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喀血・血痰

内科学 第10版

喀血・血痰(症候学)
概念
 喀血・血痰は気道からの出血により血液が喀出されたものである.前者は血液そのものが,後者は痰に血液が付着し喀出されたものである.両者に本質的な差はなく共通の機序による.大量喀血の定義は一定したものはないが大量の喀血による窒息,出血性ショックのため生命の危険にさらされたものである.
 診断に際し,まず気道以外の部位からの出血との鑑別を行う.つまり鼻腔,口腔,咽喉頭腔,食道および上部消化管からの出血と鑑別する.口腔内出血,鼻出血(後鼻孔から咽頭への血液のたれ込み)は口腔内の観察で診断できる.必要により耳鼻咽喉科医に診察を依頼する.
 喀血は鮮紅血を呈し,しばしば泡沫状で咳とともに喀出され,痰や膿性痰の混入がみられる.なお1回の出血量のみならず血液の色調,時間経過を見守る.少量の出血が大喀血の前兆や,重篤な疾患の徴候のことがある.
 大量出血のときには喀血と吐血との鑑別は容易でないことも多い.喀血した血液が嚥下された後に喀出され,逆に吐血した血液が気道内へ吸引された後に喀出されるためである.
病態生理
 出血の機序は気道・血管の直接傷害,気管支静脈の拡張・うっ血,毛細血管の透過性亢進,血小板および凝固・線溶系の異常などに起因する.なお気管支循環系は肺循環系より高圧系のため,その直接傷害により大量喀血をきたしやすい.
鑑別診断
 喀血・血痰をきたす疾患は感染症,腫瘍,心・血管系疾患,免疫学的機序,血液凝固能の異常,薬物および外傷など多数みられる(表2-37-1).
1)病歴聴取:
喀血・血痰の既往,出血傾向,既往歴,飲酒歴,生活歴,家族歴,職業歴,喫煙歴,月経歴および常用薬剤などを聴取する.
2)身体所見:
チアノーゼ,紅斑,紫斑,皮下出血斑,皮膚・粘膜の毛細血管拡張,表在リンパ節腫脹,ばち指,Raynaud現象,皮膚硬化,蝶形紅斑,鞍鼻,耳介の変形,頸静脈の怒張,肝腫大などをみる.心音,呼吸音の異常をみる.連続性雑音は肺動静脈瘻でみられる.限局した連続性ラ音は気道狭窄の所見である.
3)検査の進め方:
血算(白血球分画),生化学,血液凝固能,血液ガス,尿検査,心電図および胸部X線検査を実施する.さらに心エコー,胸部CT,気管支鏡検査,肺動脈・気管支動脈造影および肺換気・血流シンチグラムを考慮する.
 喀痰検査は病原微生物,腫瘍細胞およびヘモジデリン貪食マクロファージの検出に有用である.びまん性肺胞出血のときには抗核抗体,抗好中球細胞質抗体および抗基底膜抗体などを測定する. 40歳以上の重喫煙者は肺癌発症の危険が高いため,たとえ胸部X線検査,胸部CTで異常がなくても喀痰細胞診,気管支鏡検査を行うことが望ましい.
4)治療・予後:
治療は原疾患に基づき行う.気管支ファイバースコープは出血源の同定に有用で,止血操作を可能とし,さらに気管支動脈塞栓術を行うときの部位の推定も可能である.止血方法はアドレナリンなどの薬剤噴霧,バルーンさらにレーザーなどを用いる.これらで止血できないときには気管支動脈塞栓術,外科的処置を考慮する.大量喀血時には窒息,出血性ショックの防止のため気管内挿管により気道を確保し全身管理を行う.また用いる気管支鏡は吸引能や止血操作などを考慮すると硬性気管支鏡が有用である. 血痰・喀血の約5〜15%は各種検査でも原因が同定できず自然に軽快する.しかし定期的な経過観察は必要である.[中村博幸]

出典:内科学 第10版
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それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

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