●唯名論【ゆいめいろん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
唯名論
ゆいめいろん
nominalism
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デジタル大辞泉
ゆいめい‐ろん【唯名論】
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世界大百科事典 第2版
ゆいめいろん【唯名論 nominalism】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
唯名論
ゆいめいろん
nominalism 英語
Nominalismus ドイツ語
nominalisme フランス語
普遍の存在に関する哲学上の説の一つであり、名目論、ノミナリズムという語があてられることもある。この語の由来であるラテン語のnominales(「名称、名称的な人たち」、つまり「名称、名称」と言いたてる人たち)はアベラールの一派につけられた呼称である。唯名論という呼称は、多くの個物(たとえば、複数の人間)に対して一つの名称(たとえば「人間」)が対応しているときに、この多くのものに対して共通であるという性格(この性格を帯びる存在者が普遍)はものの側にではなく、ただ名称nomenの側にのみあるとする主張に由来する。したがって、この立場は、このような性格の存在者をなんらかのものresの側に認める普遍実在論(英、realism)と対立し、ものとして存在するのは個物のみだと主張する。
唯名論の先駆者と目される11世紀のロスケリヌスは普遍を「音声の流れ」としたといわれるように、まずは、音声voxとして発せられる名称が多くの個物に共通のものであるという立場が成立したと思われる。
このような音声に普遍を帰する立場から出発したアベラールは、ものと音声としての名称という素朴な唯名論の枠組みを脱して、音声が聞く者に理解を生じさせるという表示significatioの場面を深く考察し、単なる音声ではなく、理解ないし概念を表示する機能を帯びた音声であることばsermoないし名称nomenが普遍であるとした。
その後、14世紀前半のオッカムは概念が普遍であるとしたが、その概念はことばであって、ものの自然的な記号にほかならない。アベラールやオッカムは概念論に近い主張とみられることもあるが、両者とも結局、ものではなくことばの側に普遍を帰する立場であり、より洗練された唯名論の主張を代表する。やがて、この立場はホッブズを経てイギリス経験論の哲学に引き継がれ、今日でもことに英米系の分析的な哲学において有力な傾向となっている。
唯名論はことばの側にのみ普遍を認めるとはいえ、ではなぜある範囲の個物がひとまとめにされて一つの名でよばれるのかという点については、極端な唯名論の立場をとらない限り、人間のまったく恣意(しい)的な営みによる(規約による)とまでは主張せず、ものの側に分類のなんらかの原因を認めざるをえない。普遍実在論にならずにその点を説明しきれるかどうかに、唯名論の成否はかかっている。
[清水哲郎]
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精選版 日本国語大辞典
ゆいめい‐ろん【唯名論】
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旺文社世界史事典 三訂版
唯名論
ゆいめいろん
nominalism
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