●場【ば】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
場
ば
field
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デジタル大辞泉
じょう〔ヂヤウ〕【場】
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じょう【場】[漢字項目]
[学習漢字]2年

1 何かが行われる所。「場外・場内・場裏/会場・開場・漁場・劇場・式場・出場・戦場・退場・登場・道場・農場・満場・浴場・来場・試験場」
2 ひとしきり。一回。「一場」

[難読]弓場(ゆば)
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ば【場】

1 物や身を置く所。場所。「足の踏み
2 ある事が行われる所。「仕事の
3 ある事が行われている所の状況。また、その雰囲気。「その
4 機会。折り。「話し合いの
5 芝居や映画などの場面。特に舞台で、一幕のうち、舞台情景を変化させず、同じ場面で終始する一区切りの部分。「源氏店(げんじだな)の
6 花札やトランプなどのゲームで、札を積んだり並べたりしてゲームを進めていく所。また、マージャンで、東西南北の局面。
7 取引所内の売買をする所。立会場のこと。「
8 ゲシュタルト心理学で、行動や反応のしかたに直接影響し関係する環境や条件。「
9 物理学で、そのものの力が周囲に及んでいると考えられる空間。電磁場・重力場など。

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世界大百科事典 第2版
ば【場 field】
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Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
ちゃん【場】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
場
ば
空間座標の関数である物理量、すなわち空間の至る所に分布している物理量を場という。場の概念の始まりには、弾性体の理論と流体力学が大きく寄与しており、その展開には18世紀前半のダニエル・ベルヌーイ、オイラー、ガウス、リーマンなどがかかわっている。これらは液体などある物体の上の場であるが、現在では、真空に広がる場が基本的であって、それによって物体もつくられると考えられている。そのような考えは電磁場によってもたらされたもので、その導入はファラデーに始まる。ファラデーは、電気的作用と磁気的作用の一つの物体から他の物体への伝達の研究から、電気あるいは磁気を帯びた物体の周りの空間に電磁気の場が存在するという考えに導かれた(1837)。電磁場の基本法則はイギリスのマクスウェルによって確立され、それらは「マクスウェルの方程式」として数学的に表現された(1864)。この方程式によれば、電磁場の変化は空間を有限の速さで伝わり、空間には、物体が存在していないところにも、場のエネルギーが蓄えられる。また、空間における電磁場の変化は波動として伝わり、その速度は光速度に等しいこともマクスウェルの方程式から導かれる。このことから、光は電磁波の一種であることが知られる。電磁波の存在、したがって電磁場の物理的な実在性は、マクスウェルの理論が発表されてから20年後に、ドイツのH・R・ヘルツによって実験的に確かめられた(1888)。
[町田 茂]
物体(粒子)と場
こうして、自然は、粒子(原子、分子など)からなり空間の一定の部分だけを占める物体と、空間の至る所に広がる場とからなると考えられるようになった。物体あるいは粒子と場との基本的な違いは、空間に局在するか遍在するかのほかに、不可浸透性の有無がある。すなわち、物体あるいは粒子は空間のある領域を占めて一定の広がりをもち、その中に他の物体を入れない(不可浸透性)のに対し、場は空間の至る所にあり、このような不可浸透性をもたず、互いに浸透可能である。すなわち、場は、自然全体を満たしている媒質であるかのように考えられる。
[町田 茂]
場の源と自由場
二つの荷電物体は互いに引力あるいは斥力を及ぼすが、これは、それらの物体の周りに電場ができるためである。このとき荷電物体をその場の源という。電場の強さを決めるのは荷電の大きさである。同じように、重力も物体の周りの重力場によるものであり、その強さは源である物体の質量に比例する。このように源に結び付いた場のほかに、空間を自由に進行する波動としての場がある。これを自由場という。
[町田 茂]
場の種類
場は空間あるいは時間・空間座標の変換に関して一定の性質をもっている。たとえば、空間の各点で、その点の関数であるベクトルを考えると、これはベクトル場であって、座標変換に対して、各点の座標だけでなく、関数の形もベクトルとして変換する。座標の連続変換に対してはベクトルと同じ変換をするが、座標軸の反転に対して符号だけ逆のものを擬ベクトル場という。また、関数形がまったく変わらない場合、反転に対して変化しない場と符号だけ変わる場合とがあり、それぞれスカラー場および擬スカラー場という。たとえば光子の場はベクトル場であり、π(パイ)中間子の場は擬スカラー場である。一般的には、n個のベクトルの積と同じ変換をする場をn階テンソル場という。スカラー場とベクトル場は、それぞれ零階および1階のテンソル場である。電磁場の強さは2階テンソル場で表される。テンソル場のほかにスピノル場が存在する。物理学に最初に現れたスピノル場は、イギリスのディラックが1928年に、相対性理論の要請を満たす電子の波動方程式の解として導入したもので、スピンが2分の1の粒子を記述する。一般に、スピノル場はスピン半整数の粒子の場を記述し、n階テンソル場はスピンが整数nの粒子の場を表す。テンソルはスピノルによって表せるが、逆はできない。
自然に存在する素粒子を記述する場は、これらの場のどれかに属する。その理由は次のようである。特殊相対性理論によれば、互いに等速直線運動をしている二つの観測者にとって、自然法則はまったく同じはずであるから、四次元時空における座標変換であるローレンツ変換をするとき、粒子の質量もスピンの大きさも不変でなくてはならない。このことから、素粒子の場は一定の階数のスピノル場またはテンソル場に限られることがわかる。
