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変形性膝関節症【へんけいせいしつかんせつしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

変形性膝関節症
へんけいせいしつかんせつしょう
osteoarthritis of the knee joint
関節関節軟骨の退行性変化による疾患。中・高年の肥満した女性に多い。膝関節のはれ,正坐ができない,階段下降がつらい,歩きはじめが痛いなどの症状がある。そのうちに水がたまり腫れてくる。この段階になると正座,階段の昇降ができなくなり,次第にがに股から膝が曲ったまま伸びなくなる。関節に負担をかけないように肥満を避けること,大腿四頭筋を強化すること,運動をしたり長時間歩いたために膝に大きな負担がかかると思われるときにはサポータを使用する,などの注意が必要である。症状の強いときには,関節穿刺,ステロイド剤の関節内注入,消炎鎮痛剤投与などが行われる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

変形性膝関節症
膝関節の軟骨がすり減って関節が変形し、痛みが出る。初期は立ち上がりや歩き始めなど動作の始めに痛むだけだが、進行すると正座や階段の上り下りが困難になる。歩くことが難しくなり、寝たきりになる場合もある。男性より女性に多く、高齢者ほど罹患(りかん)は高くなるという。治療では痛み止め薬を使ったり、関節内にヒアルロン酸注射を打ったりする。それでも改善しない場合、人工関節に置き換える手術などを検討する。 厚生労働省の2008年の報告書では、国内の自覚症状がある患者は約1千万人、潜在的な患者は約3千万人と推定されている。
(2016-03-30 朝日新聞 朝刊 愛媛全県・1地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

へんけいせい‐しつかんせつしょう〔‐シツクワンセツシヤウ〕【変形性膝関節症】
膝関節の軟骨が摩耗・変形し、痛み・運動障害をきたす疾患。進行すると膝に滑液がたまったり、膝の屈曲歩行が困難になることがある。中高年の女性に発症することが多い。運動療法・薬物療法のほかに、内視鏡を用いて痛みの原因となる軟骨を除去する関節鏡手術や、人工関節手術などの治療法がある。へんけいせいひざかんせつしょう。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
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へんけいせい‐ひざかんせつしょう〔‐ひざクワンセツシヤウ〕【変形性膝関節症】

出典:小学館
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編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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家庭医学館

へんけいせいしつかんせつしょう【変形性膝関節症 Osteoarthritis of the Knee Joint】
[どんな病気か]
 中高年の人の膝(ひざ)の痛みの原因としてもっとも多いもので、膝の関節の軟骨がすり減ったために、痛みがおこります。
 若いときに、関節内の靱帯(じんたい)が切れたり、半月板(はんげつばん)にひびが入って、二次的におこることもありますが、多くは原因がよくわからないまま、年をとるとおこってきます。
 男性よりも女性に多くみられる病気です。また、O脚(オーきゃく)の人で、膝の内側に体重がかかり、内側の軟骨がすり減ってしまうといったタイプが多くみられます。
[症状]
 最初のころは、動作のはじめ、とくに正座やいすから立ち上がるとき、歩き出すときなどに痛みが出るのが特徴です。
 しだいに、階段の昇り降りや、平地歩行でも痛みが出てきます。
 そのうちに、膝に水がたまって腫(は)れてきます。さらにひどくなると、膝の曲げ伸ばしのたびに、ギシギシ音がしたり、膝が曲がったまま、伸びなくなってしまうこともあります。
[治療]
 日常生活で注意することは、肥満の人は体重を減らすことと、膝の周りの筋肉を鍛えることです。
 膝に痛みがあると、膝をかばい、膝の周りの筋力がおちて、関節の安定性が悪くなり、さらに痛みも強くなるという悪循環をおこします。
 この悪循環を断つためには、体重をかけないで、膝の周りの筋力をつけることです。
 膝を伸ばして、脚の上げ下げを1度に80回、日に3度くり返す運動を続けることがたいせつです。
 O脚で、膝の内側に痛みのある人は、体重が膝の外側にかかるようにした靴の中敷を使うことも必要です。
 サポーターは、一時的にはよいのですが、長く使用すると膝の周りの筋力がおちることがあるので、注意が必要です。
 痛みが強いときは、消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)の内服や関節注射も有効です。
 関節注射には、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)剤とヒアルロン酸が用いられ、初期の症状に有効です。ヒアルロン酸は、軟骨の表面を保護したり、また、滑りをよくしたりします。
 ステロイド薬は、何回も注射すると、かえって膝を悪くすることがあるので使用にあたって注意が必要です。
 このような治療を続けても痛みがとれないときは、手術が必要になります。手術には、下腿(かたい)(膝から足首まで)の骨を切ってO脚を矯正(きょうせい)する手術と、人工関節に置き換える手術があります。
 また最近では、関節鏡という内視鏡で関節の中をよく調べ、関節内のごみ(はげおちた軟骨片(なんこつへん)など)を洗い流したり、ひびが入った半月板を削って関節がなめらかに動くようにするなど、大がかりでない手術もあります。
 どの手術を行なうかは、膝の変形の程度によって決まります。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

六訂版 家庭医学大全科

変形性膝関節症
へんけいせいひざかんせつしょう
Osteoarthritis of the knee
(お年寄りの病気)

 変形性膝関節症は、変形性関節症のなかで最も多く、「年をとって膝が痛い」という場合のほとんどがこの病気です。女性に起こることが多く、ほとんどが内反型、すなわちO脚状の変形を伴い、病気が進むにつれて内側の関節面の軟骨がすり減っていきます。

症状の現れ方

 典型的な症状は、長距離歩行時の痛みから始まり、正座ができなくなり、立ち上がりやしゃがみ込み、階段昇降がつらくなり、次いで歩行もしづらくなってくるといったものです。一方で、安静時の痛みは少ないのが普通です。時に水がたまることもありますが、通常何カ月も続きません。進行してくるとO脚状の変形が強くなり、膝は慢性的にはれて大きく見え、曲げ伸ばしの角度が徐々に悪くなってきます。

治療とケアのポイント

 内服薬、外用薬、注射、理学療法、手術などです。

 内服薬は、消炎鎮痛薬が主になります。常用すると胃潰瘍(いかいよう)などが心配なので、痛みが強い時だけ、あるいは外出の予定がある時だけ服用するといった服用方法がよいと思います。ただ、安静時も痛い、痛みで眠れないといった場合は、1日2~3回、時間どおりに服用する場合もあります。

 外用薬は、皮膚からの吸収がよい消炎鎮痛薬の入った湿布、塗り薬を使います。冷湿布と温湿布のどちらがよいかよく聞かれますが、今の外用薬は消炎鎮痛成分の効果を期待しているので、冷たいか温かいかで大きな差はありません。両方使ってみて自分に合うほうを決めるのもひとつの方法です。ただ、温湿布は皮膚への刺激が強いので、かぶれが多い傾向にあります。

 注射は、主にヒアルロン酸という、関節液や軟骨の成分を含んだ注射剤をよく使います。潤滑剤としてのはたらきや炎症を抑える効果があります。また、ステロイド薬を使うこともあります。炎症や痛みを抑えるのに高い効果がありますが、使いすぎると逆に軟骨や靭帯(じんたい)を弱くする心配があります。

 理学療法では、温熱療法がよく行われます。いわゆる“デンキをかける”という治療もこれにあたります。効果は一時的な場合から、すっかりよくなる場合まで、膝の状態によってさまざまです。1~2カ月続けてみて、効果があるようなら続けます。太ももの筋肉(大腿四頭筋(だいたいしとうきん))を鍛えることも重要です。大腿四頭筋を鍛えるには、あお向けに寝た状態で、片脚を伸ばしたままで挙上します。かかとが床から10㎝程度離れたところで止めて、5~10秒間。これを10~20回行います。この運動を3カ月続けると、膝の痛みが明らかに改善すると報告されています。

 変形性膝関節症の手術には、高位脛骨(こういけいこつ)骨切り術、関節鏡手術、人工膝関節全置換術(じんこうひざかんせつぜんちかんじゅつ)などがあります。病院では、痛みの程度や歩行能力、年齢、X線所見、患者さんの希望などを考慮して手術の適否を決定し、手術法を選択します。人工関節置換術は、長期成績も良好で手術後のリハビリテーションも早く進むので、年々手術件数が増えています。ただし、手術した関節への細菌感染、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)(いわゆるエコノミークラス症候群)などの合併症も起こりえるので、担当の医師とよく相談して決めましょう。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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変形性膝関節症
へんけいせいしつかんせつしょう
Osteoarthritis of the knee
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 長年の使用や繰り返される負担、けがなどによって、関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形が生じたりする病気です。

