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商業資本【しょうぎょうしほん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

商業資本
しょうぎょうしほん
commercial capital; Handelskapital
マルクス経済学の用語。商品,貨幣流通過程において機能し利潤を引出す資本の一形態。商品 (W) を売るためにより多くの貨幣 (G) を獲得する行為 (K.マルクスの定式化に従えばG-W-G′) であるが,このような商業活動に従事する商人商品流通がある程度の段階にまで発展すると必ず現れてくる。ここではもはや貨幣は商品と商品との交換のための流通手段 (W-G-W) としてではなく,独立の主体として自己増殖を目的とするものとして現れる。この意味で商業資本は資本の原始的形態であり,近代資本制生産の発展とともに出現した産業資本以前の資本はすべて商業資本である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

しょうぎょう‐しほん〔シヤウゲフ‐〕【商業資本】
社会的総資本うちで流通過程にあり、産業資本から独立して自立化した資本。商品取扱資本と貨幣取扱資本に分類される。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

しょうぎょうしほん【商業資本 commercial capital】
産業資本銀行資本とともに資本主義経済を支える最も重要な資本の運動形式の一つである。産業資本,銀行資本がそれぞれ生産,金融領域で活動するのに対して,商業資本は商品流通の領域(市場)で機能する。商業資本の活動は商品の購入と販売を2契機とし,そこで生じる売買差額が商業利潤の基礎になる。すなわち〈安く買って高く売る〉が行動原理である。もう少し正確には,一定期間の売買の繰返しによって得られた商品の売上総額から商品の仕入代金の総額プラス諸経費を差し引いた残りが,商業利潤である。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

商業資本
しょうぎょうしほん
commercial capital 英語
Handelskapital ドイツ語

資本主義のもとでは、商業資本は、社会的総資本のうち流通過程にある産業資本が分離し、自立化した資本である。産業資本の運動のなかには、流通資本として絶えず商品形態に移行しようとする貨幣資本と、貨幣形態になろうとする商品資本とがあり、流通過程の移行を行っている。流通過程のこのような資本の移行と、それに伴う貨幣流通の純技術的な運動が、特殊な一資本の機能としてそれぞれ独立し、社会的分業によって流通を専門的に分担する特殊な資本家部類の一機能として割り当てられ、固定化するとき、商品資本は商品取扱資本となり、貨幣資本は貨幣取扱資本となる。この両者を一括して商業資本とよぶのである。前者は商品の売買を任務とし、後者は交換に伴う貨幣の支払い、出納、両替、保管などの純技術的操作を行う。

 商品取扱資本は商品を生産するのではなく、商品を売買するだけだから、その運動は貨幣Gを投じて商品Wを買い、ふたたびこれを売るのである。このように、産業資本の商品資本を媒介にして売るために買うG―W―G'の運動をとり、自らも利潤を引き出すのである。したがって商業資本の第一の運動G―W(購買)によって産業資本は最終的販売をしたことになるが、商品は商人の手に移ったにすぎない。商品は第二のW―G'(販売)によって初めて利潤を伴いながら最終的に貨幣に実現する。産業資本にとっては単なる販売の過程W'―G'が、これを媒介する商人にはG―W―G'として、商業資本という特殊な資本の独自な運動として現れるのである。

 こうして商業資本が流通過程に専門的に介在することにより、商品資本そのものが生産者自身の手になる場合より速やかに実現されるばかりではなく、多数の産業資本の代理者となることにより、流通資本が個々の産業資本の必要とする場合より少額で済み、社会の総資本のうち、より多くを生産資本に振り向け、より多くの剰余価値を生産し、その社会的結果として利潤率を高める。また、価値増殖の制限となる産業資本の流通期間を社会全体として短縮し、社会的には空費となり、総剰余価値からの控除となる流通費を節約し、社会の総資本の平均回転期間を短縮し、利潤率を高める。

 とはいえ、流通過程そのものは価値を生み出さないゆえ、商業資本の回転速度は商業利潤には直接影響を与えず、回転が速まれば1回転当りの利潤率は低くなり、販売価格は低下する。この現象が商人に薄利多売の観念を与えるのである。他方、商人は買った商品を最終的に販売しないうちに購買を続けるので、架空の社会的需要が生まれ、これが再生産過程を極度に膨張させ、恐慌による暴力的調整を要する矛盾を醸成する。

 このように流通過程で機能する商業資本は、価値創造も価値増殖もせず、自己の利潤も流通過程から生ぜず、ただ価値の実現を媒介するだけである。

[海道勝稔]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しょうぎょう‐しほん シャウゲフ‥【商業資本】
〘名〙 商業に投資して利潤を獲得するための資本。商品取扱資本と貨幣取扱資本とがある。〔英和記簿法字類(1878)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社世界史事典 三訂版

商業資本
しょうぎょうしほん
commercial capital
商品の流通によって利潤をあげる資本
近代以前の商業資本と近代のそれとは性格を異にする。前者は不等価交換が原則で,商業および高利貸資本の形で存在し,封建的勢力と結びついていたが,産業革命をへて産業資本に圧倒された。近代の資本蓄積前提となった点に史的意義がある。後者は等価交換にもとづき,その利潤は産業資本の利潤の一部にすぎない。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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旺文社日本史事典 三訂版

商業資本
しょうぎょうしほん
商業(流通)活動によって利潤をあげる資本
近代以前,商品生産が競争をひきおこすほどに一般化せず,また交通の未発達により統一市場が形成されていないために地域間の価格差がはなはだしい結果,安く買って高く売るという方法で利潤をひき出した前期的な資本。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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