか,個物に面して精神が胎し総括する〈概念conceptus〉または概念の概念として精神により〈総括された記号terminus conceptus〉とされる。ロスケリヌス,アベラール,オッカムが代表者。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

ゆいめいろん【唯名論】
中世スコラ哲学の普遍論争における考え方の一。概念的思惟の対象たる普遍を個物に先立つ実在とみる実念論に対して、個物こそが実在であり普遍とは単に物のあとにある名称にすぎないとする。近世哲学の先駆となる。代表者はオッカムなど。ノミナリズム。名目論。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

唯名論
ゆいめいろん
nominalism英語
Nominalismusドイツ語
nominalismeフランス語
普遍の存在に関する哲学上の説の一つであり、名目論、ノミナリズムという語があてられることもある。この語の由来であるラテン語のnominales(「名称、名称的な人たち」、つまり「名称、名称」と言いたてる人たち)はアベラールの一派につけられた呼称である。唯名論という呼称は、多くの個物(たとえば、複数の人間)に対して一つの名称(たとえば「人間」)が対応しているときに、この多くのものに対して共通であるという性格(この性格を帯びる存在者が普遍)はものの側にではなく、ただ名称nomenの側にのみあるとする主張に由来する。したがって、この立場は、このような性格の存在者をなんらかのものresの側に認める普遍実在論(英、realism)と対立し、ものとして存在するのは個物のみだと主張する。
 唯名論の先駆者と目される11世紀のロスケリヌスは普遍を「音声の流れ」としたといわれるように、まずは、音声voxとして発せられる名称が多くの個物に共通のものであるという立場が成立したと思われる。
 このような音声に普遍を帰する立場から出発したアベラールは、ものと音声としての名称という素朴な唯名論の枠組みを脱して、音声が聞く者に理解を生じさせるという表示significatioの場面を深く考察し、単なる音声ではなく、理解ないし概念を表示する機能を帯びた音声であることばsermoないし名称nomenが普遍であるとした。
 その後、14世紀前半のオッカムは概念が普遍であるとしたが、その概念はことばであって、ものの自然的な記号にほかならない。アベラールやオッカムは概念論に近い主張とみられることもあるが、両者とも結局、ものではなくことばの側に普遍を帰する立場であり、より洗練された唯名論の主張を代表する。やがて、この立場はホッブズを経てイギリス経験論の哲学に引き継がれ、今日でもことに英米系の分析的な哲学において有力な傾向となっている。
 唯名論はことばの側にのみ普遍を認めるとはいえ、ではなぜある範囲の個物がひとまとめにされて一つの名でよばれるのかという点については、極端な唯名論の立場をとらない限り、人間のまったく恣意(しい)的な営みによる(規約による)とまでは主張せず、ものの側に分類のなんらかの原因を認めざるをえない。普遍実在論にならずにその点を説明しきれるかどうかに、唯名論の成否はかかっている。[清水哲郎]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ゆいめい‐ろん【唯名論】
〘名〙 中世哲学において、普遍を実在とみなした実念論に対して、物または個体のみが実在し、普遍は個体から抽象した名にすぎないとした理論。前期はロスケリヌスとアベラールが、後期はドゥンス=スコトゥスとオッカムが代表する。名目論。ノミナリズム。〔普通術語辞彙(1905)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

旺文社世界史事典 三訂版

唯名論
ゆいめいろん
nominalism
中世ヨーロッパの哲学理論の1つ。名目論ともいう
スコラ哲学の時代に普遍を実在とする実在論に対し,普遍は個物から人間の理性が抽象したもので,個物をさす名にすぎないと考えた。ウィリアム=オッカムが代表。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
 
Copyright Obunsha Co.,Ltd. All Rights Reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

唯名論」の用語解説はコトバンクが提供しています。

唯名論の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation