●国民栄誉賞【こくみんえいよしょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
国民栄誉賞
こくみんえいよしょう
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知恵蔵
国民栄誉賞
1977年8月、当時の福田赳夫首相が、通算本塁打の世界記録更新が目前に迫ったプロ野球選手、王貞治を表彰しようと発案した。王は同年9月に新記録を樹立し、受賞第1号となった。当時、同様の賞として内閣総理大臣顕彰が運用されていたが、表彰の対象が定められており、プロスポーツ選手の受賞歴はなかった。
これまでの受賞者には、世界5大陸最高峰に登頂した登山家・探検家の植村直己(1984年)、歌手の美空ひばり(89年)、マンガ家の長谷川町子(92年)、俳優の渥美清(96年)、映画監督の黒澤明(98年)、レスリング選手の吉田沙保里(2012年)、元プロ野球選手・監督の長嶋茂雄(13年)などがいる。偉業を達成した人物の没後に贈られることも多く、アラスカで行方不明となった植村を合わせると、美空や長谷川、渥美、黒澤など12人が死後に受賞している。団体としては、2011年、サッカーの女子ワールドカップドイツ大会で優勝した日本代表チーム「なでしこジャパン」に初めて贈られた。
一方で、受賞の対象となった人物が辞退したケースもある。1983年に盗塁の世界記録を更新し、「世界の盗塁王」と呼ばれたプロ野球選手(当時)福本豊は、受賞を打診されたが「国民の手本にはなれない」などとして固辞した。また現在、メジャーリーグでプレーするイチローは、2001年と04年の2回、授与が検討されたが、「今の段階で国家から表彰されるとモチベーションが低下する」などの理由で断っている。
(南 文枝 ライター/2016年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
こくみん‐えいよしょう〔‐エイヨシヤウ〕【国民栄誉賞】
[補説]受賞者一覧(平成30年7月現在)
受賞年 | 名前 | 職業 |
昭和52年(1977) | 王貞治 | プロ野球選手 |
昭和53年(1978) | 古賀政男 | 作曲家 |
昭和59年(1984) | 長谷川一夫 | 映画俳優 |
昭和59年(1984) | 植村直己 | 登山家・探検家 |
昭和59年(1984) | 山下泰裕 | 柔道選手 |
昭和62年(1987) | 衣笠祥雄 | プロ野球選手 |
平成元年(1989) | 美空ひばり | 歌手 |
平成元年(1989) | 千代の富士貢 | 力士 |
平成4年(1992) | 藤山一郎 | 歌手 |
平成4年(1992) | 長谷川町子 | 漫画家 |
平成5年(1993) | 服部良一 | 作曲家 |
平成8年(1996) | 渥美清 | 映画俳優 |
平成10年(1998) | 吉田正 | 作曲家 |
平成10年(1998) | 黒沢明 | 映画監督 |
平成12年(2000) | 高橋尚子 | マラソン選手 |
平成20年(2008) | 遠藤実 | 作曲家 |
平成21年(2009) | 森光子 | 女優 |
平成21年(2009) | 森繁久弥 | 俳優 |
平成23年(2011) | なでしこジャパン | サッカーチーム |
平成24年(2012) | 吉田沙保里 | レスリング選手 |
平成25年(2013) | 大鵬幸喜 | 力士 |
平成25年(2013) | 長嶋茂雄 | プロ野球選手 |
平成25年(2013) | 松井秀喜 | プロ野球選手 |
平成28年(2016) | 伊調馨 | レスリング選手 |
平成30年(2018) | 羽生善治 | 将棋棋士 |
平成30年(2018) | 井山裕太 | 囲碁棋士 |
平成30年(2018) | 羽生結弦 | フィギュアスケート選手 |
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世界大百科事典 第2版
こくみんえいよしょう【国民栄誉賞】
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勲章・褒章がわかる事典
こくみんえいよしょう【国民栄誉賞】
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知恵蔵mini
国民栄誉賞
(2012-10-25)
出典:朝日新聞出版
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日本大百科全書(ニッポニカ)
国民栄誉賞
こくみんえいよしょう
