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外耳道炎【がいじどうえん】

六訂版 家庭医学大全科

外耳道炎
がいじどうえん
External otitis
(耳の病気)

どんな病気か

 外耳道が炎症を起こす病気で、痛み、かゆみ、灼熱感(しゃくねつかん)、耳だれなどを訴えます。耳閉感、耳鳴り難聴を訴えることもありますが、ほとんどの場合、炎症がおさまればこれらの症状も消えます。

原因は何か

 外耳道炎を起こすきっかけの大半は、耳かきや爪で外耳道に傷をつけることで、そこから炎症が広がります。元の外耳道が健康で炎症が軽度であれば、多くの場合は放置しても自然に治ります。1~2日たっても症状が軽快しない場合は、耳鼻科を受診したほうがよいでしょう。繰り返される外耳道炎は、全身状態の悪い人(糖尿病、免疫疾患など)にみられることがあるので要注意です。

治療の方法

 一般的な治療としては、外耳の消毒、抗生剤や副腎皮質ステロイド薬を含んだ軟膏の塗布、抗生剤の内服でほとんどの症例が容易に治ります。しかし次のように難治性の場合もあり、注意が必要です。

外耳道湿疹(がいじどうしっしん)の合併

 アレルギー体質などの全身症状が関係するといわれますが、外部からの化学的刺激(シャンプー、化粧品など)による局所的な所見としてみられることもあります。急性湿疹では水疱(すいほう)落屑(らくせつ)(表皮から角質片がはがれ落ちる)、耳だれなどをみることがあります。かゆみが強くがんこであるため、知らないうちに患部に触れてしまい二次感染を起こす場合があります。

 治療法としては、ステロイド軟膏の塗布、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が有効です。治療時の消毒薬、抗生剤で逆に湿疹が悪化することがあるので要注意です。

②真菌の合併図10

 外耳道に真菌、つまり水虫と同じようなカビ類の菌がつくもので、一般的には外部からの接触で感染します。中耳手術後や糖尿病の患者さんにもしばしばみられます。

 強いかゆみに襲われ、かいてしまうことにより二次感染を起こします。一般の人が自分で治すのは困難で、頻回の通院を必要とします。専門医に診てもらえば、特有な肉眼所見や顕微鏡検査で容易に診断がつきます。

 治療法としては、まず外耳道内を清潔にするために洗浄したり、抗真菌薬を塗布します。重症の場合は抗真菌薬を内服します。外耳道炎との合併で、外耳道炎の症状が強く出ている場合、抗真菌薬、抗生剤、副腎皮質ステロイド薬の混合軟膏を使うと効果がみられることもあります。いったん外耳道炎の症状が改善したら、ただちに抗生剤や副腎皮質ステロイド薬の使用を中止します。これらの薬物は真菌を増殖させるので要注意です。

悪性外耳道炎(あくせいがいじどうえん)

 まれな疾患ですが、いったんかかると治りにくく、進行していくタイプの外耳道炎です。緑膿菌(りょくのうきん)感染によるもので、外耳道の皮膚だけでなく周囲の軟骨や骨を破壊し、場合によっては頭蓋内にまで進行することもあります。

 全身状態の悪い患者さん(糖尿病白血病、がんの末期など)に多くみられることから、局所的な治療とともに全身疾患のコントロールも大切です。

中山 明峰

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

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外耳道炎
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 外耳道(がいじどう)、いわゆる耳の穴におこる炎症が外耳道炎です。マッチ棒や綿棒(めんぼう)、耳かき、爪などで外耳道の皮膚をひっかくことでできた傷口、あるいは外耳に湿疹(しっしん)などがあって、いじっているうちについた傷口から細菌や真菌(しんきん)が感染しておこります。急に強い症状がでるものを急性外耳道炎、症状は弱いものの長期的に続いているものを慢性外耳道炎といいます。
 耳のなかのかゆみ、耳がつまった感じ、激しい痛み、外耳が赤く腫(は)れるといった症状がみられるほか、耳だれ(水様性の耳漏(じろう))がでることもあります。外耳道の骨の部分に炎症がおこることもあり、その場合は症状が強くなります。
 アレルギー性の病気や糖尿病、がんなどの全身性の病気が背景にあって発病しやすくなったり、くり返したりする患者さんもいます。とくに、糖尿病の人が緑膿菌(りょくのうきん)という細菌によって外耳道炎をおこすと、炎症が広がり重症化することが多く、これを悪性外耳道炎と呼びます。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 細菌や真菌の感染が原因となります。慢性外耳道炎は、急性外耳道炎が治りきらずに慢性化する場合と、糖尿病やアレルギー体質、免疫機能の低下などが基礎になって最初から弱い炎症がだらだらと続く場合があります。外耳道を清潔に保ち、いじらないようにしていれば、抗菌薬で治ります。