原因は何か

 原因がはっきりしない加齢に伴う一次性の変形性膝関節症と、何らかの原因で生じる二次性の変形性膝関節症があります。二次性の原因には骨折、脱臼、十字靱帯損傷(じゅうじじんたいそんしょう)半月板(はんげつばん)損傷などの外傷、痛風(つうふう)化膿性関節炎などの炎症、関節の変形などによって生じるものがあります。

 女性や肥満の人に比較的多い病気で、年齢とともに多くなります。

症状の現れ方

 初期には膝のこわばり感や、歩き始め、階段の昇降、長時間の歩行、立ち仕事のあとなどに痛みが起こります。初期でも炎症が強い時期には関節内に関節液がたまり、関節がはれて膝を曲げたときに強い痛みを伴うことがあります。

 変形が進行するにつれて動きが制限され、正座や膝を完全に伸ばすことができなくなり、痛みや歩行障害も加わって徐々に日常生活が制限されてきます。また、O脚やX脚といった変形が進行することがあります。

 膝の半月板損傷を生じたり、関節内遊離体関節ねずみ)や膝の後ろにベーカー嚢腫(のうしゅ)(袋状の腫瘤(しゅりゅう))を合併したりすることがあります。

検査と診断

 診断は歩行状態、膝の変形、はれや痛みの部位、動きなどの診察とX線検査で行います。X線検査では、関節軟骨のすり減りや骨の増殖(骨棘(こっきょく))の程度、O脚やX脚といった変形の有無を確認します。

 関節リウマチやほかの膠原病との鑑別のために血液検査を行う場合もあります。膝がはれて関節液がたまっている場合には、注射器で関節液を抜いて関節液の検査を行う場合があります。半月板損傷関節内遊離体、ベーカー嚢腫などが疑われる場合にはCTやMRIによる検査を行います。

治療の方法

①保存的治療

 まずは、痛みに対して安静、足底装具、膝サポーター、湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬などを用いた保存的治療を行います。大腿四頭筋(だいたいしとうきん)をはじめ膝周囲の筋力トレーニングは関節の安定性をよくし、関節のはれを改善するのに有効です。

②関節注射

 膝の関節に関節液がたまって痛みの原因になっている場合には、関節液を注射器で除去します。なお、一度関節液を取り除いても炎症が続いている間は、関節内の滑膜という組織から関節液が過剰に作られるので、再度関節液がたまってきます。

 痛みがある場合はヒアルロン酸の注射が有効な場合があります。または、炎症と痛みを和らげるため局所麻酔薬とステロイド薬の注射を行う場合もあります。ただし、頻回のステロイド薬の注射は細菌感染や関節破壊を生じる危険性があります。

③手術

 変形が比較的軽い場合には、炎症を生じた関節内の滑膜(かつまく)切除や、半月板損傷関節内遊離体、ベーカー嚢腫に対する手術を行うことで一定の効果が期待でき、関節鏡を用いる手術も増えています。比較的若い患者さんでは、関節形成術(骨切り手術)により関節のバランスと機能を改善することも可能です。

 重度の変形があり日常生活に支障がある場合には、人工膝関節手術が行われます。満足度の高い手術ですが、人工関節の感染や、とくに活動性が高く若い患者さんでは人工関節のゆるみや破損が問題になる場合があります。

病気に気づいたらどうする

 長引く膝の痛みやはれ、O脚やX脚変形、正座ができないなどの症状があれば変形性関節症の可能性もあるため、整形外科の受診をすすめます。

尾崎 誠

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

変形性膝関節症
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)とは、膝(ひざ)の関節の軟骨が変性したり、摩耗(まもう)したり、あるいは増殖性の変化をおこしたりする病気です。朝おきて歩き始めたときに、膝に違和感を覚えるといった症状が、最初に現れる代表的な症状です。
 病気が少し進むと、安静時には痛みませんが、歩いたり階段を昇り降りしたりしたとき、あるいは和式トイレ、正座など膝を深く曲げる動作が必要なときに痛みがでるようになります。痛みを感じるのはおもに関節の内側です。
 さらに病気が進んでくると関節が十分に動かなくなり、膝の曲げ伸ばしができなくなります。炎症がおきて膝の周辺が腫(は)れたり、熱感を伴ったり、むくんだりすることもあります。
 また、膝に水がたまって腫れる関節水腫(かんせつすいしゅ)(関節水症)もしばしばみられます。水が多くたまると安静時にも痛みがでます。膝の内側の軟骨が磨耗すると、体重が膝の内側にかかってO脚になります。日本人はこのタイプが多いのですが、なかには外側の軟骨がすり減ってX脚になることもあります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 主な原因は加齢によるものですが、軟骨の磨耗は、筋肉の衰えや肥満、無理な動作、膝に負担のかかるスポーツなど多くの要因が絡みあっておこると考えられています。
 関節水腫は軟骨が摩耗するだけでも発症することがありますが、関節の内部を覆(おお)う組織である滑膜(かつまく)が増殖したり、厚くなったりすることによって発症することもあります。このように必ずしも要因がはっきりしないものを一次性の変形性膝関節症といいます。一方、けがや病気など要因がはっきりしているものを二次性の変形性膝関節症といい、要因となるけがや病気としては、膝半月板損傷(ひざはんげつばんそんしょう)、靱帯損傷(じんたいそんしょう)、関節内骨折などの外傷性、関節リウマチ、化膿性関節炎などによる炎症性、痛風などの代謝に関係するもの、内分泌性(ないぶんぴつせい)のものなどがあります。

●病気の特徴
 中高年に多い病気ですが、とりわけ肥満の女性に多く、50歳を超えるととくにこの病気に悩む人が増えてきます。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]減量する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 減量することで膝にかかる負担が減り、変形性膝関節症の症状が軽減することが、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。(1)

[治療とケア]大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛える
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 大腿四頭筋という太ももの筋肉が衰えると、膝関節の安定性と衝撃をやわらげる効果が弱まり、変形性膝関節症の原因になるといわれています。大腿四頭筋を鍛えることが治療に有効なことは、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。(2)(3)

[治療とケア]消炎鎮痛薬を用いる
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 消炎鎮痛薬が変形性膝関節症の痛みを軽減させることは非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。消炎鎮痛薬の種類による効果の差は、それほどないといわれています。ただし、胃潰瘍(いかいよう)・十二指腸潰瘍などの副作用に十分注意しながら使用する必要があります。(4)

[治療とケア]消炎鎮痛薬の入った湿布や、塗り薬を用いる
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 患部に消炎鎮痛薬の入った湿布を貼ったり、塗り薬を塗ったりすることで、変形性膝関節症の症状がやわらぎます。これは非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。(5)

[治療とケア]関節内にヒアルロン酸ナトリウム製剤を注射する
[評価]☆☆
[評価のポイント] ヒアルロン酸ナトリウムは関節液などに含まれる粘りけのある物質です。ヒアルロン酸ナトリウム製剤を関節内に注射で注入する治療は、いくつかの臨床研究で効果が確認されていますが、最近になって、それに反対する意見もでており、評価は定まっていません。(6)~(8)

[治療とケア]関節内に副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬を注射する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 短期的に症状を改善させる効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。長期的に使用すると軟骨変性を促進する場合もあり、痛みの強いときに短期間の使用が勧められます。長期的な使用についての臨床研究はまだ報告されていません。(9)(10)

[治療とケア]温熱療法をする
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 患部を温める温熱療法が変形性膝関節症の症状を緩和(かんわ)したと、日本で行われた臨床研究で報告されています。(11)(12)

[治療とケア]足底板を利用する
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 膝の内側の軟骨がすり減ると、重心が内側に偏ってO脚になりがちです。そこで足底板と呼ばれる靴の中敷きのような装具を利用して、重心の偏りを矯正します。この方法は日本で行われた信頼性の高い臨床研究で有効であると報告されています。(13)~(15)

[治療とケア]滑膜切除術(かつまくせつじょじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 慢性の変形性膝関節症に対し、滑膜切除術が有効であることが臨床研究によって報告されています。関節内で異常増殖した滑膜は、膝に水がたまる原因となります。最近は、関節鏡で行う手術が発達しており、従来の手術に比べ、皮膚の切開が少なくてすむ、リハビリテーションを術後早期から行える、入院期間が短くなる(あるいは入院の必要がない)、術後の関節を動かす範囲の制限がわずかである、などの利点があります。(16)~(19)


[治療とケア]高位脛骨骨切(こういけいこつこつき)り術(じゅつ)を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 高位脛骨骨切り術が変形性膝関節症の症状緩和と関節機能の回復に有効であることが臨床研究によって確認されています。これは、脛の骨の上部を切り取ることで、膝の内側の軟骨にかかる負担を軽減する手術です。半分以上の患者さんは手術後10年以上たっても効果が持続しています。(20)

