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変動為替相場制【へんどうかわせそうばせい】

知恵蔵

変動為替相場制
為替相場が自由に変動し、外国為替市場における需給関係によって決定される為替相場制度。国際収支の不均衡が為替相場の変動によって自動的に調整される、といわれる。デメリットとしては、円ドル相場が中長期的に大きく変動したように、実際の為替相場が均衡為替相場から中長期的に乖離する場合があること(為替相場のミスアラインメント)が挙げられる。変動為替相場制といっても、通貨当局が全く介入を行わず、市場実勢にまかせることはほとんどなく、相場の行き過ぎを是正するために当局が市場に介入するケースが多い。1971年8月の米ドルの金交換性停止によりブレトン・ウッズ体制が崩壊し、73年3月から主要国のほとんどが変動為替相場制に移行したが、78年4月、IMF協定の第2次改正で変動為替相場制が正式に認知された。変動相場制を採用する国は、90年代に入り増加傾向にある。複数の通貨によって構成されるバスケットに対して為替相場を固定するものを通貨バスケット制(currency basket system)と呼ぶ。経済関係の深い国々との経済関係を適切に反映するような通貨バスケット制を採用することにより、他国通貨の為替相場変動の影響を極小化することができる。具体的には、自国通貨と複数の他国通貨との名目為替相場を一定の割合(例えば貿易比率)で加重平均して実効為替相場を算出し、それを安定化させる政策をとる。近年、東アジアではアジア通貨危機の経験から、事実上のドルペッグ制(自国通貨を米ドルに連動させる制度)が持つ問題点に対する認識が深まり、通貨バスケット制を採用すべきとの意見が有力。もっとも、先進国主要通貨間の為替相場の変動が基本的に小さくないことから、通貨バスケット制を選択する場合でも、為替バンド制(目標相場圏内で為替相場の変動を認める制度)などを併用した弾力的な制度運営を行うことが望ましいとされる。
(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

へんどう‐かわせそうばせい〔‐かはせサウばセイ〕【変動為替相場制】
外国為替相場を固定しないで市場の需給による変動に任せる制度。変動相場制。フロート制。→固定為替相場制

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

へんどうかわせそうばせい【変動為替相場制 floating exchange rates system】
各国の通貨相互間の価値が,外国為替市場の需給関係によって決定されるような為替相場制度をいう。略して変動相場制ということが多い。これの対極固定為替相場制。外国為替市場で外貨を対価とする自国通貨の売りが増えれば,自国通貨の対外価値は減価し,逆に外貨の売りが増えれば,自国通貨の対外価値は上昇(増価)する。通貨当局が外国為替市場へまったく介入しない場合を自由変動相場制というが,歴史上完全な自由変動相場制が採られた例は比較的少なく,多くは為替管理を伴うか,または通貨当局の介入を含む管理フロート制である。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

へんどうかわせそうばせい【変動為替相場制】
外国為替相場を固定せず、市場の需要と供給によって変動させる制度。変動相場制。フロート制。 ⇔ 固定為替相場制

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

変動為替相場制
へんどうかわせそうばせい
floating exchange rate system
為替相場を外国為替市場における需要供給の状態に任せて変動させる為替相場制度。略して変動相場制ということが多い。固定為替相場制に対立する概念。変動相場制は自由変動相場制(フリー・フロートfree float)と管理変動相場制(管理フロート)とに分けられる。前者は為替相場の動きをまったく自由にしておく制度で、通貨当局は外国為替市場に介入しない。これに対し後者は、為替相場が乱高下するような際には市場へ介入することがある。
 歴史的にみて為替相場が無秩序に変動した時期は、第一次世界大戦後から金本位復帰までと、1930年代の金本位崩壊後、そして1970年代であったが、このうちで制度として変動相場制が認められたのは1976年以降である。すなわち、この年キングストン(ジャマイカ)で開かれた国際通貨基金(IMF)暫定委員会は、各国は固定相場制でも変動相場制でも自由に選択できることで合意し、変動相場制が制度として正式に認知され、これ以降名実ともに総フロート時代となった。それまでの変動相場制は制度としてではなく、固定相場制の崩壊によって生まれた無秩序なものであった。
 変動相場制に期待されたもっとも基本的な機能は、為替相場の変動によって国際収支の均衡を達成することである。いま国際収支が赤字になったとすると、外国為替市場では外貨に対する需要が供給を上回ることになり、為替相場は外貨高(邦貨安)となる。そのような為替相場の変化は、一方では輸出価格を下げるので輸出を増加させ、他方では輸入価格を引き上げて輸入を抑える効果をもち、収支赤字を改善することができる。また、変動相場制へ移行すると為替リスクが増大するので、金利裁定や為替投機などの短期的な国際資金移動をしにくくさせる。これらの機能が発揮されると、各国は財政金融政策をあげて国内均衡対策に振り向けることができ、政策運営の自主性が確保できる。そうした結果、外貨の節約やインフレまたはデフレの国際波及を遮断することも可能となる。
 しかし、実際の経験では、国際収支の調整には時間がかかり、国際資本移動は逆に活発化して、その結果為替相場の変動は予想をはるかに超えて大幅となり、各国の政策はそのために拘束された。また、インフレも歯止めを失って助長されることが多く、期待とは逆に世界経済を不安定に導くこともあった。1985年のプラザ合意以降は、基本的には変動相場制を基調にしつつも、情勢によって適宜市場に介入する協調介入体制が定着している。[土屋六郎]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

へんどう‐かわせそうばせい ‥かはせサウばセイ【変動為替相場制】
〘名〙 外国為替相場を市場の需給に任せて自由に変動させる制度。為替投機に対して抵抗力が強いが、相場の変動が大きいため取引に不安が伴い、通商の活発化を阻害することがある。変動相場制。⇔固定為替相場制

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社日本史事典 三訂版

変動為替相場制
へんどうかわせそうばせい
外国為替相場を市場における需要・供給の状態に任せて変動させる制度
第二次世界大戦後は,IMF体制の下で固定相場制がとられてきたが,1971年のドル‐ショック契機に動揺し,'73年に日本を含む先進主要国は変動為替相場制へ移行した。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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