●病気の特徴
 急性外耳道炎では、プールや海水浴によって耳の皮膚がふやけ、耳に不潔な水が入ることで、細菌などが感染しやすくなることもあって、夏に多くおこる傾向があります。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]外耳道を消毒し、清潔に保つ
[評価]☆☆
[評価のポイント] 効果を示す臨床研究は見あたりませんが、専門家の経験や意見では、外耳道を消毒し、清潔に保つことが外耳道炎治療の基本と考えられています。(1)

[治療とケア]外耳道をいじったり、刺激を与えたりしないようにする
[評価]☆☆
[評価のポイント] 効果を示す臨床研究は見あたりませんが、外耳道炎がおこる原因(いじったり刺激を与えたりすることで外耳道に傷がつき、感染がおこる)となりうることから、当然避けたほうがよいと考えられます。(1)

[治療とケア]原因菌によって適切な抗菌薬や抗真菌薬を用いる
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] さまざまな抗菌薬や抗真菌薬(点耳液(てんじえき)、軟膏(なんこう))などが用いられています。いくつかのものについては、非常に信頼性の高い臨床研究によって効果が確認されています。耐性菌(たいせいきん)の出現や薬自体に対するアレルギーについて注意しながら用います。(2)~(4)

[治療とケア]痛みやかゆみが激しい場合は、それらを抑える薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 外耳道炎は激しい痛みを伴うことがあり、その場合、鎮痛薬によって速やかに症状をコントロールする必要があります。また、かゆみに対しては外用の副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬を用います。これらについては、臨床研究によって確認されていませんが、専門家の意見や経験から支持されています。(1)

[治療とケア]化膿(かのう)して膿(うみ)がたまっている場合は、切開して膿を出す
[評価]☆☆
[評価のポイント] 外耳道炎では抗菌薬治療を行うことが多く、切開して膿をだすことによる効果は臨床研究で確かめられていません。しかし、治療が長引く場合や重症の場合は切開が必要なこともあります。これは専門家の意見や経験から支持されています。(1)

[治療とケア]悪性外耳道炎は全身的に抗菌薬を用いる
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 悪性外耳道炎は点耳液や軟膏ではなく、はじめから静脈注射による抗菌薬が用いられます。ニューキノロン系抗菌薬によって約90パーセントの治癒率が得られたとする臨床研究があります。(5)


よく使われている薬をEBMでチェック

炎症が細菌感染による場合に用いる抗菌薬(局所用)
[薬名]タリビッド(点耳液)(オフロキサシン)(6)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ベストロン(耳鼻科用液)(セフメノキシム塩酸塩)(7)
[評価]☆☆☆
[薬名]ホスミシンS(耳科用液)(ホスホマイシンナトリウム)(8)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] オフロキサシンは非常に信頼性の高い臨床研究で、高い効果が確認されています。セフメノキシム塩酸塩とホスホマイシンナトリウムは臨床研究によって、効果が確認されています。
[薬名]クロロマイセチン(耳科用液)(クロラムフェニコール)
[評価]☆☆
[評価のポイント] クロラムフェニコールについては、効果を認める臨床研究は見あたりません。選択薬かどうかは検討する必要があるかもしれません。

炎症を抑える副腎皮質ステロイド外用薬
[薬名]リンデロン-VG(ベタメタゾン吉草酸(きっそうさん)エステル・ゲンタマイシン硫酸塩配合剤)
[評価]☆☆
[薬名]リンデロン-V/ベトネベート(ベタメタゾン吉草酸エステル)
[評価]☆☆
[薬名]プロパデルム(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
[評価]☆☆
[薬名]オルガドロン(デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム)(1)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 副腎皮質ステロイド外用薬のデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムについては、外耳道炎を対象にした質の高い臨床研究で、炎症による痛みやかゆみを抑える効果が確認されています。