[治療とケア]人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 人工膝関節置換術が変形性膝関節症の症状緩和と関節機能の回復に有効であることが臨床研究によって確認されています。すり減った関節軟骨の部分に人工膝関節をはめ込む手術です。除痛効果が証明されています。(21)(22)


よく使われている薬をEBMでチェック

消炎鎮痛薬
[薬用途]非ピリン系解熱鎮痛薬
[薬名]アルピニー/カロナール(アセトアミノフェン)(23)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 非ステロイド抗炎症薬のジクロフェナクナトリウムに比べ効果は劣るという臨床研究がありますが、副作用のおこりにくさから欧米の医師向け教科書などでは推奨されている薬です。症状の程度やその人の体質によっては第一選択となりうる薬でしょう。

[薬用途]非ステロイド抗炎症薬
[薬名]アスピリン(アスピリン)
[評価]☆☆
[薬名]ポンタール(メフェナム酸)
[評価]☆☆
[薬名]セレコックス(セレコキシブ)(24)(25)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)(24)(25)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)(23)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]インダシン/インテバン(インドメタシン)(24)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 炎症や痛みをやわらげる非ステロイド抗炎症薬のなかでは、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンについて、非常に信頼性の高い臨床研究で変形性膝関節症への効果が確認されています。そのほかの薬も、専門家の意見や経験から支持されています。

消化性潰瘍治療薬
[薬名]オメプラール/オメプラゾン(オメプラゾール)(26)
[評価]☆☆☆
[薬名]タケプロン(ランソプラゾール)(26)
[評価]☆☆☆
[薬名]パリエット(ラべプラゾールナトリウム)(26)
[評価]☆☆☆
[薬名]ネキシウム(エソメプラゾールマグネシウム水和物)(26)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] これらの消化性潰瘍治療薬について、消炎鎮痛薬を用いたときにおこる胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防効果は臨床研究によって認められています。

[薬名]サイトテック(ミソプロストール)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 消炎鎮痛薬を用いたときにおこる胃潰瘍・十二指腸潰瘍を予防するために用いられます。専門家の意見や経験から支持されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
太っている人はまず減量を
 姿勢を矯正したり、減量して肥満を改善させたりすることで、膝への過剰な負担を軽減できます。また、大腿四頭筋などの関節周囲の筋肉を強化したり、温熱療法を試みたりするのもいいでしょう。
 これらの方法は、信頼性の高い臨床研究で有効性が証明されていますし、なにより簡便で、副作用もありません。まずは試みるべき治療法といえます。

消炎鎮痛薬は副作用に注意
 痛みを抑えるうえで消炎鎮痛薬が有効なことは、信頼性の高い臨床研究で明確に示されています。しかし、問題は胃潰瘍や腎障害(じんしょうがい)などの重度な副作用がおこりうることです。
 そのため、まずは副作用がおこりにくい鎮痛薬のアルピニー/カロナール(アセトアミノフェン)を選択したり、また消炎鎮痛薬を用いるときには、消化性潰瘍を予防する作用がある胃粘液産生・分泌促進薬(ぶんぴつそくしんやく)のサイトテック(ミソプロストール)などやプロトンポンプ阻害薬のオメプラール/オメプラゾン(オメプラゾール)、パリエット(ラべプラゾールナトリウム)、ネキシウム(エソメプラゾールマグネシウム水和物)、タケプロン(ランソプラゾール)などを同時に用いたりする必要があります。
 消炎鎮痛薬を長期間、大量に用いると副作用の発症率が高まることがわかっていますので、使用量を減らす工夫も必要です。毎日定時(たとえば1日3回、食後)に服用するのではなく、疼痛(とうつう)時にのみ1回限りの服用とするのが好ましいでしょう。

痛み止めが効かない場合はステロイド薬の注射も
 消炎鎮痛薬で痛みが軽減しない場合には、関節内に副腎皮質ステロイド薬を注射することもあります。短期的に症状を改善させる効果があるとされていましたが、最近の研究で運動療法や偽薬と比較して大差なしとの研究結果も報告されており、議論が分かれています。

重症の場合は手術を
 症状が進んで薬物療法が効かない場合は、整形外科的な手術が必要になります。滑膜切除術や人工膝関節置換術などが一般的に行われています。
 いずれも臨床研究で効果が確認されている治療ですが、手術を受ける際には主治医とよく話し合うことが大切です。

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出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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日本大百科全書(ニッポニカ)

変形性膝関節症
へんけいせいしつかんせつしょう

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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