●地殻変動【ちかくへんどう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
地殻変動
ちかくへんどう
crustal movement
火山地域では地下のマグマの動きによる地殻変動がしばしば観測される。一般に噴火の前に火山体の膨張と隆起が起こり,噴火後には収縮と沈降が起こる。これは噴火に先立って深部から供給されるマグマがマグマだまりに蓄積して圧力が増加するためであり,噴火によってマグマが放出されると逆に圧力が減少するためである,と説明できる場合が多い。火山の地殻変動はマグマの状態や動きを敏感に反映するので,噴火予知の有力な観測項目として注目される。
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デジタル大辞泉
ちかく‐へんどう【地殻変動】
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世界大百科事典 第2版
ちかくへんどう【地殻変動 crustal movement】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
地殻変動
ちかくへんどう
地球の表面を形づくっている地殻が変形する現象。この変形はゆっくりとおきたり、急激に生じたり、いろいろの場合があり、変形に伴って、地殻の一部が破壊されることもある。地殻変動の結果、土地の隆起や沈降、傾斜や伸縮がおこり、断層や褶曲(しゅうきょく)が生成し、さらに造山運動といった大規模な変形も生じる。このように地殻の動きの結果として生じた構造のことも、地殻変動ということが多い。同じ地殻の動きであっても、地震の振動や地球潮汐(ちょうせき)による周期的変形は、通常は地殻変動には含めない。
地殻変動の生じる原因は明らかではないが、いずれにしても地球の内的エネルギーによるものであり、マントル対流の影響が大きいのではないかと想像されている。大地震に伴って明らかな地殻変動の生じた例は多い。1891年(明治24)の濃尾(のうび)地震の際の根尾谷(ねおだに)断層の生成、1923年(大正12)の関東大地震のときの南関東一帯の隆起と水平移動、1964年(昭和39)の新潟地震に伴う粟(あわ)島の傾動などは有名で、同様な例はほかにも多い。このようにはっきりした変化ではなく、地震を伴わずに、ゆっくりとわずかずつおこっている地殻変動もある。こうした緩慢な変動が存在することは、精密な観測、測量を行うことによって初めてわかってくる。
変動が非常にゆっくりしている場合や、急激に生じたものでも変動量が小さい場合には、あまり大きな影響はないように思われがちである。しかし、それが長期にわたって継続し繰り返されるならば、全体では非常に大きな変動となり、その結果が明らかに観察できるようになる。たとえば、海中で堆積(たいせき)した堆積岩が高山でみられたり、二つの地層の上下が逆転していたり、もともと一つにまとまっていた地質構造が水平断層によって何キロメートルも離れてしまうなどの現象である。現在の大きな山脈は、すべてこうした過去の小さな地殻変動の積み重ねでできたものである。このことは、現在の地殻の形成には、過去の地殻変動が、無視できない大きな役割を果たしてきたことの証明でもある。
現在、地殻変動の観測は、主として地震予知のために行われている。大規模な地震は、その発生に先だって地殻の隆起などの小さな変動を引き起こしていることがあり、新潟地震や1980年の伊豆半島東方沖地震では、地震の前兆と思われる変動が確認されている。そのため、地震の予想される地域で地殻変動を監視することが、地震予知の手段の一つとして重要視されている。そして、精密水準測量、光波測量、精密重力測量などの繰り返し、地下観測坑における地殻の傾斜、伸縮観測が精力的に実施されている。さらに広域の地殻変動を検出する最新の手段として、VLBI(超長基線電波干渉法)やGPS衛星(Global Positioning System=全地球測位システム)を利用して高精度の位置測定をする方法が実用化されつつある。1990年代に入って、かなりの規模の地殻変動が、一瞬におこるのではなく、数十秒の時間をかけて生ずる場合のあることがわかってきた。これはヌルヌル地震などとよばれ、あまり大きな地震を伴わずにおこる。しかし海底でこの変動が生じると津波は押し寄せるので、この種の地殻変動の検出と対策が急がれている。
[長沢 工]
『木村政昭著『地震と地殻変動 琉球弧と日本列島』(1985・九州大学出版会)』▽『木村政昭著『噴火と地震――揺れ動く日本列島 群発地震と火口底上昇で地殻変動を予測する』(1992・徳間書店)』▽『米倉伸之編著『環太平洋の自然史』(2000・古今書院)』▽『木村敏雄著『日本列島の地殻変動 新しい見方から』(2002・愛智出版)』
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精選版 日本国語大辞典
ちかく‐へんどう【地殻変動】
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