炎症が真菌感染による場合の外用抗真菌薬
[薬名]エンペシド(クロトリマゾール)(9)(10)
[評価]☆☆☆
[薬名]フロリードD(ミコナゾール硝酸塩)(9)(10)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] クロトリマゾールとミコナゾール硝酸塩は臨床研究によって効果が確かめられています。

かゆみを抑える薬
[薬名]抗ヒスタミン薬
[評価]☆☆
[評価のポイント] 外耳道炎の患者さんを対象にした臨床研究は行われていませんが、外用の副腎皮質ステロイド薬でかゆみがおさまらない場合には内服の抗ヒスタミン薬を用いることもあります。

痛みを抑える消炎鎮痛薬
[薬名]ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)
[評価]☆☆
[薬名]ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)
[評価]☆☆
[薬名]ポンタール(メフェナム酸)
[評価]☆☆
[評価のポイント] いずれの消炎鎮痛薬も痛みを抑えるという目的で用いられます。外耳道炎そのものの治療ではないため、外耳道炎に対する臨床研究は行われていませんが、専門家の意見や経験から支持されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法

耳を清潔にするのが基本
 細菌や真菌の感染による外耳道炎であれば、まず、外耳道を消毒し、患部の清潔を保つようなケアを行い、さらなる感染を予防します。
 そのうえで、激しい痛みを伴う場合は消炎鎮痛薬を、また、かゆみがひどい場合は外用の副腎皮質ステロイド薬を用います。とくに痛みが強いと、患部のケアが行き届かないため、重症化するおそれもあります。

原因菌を特定し、対処する
 外耳道炎の治療では、原因菌の特定(予測)と、それに対応する耳科用(じかよう)の抗菌薬や抗真菌薬を患部に用いるのが原則です。
 炎症が細菌感染による場合は、タリビッド(オフロキサシン)、ベストロン(セフメノキシム塩酸塩)、ホスミシンS(ホスホマイシンナトリウム)などの抗菌薬(点耳液)が用いられます。
 一方、炎症が真菌の感染によっておきている場合は、エンペシド(クロトリマゾール)やフロリードD(ミコナゾール硝酸塩)を使用します。いずれもアレルギーの有無に十分配慮しながら用います。
 
悪性外耳道炎では特別な治療を
 とくに糖尿病の人などが緑膿菌という細菌によって外耳道炎をおこすと重症化します(悪性外耳道炎)。この場合、まずは耳の洗浄を行い、その後、抗菌薬を静脈注射します。ニューキノロン系の抗菌薬は治癒率が高いということが報告されています。また、化膿がひどく膿がたまっている場合は、切開して膿をだすこともあります。

(1)Kaushik V, Malik T, Saeed SR. Interventions for acute otitis externa. Cochrane Database Syst Rev. 2010; :CD004740.
(2)Rosenfeld RM, Singer M, Wasserman JM, et al. Systematic review of topical antimicrobial therapy for acute otitis externa. Otolaryngol Head Neck Surg. 2006; 134:S24.
(3)Rosenfeld RM, Schwartz SR, Cannon CR, et al. Clinical practice guideline: acute otitis externa. Otolaryngol Head Neck Surg. 2014; 150:S1.
(4)Rosenfeld RM, Brown L, Cannon CR, et al. Clinical practice guideline: acute otitis externa. Otolaryngol Head Neck Surg. 2006; 134:S4.
(5)Joachims HZ, Danino J, Raz R. Malignant external otitis: treatment with fluoroquinolones. Am J Otolaryngol. 1988;9:102-105.
(6)Schwartz RH. Once-daily ofloxacin otic solution versus neomycin sulfate/polymyxin B sulfate/hydrocortisone otic suspension four times a day: a multicenter, randomized, evaluator-blinded trial to compare the efficacy, safety, and pain relief in pediatric patients with otitis externa. Curr Med Res Opin 2006; 22:1725.
(7)Deguchi K, Fukayama S, Nishimura Y, et al. Study of clinical bacteriological efficacy in a cefmenoximeototopical solution. Jpn J Antibiot. 1985;38:1739-1749.
(8)Deguchi K, Yokota N, Koguchi M, et al. Antibacterial activities of fosfomycin against recent clinical isolates from patients of otitis media and otitis externa. Jpn J Antibiot. 1995;48:293-298.
(9)Vennewald I, Klemm E. Otomycosis: Diagnosis and treatment. Clin Dermatol 2010; 28:202.
(10)Munguia R, Daniel SJ. Ototopical antifungals and otomycosis: a review. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2008; 72:453.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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