[町田 茂]
場の量子論
場の量子論quantum theory of fieldsは、物理量としての場が量子力学の法則に従うとするものであって、1928年にドイツのハイゼンベルクと、スイスのパウリによって一般論が建設された。場は空間の各点ごとに定義され、それぞれ独立な自由度をもつから、場の量子論は、量子力学を連続無限個の独立変数の系に適用したものとみることもできる。場の量子論は、ハイゼンベルクとパウリの一般論の前に、ディラックによって電磁場に対してつくられ、これによって、電磁場が単に古典論的な場でなく、電磁場の量子として光子が現れて粒子性と波動性とを示し、光子が発生したり消滅したりするようすがみごとに記述されていた。このように、場を量子化すると、その場に伴う量子が現れ、それらは発生したり消滅したりする。実際、場の量子論でもっとも基本的なのは、場の量子の発生および消滅を表す演算であって、場の量子の存在ではない。現在、素粒子を取り扱うもっとも高度な理論は、この場の量子論であって、したがって、すべての素粒子は発生したり消滅したりするものとして扱われている。このことは、また、実験ともよく一致している。場の量子論では、場の量子は、他の場と相互作用をし、それによって反作用を受けて質量や荷電などが変化する。これを計算すると無限大の答えが出るが、ある種の理論では、それを観測する質量や荷電の値にくりこんでしまうと、それ以外に無限大は現れず、他のすべての観測量を詳細に計算できるようになる。これがくりこみ理論で、朝永(ともなが)振一郎によって始められ、ますますその重要性がはっきりしつつある。
[町田 茂]
すべての自然の基礎としての場
現在知られている限り、宇宙のすべての物質は素粒子あるいはそれと類似と考えられるものでつくられており、それらの基本的な性質は場の量子論で表されると考えられているが、これは、場の量子論以前の自然観と比べると非常に違っている。
場の量子論以前には、物体を構成する粒子、たとえば電子は、光子と違って、消滅したり発生したりすることはなく、不生不滅で、ただその運動状態が変わるだけと考えられていた。これはギリシア時代の原子論の流れをくむものである。これに対して、量子化された場に伴う粒子は発生したり消滅したりすることが、むしろ本性である。このため、場の量子論は、現実の素粒子が絶えず発生したり消滅したりし、そのほとんどが非常に短い寿命で自然に他の素粒子に転化するようすを記述することができる。一面からみれば、場の量子論は、発生したり消滅したりする粒子を記述するための理論ということもできる。したがって、場の量子論に基づく現代の自然観では、物質は基本的には、すべて空間に広がった場からなり、それに伴う量子として素粒子が存在するのであって、日常的にみられるすべての物体も、そのような場の励起の集合体であると考えられる。ギリシア時代の原子論が、空虚のなかの不生不滅の粒子という自然観であったのに対し、現在の場の量子論に基づく自然観では、自然のもっとも基礎にあるのは、空間全体に広がる場である。一般相対性理論まで考慮すれば、時空の性質も本質的に場の分布によって規定される。
[町田 茂]
統一理論
素粒子は数百種類もあり、そのすべてが基本的な場であるとは考えられない。現在では、陽子・中性子など物体をつくる素粒子(ハドロン)を構成するクォークと、電子・ニュートリノなどのレプトンと、それらの間の力を媒介する光子・重力子などが基本的とされる。
素粒子の間には電磁・弱・強・重力の4種類の相互作用があるが、1970年代後半から電磁および弱い相互作用を統一する(電弱)統一理論と強い相互作用を記述する量子色(いろ)力学(QCD)とが、重力を除いて、自然現象をよく記述することが明らかになった。これを標準模型とよんでいる。(電弱)統一理論と量子色力学とをさらに統一しようとする理論は大統一理論とよばれる。
[町田 茂]
超ひも理論
さらに重力をも含めて、すべての相互作用を統一することを目ざして、1984年以降、超ひも理論が活発に研究されている。
重力をも含めると、場の理論特有の困難が、先に述べたくりこみ理論では避けられなくなる。これは空間の各点における点状の場(局所場)を基礎にしているためであって、その困難を乗り越えるためには一点上に限られない場を基礎にする必要があると考えられる。これを非局所場といい、1950年代に湯川秀樹(ひでき)がその重要性を強調した。
そのもっとも簡単な形態である一次元のひも(弦)を基礎とする理論は、1970年代に、強い相互作用をする素粒子(ハドロン)の理論として始められたが、84年以降、超対称性という特殊な対称性をもつプランク長さ(約10-33センチメートル)程度の非常に短いひもがすべての自然のもとであるとして、重力を含め、すべての相互作用を統一する可能性をもつ理論として盛んに研究されるようになった。これが超ひも理論である。とくに90年代の後半以降、宇宙論との結び付きもみいだされ、新しい宇宙像を示すようになった。しかし、超ひも理論特有の理論的予言が実験的に確かめられているわけではなく、未解決の理論的な問題も多い。この理論ではわれわれが住む時空は、いままで信じられていた四次元ではなく、実は十次元であって、そのうちの余分な六次元はプランク長さの程度に縮まっているため、普通の観測にはかからないと考えられる。しかし、この余分な次元の効果の現れをみいだす研究もされている。
[町田 茂]
『W・パウリ著、大場一郎訳『パウリ物理学講座6 場の量子論』(1976・講談社)』▽『武田暁著『物理学選書21 場の理論』(1991・裳華房)』▽『アブドゥル・N・カマール著、高橋康訳『場の理論計算入門』(1998・講談社)』▽『S・ワインバーグ著、青山秀明・有末宏明・杉山勝之訳『ワインバーグ場の量子論6 超対称性――非摂動論的効果と拡張』(2003・吉岡書店)』▽『G・パリージ著、青木薫・青山秀明訳『場の理論――統計論的アプローチ』(2004・吉岡書店)』
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精選版 日本国語大辞典
じょう ヂャウ【場】
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