内閣総理大臣表彰の一つ。1977年(昭和52)8月30日内閣総理大臣の決裁により設けられた。この表彰は、広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者について、その栄誉をたたえることを目的として設立された。表彰にあたっては、表彰状および盾が授与され、記念品または金一封を添えることができることとなっている。
[内閣総理大臣官房人事課 2018年7月20日]
資料 国民栄誉賞受賞者
カッコ内は表彰年月。内閣府資料をもとに作成
1 王貞治(1977年9月)
ホームラン新記録達成の功
2 古賀政男(1978年8月)
「古賀メロディー」作曲による実績
3 長谷川一夫(1984年4月)
真摯な精進、卓越した演技と映画演劇界への貢献の功
4 植村直己(1984年4月)
世界五大陸最高峰登頂などの功
5 山下泰裕(1984年10月)
柔道における真摯な精進、前人未到の記録達成の功
6 衣笠祥雄(1987年6月)
野球における真摯な精進、前人未到の記録達成の功
7 加藤和枝(美空ひばり)(1989年7月)
真摯な精進、歌謡曲を通じて国民に夢と希望を与えた功
8 秋元貢(横綱千代の富士)(1989年9月)
真摯な精進、相撲界への著しい貢献の功
9 増永丈夫(藤山一郎)(1992年5月)
歌謡曲を通じて国民に希望と励ましを与えた功、美しい日本語の普及に貢献
10 長谷川町子(1992年7月)
家庭漫画を通じて戦後の我が国社会に潤いと安らぎを与えた功
11 服部良一(1993年2月)
数多くの歌謡曲を作り国民に希望と潤いを与えた功
12 田所康雄(渥美清)(1996年9月)
映画『男はつらいよ』シリーズを通じ人情味豊かな演技で広く国民に喜びと潤いを与えた功
13 吉田正(1998年7月)
「吉田メロディー」の作曲により国民に夢と希望と潤いを与えた功
14 黒澤明(1998年10月)
数々の不朽の名作によって国民に深い感動を与えるとともに世界の映画史に輝かしい足跡を残した功
15 高橋尚子(2000年10月)
2000年シドニーオリンピック女子マラソンで優勝。陸上競技で日本女子選手初の金メダルを獲得し、国民に深い感動と勇気を与えた功
16 遠藤実(2009年1月)
世代を超えて長く愛唱される名曲を数多く作曲し、国民に夢と希望と潤いを与えた功
17 村上美津(森光子)(2009年7月)
舞台『放浪記』において2000回を超える主演を勤めるなど永年にわたり多彩な活躍をし、国民に夢と希望と潤いを与えた功
18 森繁久弥(2009年12月)
映画、演劇、放送の各分野において永年にわたり第一線で活躍し、数多くの優れた演技と歌唱により国民に夢と希望と潤いを与えた功
19 FIFA女子ワールドカップドイツ2011日本女子代表チーム(2011年8月)
「なでしこジャパン」の愛称そのままに日本女性の素晴らしさを存分に世界に示し、東日本大震災の災禍から立ち上がらんとする被災者とすべての国民に勇気と感動を与えた功
20 吉田沙保里(2012年11月)
世界選手権大会、オリンピック競技大会を通じて世界大会13連覇というレスリング競技史上前人未到の偉業を成し遂げ、多くの国民に深い感動と社会に明るい希望と勇気を与えた功
21 納谷幸喜(元・横綱大鵬)(2013年2月)
大相撲史上最多となる32回の幕内優勝などの輝かしい功績を残し、国民的な英雄として社会に明るい夢と希望と勇気を与えた功
22 長嶋茂雄(2013年5月)
我が国の野球史上に残る輝かしい功績と顕著な貢献、国民的スターとして国民に深い感動と社会に明るい夢と希望を与えた功
23 松井秀喜(2013年5月)
野球界に世界的な功績と新たな足跡を残し社会に大きな感動と喜び、青少年に明るい夢と希望を与えた功
24 伊調馨(2016年10月)
オリンピック競技大会史上初めて、女子個人種目4連覇という世界的偉業を成し遂げ、多くの国民に深い感動と勇気、社会に明るい希望を与えた功
25 羽生善治(2018年2月)
比類なき功績を重ね続け将棋界初の永世七冠という歴史に刻まれる偉業を達成し、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えた功
26 井山裕太(2018年2月)
年間グランドスラムを含む囲碁界初の2度の七冠同時制覇という歴史に刻まれる偉業を達成し、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えた功
27 羽生結弦(2018年7月)
冬季オリンピック個人種目日本人初の連覇、フィギュアスケート男子シングル競技66年ぶりの連覇など世界の歴史に残る快挙を達成し多くの国民に深い感動と勇気を、社会に明るい夢と希望を与えた功
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精選版 日本国語大辞典
こくみん‐えいよしょう ‥エイヨシャウ【国民栄誉賞】
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