@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

国民国家【コクミンコッカ】

デジタル大辞泉

こくみん‐こっか〔‐コクカ〕【国民国家】
民族国家
国民主体としてつくられた国家市民社会基盤としてつくられた国家。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

こくみんこっか【国民国家 nation state】
共通の社会・経済・政治生活を営み,共通の言語・文化・伝統をもつ,歴史的に形成された共同体を基礎として成立した国家を一般に指す。この意味で民族国家とほぼ同意に用いられる。また,多元的分裂状態を克服して成立した統一的な絶対主義国家を含めて国民国家という場合もあるが,絶対君主に集中されていた権力・主権を,市民革命によって奪取した結果形成された国家を指し,その意味で近代国家といわれる。したがって近代国家という観念は,ふつう封建国家や絶対主義国家などに対置して用いられる。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

国民国家
こくみんこっか
nation-state 英語
État-nation フランス語

確定した領土をもち国民を主権者とする国家体制およびその概念。17世紀のイギリス市民革命、18世紀のフランス革命にみられるように、絶対王制に対する批判として君主に代わって国民が主権者の位置につくことにより形成された近代国家、あるいはその近代国家をモデルとして形成された国家を指す。近代の国家システムのなかで、国民は主権者としてのさまざまな権利を有すると同時に、納税、兵役、教育の義務を担うことになる。また国民国家の形成過程において、国民は、国歌の斉唱や国旗への敬礼、言語の標準化等の統制を通して、国家の一員としての帰属意識(国民的アイデンティティ)を形成していく。

 国民国家は、国民の同質性を前提として統合された。国民という均質で固定された主体性の構築は、他方で雑種的でしかありえない言語や文化、またそこから逸脱する少数者に対して抑圧的、排他的な現実をつくり出した。その結果国民国家に潜在化していた矛盾や隠蔽してきた諸問題が露呈していくことになる。とりわけ、第二次世界大戦以降の旧植民地国の独立、またその後の冷戦体制の崩壊による急速なグローバル化のなかで、国民国家の批判的な問い直しが行われている。社会科学や文化研究の領域では、どのような文化・政治的装置によって国民という均質的な「想像の共同体」が現れたのか、国民は歴史的な構築物であるにもかかわらず、なぜ言語や民族によって一定の過去、伝統、文化を保持するものとして自明視されたのか、なぜ国民の形成が人種主義や性差別、外国人恐怖、階級といった社会的な差別構造を伴うのかといった事柄を分析する作業が進められている。

 1983年には、こうした国民国家論の嚆矢となる、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』Imagined Communityが登場した。同書は、近代社会への移行期に登場した世俗語革命による近代小説の成立と出版資本主義によるその流通が国家語の成立に寄与し、言語と出版文化の共有を通じて国民という集団的なアイデンティティが形成されていく社会編成と機制を提示した。同じく83年に出版された『民族とナショナリズム』Nation and Nationalismで、著者アーネスト・ゲルナーErnest Gellner(1925― )は、ナショナリズムを「政治的単位と民族的(文化的)単位の一致を求める一つの政治的原理」であると指摘し、「産業化」と、産業社会の要請に応える高度な「識字能力」の一般化、巨大なコストをかけた教育システムの整備を行えるのは国家しかないと、ナショナリズムの発生を説明した。国民国家を論じたものとしてはほかに、歴史的な観点からアプローチし、国民、国家、民族の実定的なイメージを象徴する伝統もまた近代国家形成期の産物にほかならないと指摘したエリック・ホブズボーム編著の『創られた伝統』The Invention of Tradition(1983)、人種、国民、階級の構成体と資本主義との機能的関連から「想像の共同体」としての民族の創出、国民の形成を論じたエティエンヌ・バリバール、イマニュエル・ウォーラーステインの共著『人種・国民・階級』Race, Nation, Classe(1988)などがある。

 しかし、「国民国家」の幻想性、実体のなさは、伝統や歴史への回帰を語る保守的な思想家、研究者の側も十分に認めるものとなっている。また、「国民国家」の問い直しにおいては、自由な移動が可能なコスモポリタンなエリートの形成、都市のインフラストラクチャーを支える移民たちによる国境を越えたネットワークの確立という点でのグローバル化だけではなく、国家間、都市間の競争に勝ち抜くために自らの歴史的、文化的固有性を強調する観光等の行政政策と併せて、複合的な視点からグローバル化をとらえ、相互に矛盾する効果を分節化していく作業も行われている。「国民国家」の幻想性、実体のなさが露呈され、グローバルな資本の動きが進行するなかで、国家はこれまでとは違った機能を担うことが求められている。

[清水知子]

『エリック・ホブズボウム編著、前川啓治ほか訳『創られた伝統』(1992・紀伊國屋書店)』『酒井直樹著『死産される日本語・日本人』(1996・新曜社)』『酒井直樹ほか編『ナショナリティの脱構築』(1996・柏書房)』『E・ルナンほか著、鵜飼哲ほか訳『国民とは何か』(1997・インスクリプト)』『ベネディクト・アンダーソン著、白石さや・白石隆訳『想像の共同体』(1997・NTT出版)』『エティエンヌ・バリバール、イマニュエル・ウォーラーステイン著、若森章照ほか訳『人種・国民・階級――揺らぐアイデンティティ』(1997・大村書店)』『西川長夫著『国民国家論の射程』(1998・柏書房)』『谷川稔著『国民国家とナショナリズム』(1999・山川出版社)』『M・ヌスバウム編、辰巳伸知・能川元一訳『国を愛するということ――愛国主義(パトリオティズム)の限界をめぐる論争』(2000・人文書院)』『アーネスト・ゲルナー著、加藤節監訳『民族とナショナリズム』(2000・岩波書店)』『大澤真幸編『ナショナリズム論の名著50』(2002・平凡社)』『西川長夫著『国境の越え方』』『花崎皋平著『アイデンティティと共生の哲学』(以上平凡社ライブラリー)』『Tom NairnThe Breaking-up of Britain; Crisis and Neo-nationalism(1977, NLB, London)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

こくみん‐こっか ‥コクカ【国民国家】
〘名〙 同一民族または国民という意識によって形成された中央集権国家。絶対主義国家から市民革命を経て近代的な国民国家となったもの(イギリス、フランス)や、絶対主義国家権力の主導のもとで国民国家を形成したもの(ドイツ、イタリア、日本)、また、植民地や従属国で、民族独立運動に成功してなったものもある。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

国民国家
こくみんこっか
民族国家」のページをご覧ください

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

国民国家」の用語解説はコトバンクが提供しています。

国民国家の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation