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大気汚染【たいきおせん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

大気汚染
たいきおせん
air pollution
工場,事業所,自動車,家庭から排出された各種の汚染物質によって大気が通常の組成と異なった状態となること。これが人の健康をし,生活を妨げ,動植物被害を与える。大気汚染が人およびその生活環境に大きな影響を与えるようになったのは 18世紀の産業革命からで,化石燃料の大量使用,金属製錬,化学工業の発達と都市への人口集中が被害を大きくしていった。 19~20世紀初頭のマンチェスターなど工業諸都市の煙害から,1930年ベルギーのミューズ,1948年アメリカのドノラ,1950年メキシコのポザリカ,1952年ロンドンと,大きな被害が発生している。日本でも 1960年代から特に激しくなり,自動車の普及,激増によってそれが一層増幅された。主要な被害は,慢性的な閉塞性呼吸器の疾患であるが,肺癌などとの関係も問題にされている。人のほか動植物に対する直接被害,大気汚染物質が雨に溶解して酸性雨となって生態系を変動させる事態,土壌微生物の変動なども報告されている。経済活動が高密度化するにつれて大気汚染因子が増大する傾向にあり,先進国に続いて発展途上国の汚染が問題化しつつある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

大気汚染
硫黄酸化物、窒素酸化物浮遊粒子状物質で大気が汚染されること。18世紀後半の産業革命以降、大量の石炭や石油などの化石燃料や、鉄や銅などの金属を利用してきたために、大気汚染に苦しむことになった。大気汚染による急性影響で死者が出たのは、1930年のベルギーのミューズ渓谷事件、48年の米国のドノラ事件、52年の英国のロンドン・スモッグ事件(スモッグ〈smog〉は煙〈smoke〉と霧〈fog〉の合成語)。いずれも工場等から排出された煤煙が気象条件(無風時)から拡散されず、被害を深刻化させた。日本では、戦前の金属精錬所の煤煙による足尾銅山(栃木)・別子銅山(愛媛)・小坂銅山(秋田)・日立銅山(茨城)の四大煙害事件が大気汚染の始まりで、京浜中京・阪神・北九州の四大工業地帯の大気汚染、戦後の四日市、千葉、川崎、西淀川、倉敷、尼崎、名古屋南部などの重化学工業地帯の大気汚染が知られる。近年は、ディーゼル車排出ガスによる大気汚染が問題となっている。
(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

たいき‐おせん〔‐ヲセン〕【大気汚染】
産業・交通など人間の活動によって作り出される工場排煙や車の排気ガスなどの有害物質によって大気が汚されること。人体や生態系に悪影響を及ぼす。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

大気汚染
 大気に人間や動植物に悪影響を及ぼす可能性のある化学的な物質が混在すること.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

たいきおせん【大気汚染 air pollution】
大気中にある大気汚染物質が原因となって,人間や動植物の生命活動,建築構造物や各種材料,土壌,水圏,気圏に変化が生じ,その結果,人間社会の生産活動と再生産活動に悪影響が生ずること。これは,人間にとっての生活および財産の正当な享受が妨げられる状態を強調したものであるが,最近ではさらに広義に,植物,動物,土壌,地形気候および水理の組合せである生態系の安定性が,人間社会の生産,流通,消費の各過程で排出される大気汚染物質によって急速に妨害されることと定義されるようになった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

たいきおせん【大気汚染】
人間の生産活動・消費活動によって大気が汚染され、生態系や人間の生活に悪影響が生じること。二酸化炭素、二酸化硫黄、各種の窒素酸化物、鉛などの各種の金属、オキシダント、核分裂生成物などが原因となる。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

大気汚染
たいきおせん
自然または人工的な原因によって大気が汚染されることをいう。空気汚染ともいう。一般に、汚染された大気中では、塵埃(じんあい)、煙、微生物などの固形質が浮遊したり、通常の空気を組成する気体以外のガス状質が混在して、汚染を形成している。このように大気を汚染している物質を汚染質といい、汚染質の発生源を汚染源という。[股野宏志]

汚染源と汚染質

汚染源は、火山の噴火などの自然的なものと、燃料の燃焼などの人為的なものとに大別される。昔は石炭がおもなエネルギー源として使用されたため、煤煙(ばいえん)や煤塵(ばいじん)など固形質が主要な汚染質であったが、1950年代以降は石油類が多量に消費され、硫黄(いおう)酸化物などガス状質が主要な汚染質となっている。煤煙や硫黄酸化物のように、汚染源から排出されてそのまま汚染質となるものを一次汚染質という。一方、汚染源から排出されたあと、大気中で反応を受け、まったく別な物質の汚染質となったものを二次汚染質という。自動車や工場などから排出された炭化水素と窒素酸化物が、太陽の紫外線による光化学反応をおこしてつくりだすオキシダントは二次汚染質である。汚染質は大気中で、風によって風下に運ばれ、風の乱れによって広く拡散されるほか、重力によって沈降し、降水によって洗浄される。汚染質の濃度は気象条件によって大きく左右される。気象条件からみて高い濃度の大気汚染がおこる可能性を大気汚染ポテンシャルという。一般に、高い濃度の大気汚染がおこりやすいのは、風が弱く、接地逆転が形成されているときである。つまり、汚染質が地面近くの気層に閉じ込められるような場合である。このような気象条件は、高気圧に関連することが多いが、弱い気圧の谷や前線に関連することもある。汚染質の濃度と気象条件との関係は、地形の影響も加わって、かなり複雑である。[股野宏志]

汚染対策

工場敷地の選定や都市計画にあたって、適切な汚染対策を行うためには、精密な大気汚染気象調査が必要である。また、有効な大気汚染ポテンシャル予報を行う場合にも、この種の調査が必要である。これには総観的な気象状態(気圧配置や前線の位置など)に基づき、対象地域の風向、風速、気温の鉛直分布、逆転層の形成と維持および解消、弱風の継続時間、海陸風その他の局地風の特性などについて十分な調査が行われる。1970年代以降は、適当な境界条件を与えて数値シミュレーションを行い、その結果を予報に反映する方法がおもに用いられている。
 汚染質の濃度を推定する場合の実際的な大きな困難は、汚染質が大気の拡散や大気の流れによって運ばれる過程で、汚染源からの主軸の方向が複雑に変化するために、汚染空間を精確に特定できないことである。また、汚染質の滞空時間が長く、汚染質が長距離輸送されて汚染空間が国際的に広がった場合には、汚染問題の解決に国際的な協力が必要である。このため、世界気象機関(WMO)は1960年代に汚染観測網を国際的に整備するとともに、人間の社会活動に伴う気候の無意識な人為的変動を評価して地球環境を保全することを目的に、79年に世界気候計画を正式に発足させた。そして同年の第1回気候会議以後、10年ごとに世界気候会議が開催され、10年間の世界気候計画の進行状況の評価や今後の推進方法の策定などが行われている。[股野宏志]
『河村武著『大気環境論』(1987・朝倉書店) ▽岡本真一・市川陽一・長沢伸也著『環境学概論』(1996・産業図書) ▽ジェーン・ウォーカー著、西田紀子訳『大気汚染』(1996・偕成社) ▽多賀光彦監修、片岡正光・竹内浩士著『酸性雨と大気汚染』(1998・三共出版) ▽定方正毅著『大気クリーン化のための化学工学』(1999・培風館) ▽公健協会企画、大気環境学会史料整理研究委員会編『日本の大気汚染の歴史』全3冊(2000・ラテイス、丸善発売) ▽若松伸司・篠崎光夫著『広域大気汚染――そのメカニズムから植物への影響まで』(2001・裳華房) ▽環境保全対策研究会編『大気汚染対策の基礎知識』2訂版(2001・産業環境管理協会) ▽大気汚染法令研究会編『日本の大気汚染状況』各年版(ぎょうせい)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

たいき‐おせん ‥ヲセン【大気汚染】
〘名〙 人間生活に有害な大気のよごれ。人工的・自然的原因によって生ずる。自動車の排気ガスに含まれる化合物・一酸化炭素・炭化水素、工業的排出物としての塩素・亜硫酸ガス・硫化水素、また、放射能などによる汚染がある。
※失われた男(1966)〈田村泰次郎〉「石油化学コンビナートの大気汚染による公害で、名のある」

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

大気汚染
タイキオセン
air pollution

大気が,人為的あるいは自然現象により,粉じん,排煙,化学物質などの汚染物質により汚染されること.ヒトの健康や農作物などの植物に害を与えるだけでなく,生態系や地球環境にも大きな影響を与えて問題となっている.人為的なものには,工場や事業所から排出される硫黄酸化物などのガスや浮遊粒子状物質の排出や,自動車からの窒素酸化物の排出がある.自然現象には,火山活動による火山灰や有毒ガスの噴出がある.現在,二酸化硫黄,二酸化窒素,一酸化炭素,オキシダント,浮遊粒子状物質,ベンゼン,トリクロロエテン,テトラクロロエテン,ジクロロメタン,ダイオキシン類など10種類の排出基準が定められている.硫黄酸化物や窒素酸化物は,酸性雨や光化学スモッグの原因となり,二酸化炭素の増加は地球温暖化を招き,フロンガスの排出によりオゾン層が破壊されている.工場,事業所,自動車などの排出ガスを規制するものに大気汚染防止法がある.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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