●太陽光発電【タイヨウコウハツデン】
デジタル大辞泉
たいようこう‐はつでん〔タイヤウクワウ‐〕【太陽光発電】
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知恵蔵
太陽光発電
再生可能エネルギーである太陽光をエネルギー源とするため、継続的反復的に発電でき、最小単位の発電装置はコンパクトかつ比較的長寿命でメンテナンスも軽微もしくはほとんど不要であることから、前述のような環境・設備での利用が広がった。しかし、大規模な商用発電のためには、火力などの発電方式と比べて広大な設置面積が必要である。また、太陽電池は製造コストが高く、夜間には発電できないなどのデメリットもある。
地表に到達する太陽エネルギーの密度は、日本付近では1平方メートル当たり1キロワット程度になり、太陽電池の変換効率は20%程度にまで向上している。自家用などの小規模なものならば、建物の屋根や構造物の表面にも簡易に設置できるため、潜在的な資源量は日本の総電力需要をはるかに上回る。輸入に頼る化石燃料を必要とせず、エネルギー自給率を高めるとともに、発電そのものについては温室効果ガスとされる二酸化炭素の排出も伴わない。また、問題視されていた太陽電池の製造コストは普及とともに逓減してきているため、数十年内にはトータルの発電コストにおいても火力と逆転するとの予測もある。小規模で不安定な多数の太陽光発電施設を電力網に組み込むためには、スマートグリッドなど安全かつ効果的な制御が求められるが、将来有望なエネルギーである。
太陽光発電は夏季の昼間の冷房需要による電力ピーク時には大きな出力を見込めるが、悪天候や夜間における発電量の変動が大きいので、主たるエネルギー源とは成り難い。一方、原子力発電では安全上の問題から24時間ほぼ100%の出力で連続運転が求められ、それゆえ、需要が減少する夜間には電力の過剰が生じて送電の安定が損なわれる危険性がある。
この対策として、ロスが多くコストの高い揚水発電所を建設したり、廉価な料金設定で深夜電力利用を促したりする必要がある。また、需要増加時の不足を補うため、相当規模の火力発電所などを待機させる必要もある。太陽光発電が増加すれば、これらの需給の変動をある程度吸収することができ、有効な対応手段となる。さらに、太陽光発電は消費地直近に設置することもできるので送電網に余裕を生み出すなど、補助的な発電方式としてのメリットは大きい。日本の太陽光発電設備容量は世界第3位の214万キロワット(2008年末累計)だが、環境省の「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」の提言では、家庭の余剰電力の固定価格買取制度等を通して飛躍的な普及を図り、30年には国内累積導入量7900万キロワットを目指すとしている。
(金谷俊秀 ライター / 2011年)
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太陽光発電
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太陽光発電
たいようこうはつでん
photovoltaic power generation
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日本大百科全書(ニッポニカ)
太陽光発電
たいようこうはつでん
太陽光が当たると電気を発生する太陽電池を利用して、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電方式。シリコン半導体を用いる太陽電池は1954年に発明されたが、その基本的原理はp形半導体(ホウ素を添加してつくる)とn形半導体(リンを添加してつくる)の接合部に光が当たると電位差が生ずる性質を利用したものである。
太陽エネルギーは、無尽蔵、クリーンかつ「ただ」であり、石油のような地域的偏在もないというメリットがあり、さらに太陽光発電システムには、可動部分がなく静か、運転・維持・保守が容易、規模の大小にかかわらず一定の発電効率が得られる、などのメリットがある。しかし一方では、太陽光のエネルギー密度が小さく、天候条件に左右される点や、必要設備のコストが高いこと、太陽電池の発電効率が低い、太陽光発電が大量導入された場合の電力供給体制への影響など、さまざまな制約要因や課題もある。
日本では、工業技術院(現、産業技術総合研究所)を中心とした「ニューサンシャイン計画」(1993年度~2000年度)をもとに、太陽電池製造技術と太陽光発電システムの双方について、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO(ネド))や民間企業、大学などを中心として多様なタイプの太陽電池に関する技術開発などが進められている。
しかし、近年、太陽光発電について、温暖化ガスを排出しないエネルギー源であること、エネルギー自給率の向上に資すること、将来有望なエネルギー産業として発展する可能性が期待されていることから、世界的に急速に利用促進の動きが進められるようになった。この状況下、太陽電池製造では、2005年にドイツが日本を抜いて、世界第1位となった。また、アメリカでも、オバマ政権のもと、太陽光発電も含む再生可能エネルギー源の利用促進が、環境・エネルギー安全保障対策、さらには雇用・経済対策の同時追求のため「グリーン・ニューディール政策」として推し進められた。
日本でも、太陽光発電促進に向けた政策が強化され、政府の「低炭素社会づくり行動計画」が2008年(平成20)に発表されたが、そこに示された、太陽光発電の導入量を2020年に現状の10倍、2030年に40倍にすることを目標とした施策が進められている。その一環として、これまでの補助金政策や、電力会社などに太陽光発電を含む新・再生可能エネルギーから発電される電気を一定割合以上利用することを義務づける「RPS法」(「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」平成14年法律第62号)に加え、住宅用などの太陽光発電から自家消費分を超える余剰電力分を買い取る制度が導入された。
[小山 堅]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典
たいようこう‐はつでん タイヤウクヮウ‥【太陽光発電】
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