●四元素説【しげんそせつ】
世界大百科事典 第2版
しげんそせつ【四元素説】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
四元素説
しげんそせつ
theory of four elements
真に「有るもの」は不生不滅・不変不動であるというパルメニデスの一元論に対し、変化のある感覚世界に立脚して紀元前5世紀に古代ギリシアのエンペドクレスが唱えた。イオニアの哲学者たちの根本物質(火・空気・水)に土を加えた四つの根(こん)(元素)は、伝統的な「対立物」としての熱・冷、湿・乾をパルメニデスの「有るもの」として実在化したもので、もう二つの根「愛」「憎」の力によって結合、解離し、万物の諸変化が生じるとした。この説はアリストテレスによって採用され、18世紀末にラボアジエが近代的元素説を提出するまで、七元素説などを派生しながら、基本的な物質観として受け継がれた。しかし、アリストテレスにあっては、真の元素は四元素を形づくる熱・冷・乾・湿の「形相」であり、この形相の変化により元素転換もおこるとされ、健全な唯物論が観念論に変えられ、錬金術の理論的基礎ともなった。
[肱岡義人]
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