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商業利潤【しょうぎょうりじゅん】

日本大百科全書(ニッポニカ)

商業利潤
しょうぎょうりじゅん
commercial profit 英語
kommerzieller (od. merkantiler) Profit ドイツ語

商業資本の行う機能に対して与えられる利潤をいう。資本の価値増殖は生産過程でのみなされ流通過程ではなされないから、流通過程で機能する商業資本は、それ自体直接に価値も剰余価値も生産せず、価値の実現を媒介するにすぎない。それは、商人の取り扱う商品のうちには価値がすでに存在しているからである。

 しかし、商業資本も資本として産業資本と同じ平均利潤を得なければならない。そうでなければ、商業資本は流通部面から引き上げられ、産業資本となるであろう。では、商業資本の利潤はどこからくるか。もし、一見して、商人が販売のための購買の行為

で自己の利潤を得るから、商品を買う価格と売る価格との差とするならば、価格のつり上げや買いたたきなど恣意(しい)的で相手を瞞着(まんちゃく)する偶然的なものになろう。そうではなく、価値どおりに販売してなおかつ平均利潤として商業資本に帰属する利潤を得るには、総産業資本が生産した総剰余価値の一部分を分配するほかはない。すなわち、商業資本は剰余価値を生産せず、その分配のみにあずかるから、産業資本が自ら生産し、自らにのみ分配する平均利潤を、いまや商業資本をも加えて分配することになるので、一般利潤率は産業資本だけのときより低減する。したがって産業資本家は、自己の生産した商品を自分のみに分配するとした現実の生産価格より、それだけ低減した生産価格で商業資本家に販売する。商業資本家が利潤を得るのは、産業資本家が売り渡した生産価格では産業資本が生産した全剰余価値をまだ実現し尽くしていないからである。商業資本は自らの販売により残りの剰余価値を平均利潤として受け取り、ここで初めて全剰余価値は実現する。このように、社会全体の総資本のうち商業資本の比率が大きいほど個別的な平均利潤は小さくなる。

 商業資本は、販売のために購買した商品に投じた資本部分のほかに、計算、簿記、通信などに設けた店舗、事務所、商業設備、紙、郵便などの物的費用部分と、商業労働者を雇う人的費用部分とに投ずる資本部分からもなっている。これらは純粋な流通費であるが、商業資本として投ぜられている以上、これらにも平均利潤がもたらされる。とはいえ、この純粋な流通費部分は、社会的には空費であるから総剰余価値からの控除部分である。したがって商業資本は、自己に帰属する平均利潤を本来の商業利潤とするほかに、社会の総剰余価値から空費として控除される部分があるから、その部分に投じた商業資本部分をも自己の商業利潤の形態で補填(ほてん)するのである。

 人的費用の商業労働力は、剰余価値を生産しないが、賃労働であり、不払い労働がなされ、その分だけ商業資本の経費が節減されるとともに、商業資本に剰余価値の配分を可能にする。

[海道勝稔]

『森下二次也著『商業経済論の体系と展開』(1993・千倉書房)』『菅原陽心著『商業資本と市場重層化』(1997・御茶の水書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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