@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

固溶体【こようたい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

固溶体
こようたい
solid solution
結晶内で複数の成分が均一かつ無秩序に分布した単固体。金属は結晶質なので,金属元素から成る固溶体では格子点の溶媒原子が溶質原子で置換される (これを置換型固溶体という) 。しかし,溶質が水素,窒素,酸素,炭素,ホウ素など,金属にし小さい非金属原子の場合は,それが格子のすきまに入って固溶体をつくる (侵入型固溶体) 。どちらも溶質原子の位置はまったく無秩序で,溶質原子周辺は格子ひずみを生じて硬化の原因になる。置換型の場合,溶媒と溶質が同じ型の結晶格子で原子寸法差が小さければ,格子のひずみは小さく固溶限が大で,ときには Au-Ag,Au-Cu,Cu-Niのように全率固溶体 (→合金の状態図 ) をつくる。侵入型は格子ひずみが大きいため固溶限は小さく,溶質が増加すると格子型の異なる化合物が現れる。固溶体合金は硬化を示すだけではなく,電気伝導度,熱膨張係数も顕著に下がり,磁気的性質も変化するので,工業的に利用される。純金属を母相とする固溶体を1次固溶体またはα固溶体といい,中間相 (→金属間化合物 ) の固溶体相は状態図上で順にβ,γ,δ,…とギリシア文字で記号する習慣である。固溶体は金属だけでなく,塩類同士でも形成されるが,これは特に混晶といって区別される。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

こよう‐たい【固溶体】
複数の物質がまじり合って均一な状態になっている固体。合金の多くはこれにあたる。→混晶

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

岩石学辞典

固溶体
二種類またはそれ以上の異なった物質が互いに均一に溶け合った結晶質の固相.二つ以上の元素または化合物が混合する場合に,一つの成分の原子や分子が他の成分の構造の中に入り込んで,平衡状態では単一の相をなす固体混合物,結晶体が他種の結晶体を溶かし込んだものと見なしてよい.しばしば同形(isomorphous)の化合物からなっているが,同形は必要な条件ではない.このような混合物の比率は均質性をなくすことなく全組成にわたって固溶体をつくる場合と,ある特定の限られた組成範囲で固溶体をつくる場合がある.多くの普通の火成岩の造岩鉱物は複雑な固溶体を作り,長石,輝石,角閃石などの例がある[Bowen : 1928,片山ほか : 1970,長倉ほか : 1998].

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

こようたい【固溶体 solid solution】
2種類以上の原子が,ある範囲内において任意の割合で均一に混じり合ってできる結晶。混晶mixed crystalとも呼ばれる。ふつうの化合物(定比化合物)では,たとえば化学式AmBn(m,nは整数)で表されるように,その原子数の比は簡単な整数比をなす。非化学量論的化合物(不定比化合物)では,たとえばAxB1-x(0<x<1)のように,原子数の比が整数比からずれている。このxの値すなわち組成の比較的広い範囲にわたって同一結晶構造の相をもつものが固溶体で,xが0と1の間にわたって存在する固溶体を全率固溶体という。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

固溶体
こようたい
solid solution

2種以上の物質が混合して完全に均一な固相となる固体をいう。ある結晶相の格子点にある原子がまったく不規則に別の原子と置換するか、あるいは格子の間隙(かんげき)に別の原子が侵入したものの2種がある。前者を置換型、後者を侵入型の固溶体とよぶ。二成分あるいは三成分型の金属で結晶格子の特定の位置に規則的に別の成分が置換しているときは固溶体とはいわず、金属間化合物という。

 置換型の固溶体は多くの合金や塩化カリウムKClと臭化カリウムKBrの混合物にみられる。塩化ナトリウム型の結晶格子について考えてみると、陽イオンの格子点にはKがあり、陰イオンの格子点にはClとBrが不規則にある。KClとKBrは同一の結晶格子をもち、その大きさがほぼ等しいため、容易に固溶体をつくる。すなわち、互いに置換する原子の大きさがあまり異ならないことが必要である。一方、侵入型の固溶体は、溶質としての成分が室温において結晶でない水素、酸素、窒素などにみられる。このことは、侵入成分の原子が格子点にある原子に比べてかなり小さいことを意味している。鉄に入っている炭素の場合もこれに属する。

 ある固体の結晶に別の元素の原子が溶ける条件は、関係する原子の大きさ、価電子の数、結晶形などである。このように固溶にもおのずから限界があることがわかる。

[吉田俊久]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

こよう‐たい【固溶体】
〘名〙 いくつかの異なる化学組成の物質が均質に混合している固体。結晶構造から見た場合には、置換型と侵入型(または割込型)とがある。合金の多くや、大部分の造岩鉱物はこれに属する。混晶。〔稿本化学語彙(1900)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

化学辞典 第2版

固溶体
コヨウタイ
solid solution

異なる物質(おもに固体どうし)が互いに均一に溶けあった固体.二元合金や類似した2種類の塩類の間でしばしばみられる.2液の混合溶液の場合と同様,連続した割合で溶け合うが,全組成にわたって固溶体をつくる場合と,限られた組成範囲でのみ固溶体をつくる場合がある.前者の場合には,融点と固相の組成の関係を表す融点曲線(固相線)と,凝固点と液相の組成の関係を表す凝固点曲線(液相線)が単調に変化する場合と極小または極大を示す場合とがある.いずれの場合にも液相線は固相線よりも上に位置する.これは液相では固相よりも,その添加により凝固点を低下させる成分を多量に含むことを意味する.固溶体の内部構造には,一方の成分原子(原子団)の位置をほかの成分の原子(原子団)が置換する場合(例:Ni-Cu合金)と,一方の成分(溶媒)の結晶格子間にほかの成分原子が位置する場合(例:炭素を溶かした金属Ni)とがある.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

固溶体」の用語解説はコトバンクが提供しています。

固溶体の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation