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太鼓【たいこ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

太鼓
たいこ
drum
木製または金属製などの枠に動物のなどでつくった膜を張った打楽器。ホルンボステル=ザックス楽器分類法では膜鳴楽器に属する。皮膜は片面のみのものと両面のものがあり, (ばち) や手で打って鳴らす。普通定まった音律はないが,ティンパニ,ボンゴ,アラビアのナッカラなどのように2個1組,両膜面1組のものは相互に明白な音律の相違があり,特にティンパニは音律が指定される。西洋では大小の太鼓,ティンパニ,タンブリン,ラテンアメリカのボンゴス (ボンゴ,2個1組) ,コンガなどがあり,東洋ではインドのタブラ・バヤ,ダルマ,アラビアのダラブッカなどがよく知られる。日本では,膜鳴楽器のうち,鼓 (つづみ) 以外のものをさし,(1) 枠型太鼓,(2) 紐締め式太鼓,(3) 鋲止め式樽形太鼓に大別できる。 (1) は日蓮宗で用いる単面型の「うちわ太鼓」や歌舞伎の下座で用いる両面型の「柄太鼓」など。 (2) は囃子で用いる胴型の「締め太鼓」,民俗芸能などで用いる長胴型の「桶胴」など。 (3) は各種のサイズがあり,「祭り太鼓」や「大太鼓」「やぐら太鼓」など。特殊なものに「でんでん太鼓」,世界最大のものとして知られる雅楽用の「大太鼓 (だだいこ) 」など。中国では膜鳴楽器を一般に「鼓」 guと呼ぶが,そのうち砂時計形の胴をもつ西方伝来の「細腰鼓」は太鼓とは区別されており,太鼓としては「応鼓」「博鼓」などが知られる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

たい‐こ【太鼓】
打楽器の一。木製・金属製などの胴の両面または片面に皮などを張ったもの。桴(ばち)や手で打ち鳴らす。
太鼓持ち」の
御太鼓結び」の略。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

たいこ【太鼓 drum】
膜状の物質,主として動物の革を張りつめて弾力をもたせ,これを打って音を出す楽器の総称。原始時代から諸民族の中に深く浸透していた楽器の一種であり,最古のものは前約2500年,シュメール浮彫に見られる。現在に至るまで多くの地域で呪術信仰と密接に結びついており,神聖視されていて,材料の選択や製作過程に厳格なをもつ地域もある。アフリカの民俗の中では,月・実り・母などの女性的象徴,太陽・再生などの男性的象徴となっているほか,一個の人格と同様に扱われて食物いけにえ)がささげられたり,悪霊払いにも広く用いられている。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

たいこ【太鼓】
打楽器の一。筒状の胴の両面または片面に革を張ったもの。桴ばちで打ち鳴らして奏する。また、その打ち鳴らす音。
「太鼓持ち」の略。
「太鼓結び」の略。 帯を-に結ぶ

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

太鼓
たいこ
drum英語
Trommelドイツ語
caisseフランス語
tamburoイタリア語
木や金属などの堅い物質でできた胴の片面ないし両面に、動物の革などの膜状の物質を強い張力で取り付けた楽器の総称。楽器分類学上は膜鳴楽器にほぼ一致する。しかし、オセアニアなどにみられるスリット・ドラム(割れ目太鼓)のように、膜をもたず胴体を直接たたく体鳴楽器を太鼓とよぶこともある。
 太鼓の起源は「がらがら」(ラットル)と並んで古く、紀元前2500年ごろのシュメールの浮彫りにみられる。現在でもあらゆる地域で、儀礼における音表現、日常的な信号や合図の発信などに用いられている。また、太鼓の本体そのものが、社会的価値や権力の象徴として人格化してとらえられたり、神聖視されるなど、楽器を超えた役割を果たす場合がある。
 日本語の太鼓の起源は不明である。古くは膜鳴楽器の総称として鼓(つづみ)が使われたが、中国文化との接触・交流の結果、胴にくびれがある両面太鼓を鼓、それ以外のものを太鼓とよぶようになった。しかし両者の区別はかならずしも明確ではない。[藤田隆則]

構造

太鼓は振動を生み出す膜と、膜を支えかつ空気振動をつくりだす胴からなる。[藤田隆則]
皮ともよばれる。振動を生じさせるために強い緊張を強いられるため、薄くて強度の高い素材が各地域の生態的条件のなかで選び取られてきた。一般に牛や羊などの獣皮が多いが、ハワイ諸島では魚の皮、ミクロネシアではサメの胃袋やうきぶくろなど、ニューギニアではトカゲの皮が広く用いられている。日本では雅楽の大太鼓(だだいこ)や能・歌舞伎(かぶき)の締(しめ)太鼓には牛革、鼓類には馬や鹿(しか)などのなめし革を用いる。近年、合成樹脂の膜が欧米や日本で用いられるが、伝統的な素材と比べて音色などの微妙なニュアンスを表現しにくいきらいがある。
 膜の形は円形が多い。これは膜の緊張度に偏りをなくし、長もちさせることにつながる。
 膜の取り付け方には、にかわ、釘(くぎ)などで胴に完全に固定する方法、胴の直径にあった枠を用意し、その枠で膜を挟み込んで胴に固定し、さらにくさびなどを差し込むことで微調整をする方法の二つがまずあげられる。この方法によれば、比較的安定した音高が得られる。また、膜の何か所かに紐(ひも)を通して、それを引っ張って胴に固定する方法もある。この方法では、張力の調節が容易となる。[藤田隆則]
さまざまな形態があり、これに基づいて膜鳴楽器の分類がなされているが、大きく枠形、釜(かま)形、筒形の三つに分けられる。
(1)枠形 浅い輪形の枠に膜を張ったもの。中東起源と思われる西洋のタンバリンやインドのカンジーラなどが含まれる。日本の団扇(うちわ)太鼓もこれに分類される。
(2)釜形 釜の上部を覆うように膜が張られているもの。構造上、音高が比較的固定されているので、しばしば異なる音高の大小を対にして演奏される。西洋のティンパニ、その祖先とされるアラブのナッカーラ、北インドのタブラ・バヤのバヤンなどが含まれる。
(3)筒形 種類が多く、さらに円筒形、円錐(えんすい)形、樽(たる)形、砂時計形、ゴブレット形に下位分類される。それぞれ、膜が両端についている両面太鼓と、一方のみの片面太鼓の2種類ある。
 円筒両面太鼓には、ヨーロッパの大太鼓(おおだいこ)(バス・ドラム)、小太鼓(サイド・ドラム)、里神楽(さとかぐら)で使われる大拍子(だいびょうし)、歌舞伎囃子(はやし)で用いる桶胴(おけどう)などがある。両面太鼓であっても、設置の仕方に応じて片面のみを打奏する場合がある。桶胴を例にとれば、太鼓踊りなどの舞い手が胸につけて、両面を桴(ばち)で打ちながら踊る場合もあれば、歌舞伎囃子では台に置いて、片面を1本の桴で打奏する場合もある。またサイド・ドラムは、身体の前面に取り付け、歩行しながら片面だけを打奏するので、他方の面にはワイヤ弦などを張り渡し、響きをよくするくふうが添えられている。円筒形片面太鼓は、ハワイ諸島のパフをはじめ、地面に立てて奏するタイプがポリネシアに広く分布している。円錐形両面太鼓の典型的なものは、ウガンダのテンガなどアフリカに多くみられる。円錐形片面太鼓には北インドのタブラが含まれる。しかし、円筒形と円錐形、樽形には発音上の大差はなく、タブラは円筒形でも円錐形でもありうる。
 樽形は胴の中央部に膨らみをもつもので、たいていは木をくりぬいて製作する。樽形両面太鼓の典型例は、歌舞伎囃子や盆踊りなどに多用される大太鼓(おおだいこ)(長胴太鼓)やインドネシアのガムランに使用するクンダンである。クンダンは日本のものより細長い形をしている。日本の大太鼓(だだいこ)や締太鼓も樽形両面太鼓であるが、その形は円筒形に非常に近い。また、インドにはひょうたん製のほとんど球形に近いものもみられる。樽形片面太鼓は、床に置いて奏するタイプが西アフリカなどにみられる。
 樽形に対して、胴の中央部にくびれのあるものは砂時計形とよばれる。砂時計形両面太鼓には日本の鼓、朝鮮の杖鼓(じょうこ)(チャンコ)、西アフリカのカルンガなどがあり、いずれも両面の膜の縁に紐を何往復も渡して張力を加え、音色や音高に変化をつける。砂時計形片面太鼓は、ニューギニア、インド、アラブに広く分布している。
 ゴブレット形はコップのゴブレットに似ているためつけられた名であるが、大地に据え付けて奏する片面太鼓が多い。脚部は、空洞で本体と続いているもの、人間や動物などの足をかたどって装飾と台の機能を兼ね備えているものがある。前者は西アジアや北アフリカに広く分布するダルブカなど、後者はアフリカ、ポリネシアに多くみられる。[藤田隆則]

奏法

一般に、膜面を桴や棒または素手で直接たたいて発音するタイプが多い。打つことによって膜が振動し、胴内に空気振動がつくられる。胴の大きさや形、膜の材質や張りの強さによって、音量や音色、音高が決まる。音色は打奏箇所によっても変化し、膜の中心部では鈍い音、周辺部では鋭い音が出る。さらにインドやメラネシアなどでは、粘着性の物質を膜につけることによって、音色に変化をつける。
 このほか、日本のでんでん太鼓やインドのダマルなどのように紐付きの小球を振ることによって間接的に膜面を打奏するタイプ、ヨーロッパのロンメルポットのように膜面から出た棒や紐を引っ張り、膜をこすって発音する擦奏(さっそう)タイプ、インドのコモックのように膜の中央部から垂直に張られた弦をはじいて、膜に振動を伝える摘奏(てきそう)タイプがある。なお、ミルリトンなどは歌奏太鼓ともいうが、形態上は笛の類に似ている。[藤田隆則]

用法と演奏

太鼓は、音高が明瞭(めいりょう)に表現できないし、擦弦楽器や吹奏楽器と違って音の減衰が速い。しかし逆に、拍節を明確に表現しうる点には優れているので、独奏よりもむしろ合奏のなかで使われることが多い。またオーケストラのティンパニのように合奏音量の増減を表現するのにも適している。以上のような長所から、太鼓の演奏者は合奏のなかで統括的役割を果たしていることが多い。
 逆に、単独で用いられる場合には、信号や合図などのメッセージを発信する音具となる。ヨーロッパ中世から近世にかけて、小太鼓は軍隊の信号、船上でのあらゆる合図に使われた。日本でも軍楽器の総称として陣太鼓があり、鉦(かね)や法螺(ほら)貝とともに用いられ、いくつかの合図を使い分けた。
 信号とまではいかなくても、特定の場や時間に、一定の奏法で太鼓を打ち鳴らして場の雰囲気を高める、いわば儀礼的な使われ方もある。相撲(すもう)の触れ太鼓はその一例といえよう。また、歌舞伎囃子などで、特定の情景を表出するために一連の打奏のパターン(手)を使うことがある。たとえば、雪の場面には雪を象徴する特定の手があり、そのほか波、雨、風などの擬音的な描写も定式化されている。また、舞台の進行状況とあわせて、一番太鼓、打出しなどの手を打ち、聴き手に劇場の時間構造を伝達している。これらの太鼓の手は、音型と伝えられる意味内容との間に恣意(しい)的な連合関係がある。
 太鼓の打奏と意味内容がより直接的な形で結び付いているのは、アフリカの太鼓ことば(トーキング・ドラム)であろう。太鼓ことばは、話しことば固有のリズムやイントネーションを直接的に模倣して楽器音に置き換えることが多い。聴き手はその場合、楽器音からもとの話しことばを読む。太鼓ことばへの変換は、より遠くまでメッセージの通達が可能であり、しかもそのメッセージは話しことばよりも秘儀性を帯びるという特徴をもっている。
 太鼓の演奏において、話しことばの音韻やリズムの影響は大きい。日本のほとんどの太鼓の教授で使われる口唱歌(くちしょうが)は、民俗芸能では口太鼓ともよばれる。テレツクテンテンというような音韻の連続で音型のまとまりを記憶し、かつスムーズな打奏を導き出すことに役だっている。北インドのタブラにも、ボルとよばれる口唱歌に似た記憶法がある。[藤田隆則]

機能

初めは振動皮がなく、のちに動物皮が張られ種類も多くなった。紀元前2500年以前の古代オリエント、シュメールの彫刻の太鼓が最古の記録とされる。太鼓はもっとも早くに発明された楽器の一つで、世界のほぼ全域で使用され、利用目的も多様である。そのリズムと音響は娯楽や芸術としての音楽表現のほか、敵や動物を威嚇したり、撃退したり、また神秘性を帯びたものとして呪術(じゅじゅつ)や祭祀(さいし)にも用いられる。太鼓自体や太鼓の音を神聖化することも多い。種々のシグナルとしても利用され、また上記した諸機能がしばしば複合的に用いられる。その神秘性、神聖性、魔術性により、凝った装飾が施されたり、タブーが課せられたりする。諸儀礼のなかでは、宗教的職能者が奏者になる場合、専門職の奏者がいる場合、任意の者がなる場合などがある。いずれにしろ、音とリズムを主要な媒介として憑依(ひょうい)やトランス(脱我)状態を導くことが多い。
 西アフリカでは王朝の系譜語りにも使われ、かつてアメリカ大陸の黒人奴隷の間では反乱計画の伝達にも用いられた。一般に太鼓は女性の身体、ばちは男性器の象徴ともされる。[長嶋佳子]
『田辺尚雄著『日本の楽器――日本楽器事典』(1964・柏出版) ▽網代景介・岡田知之著『打楽器事典』(1981・音楽之友社)』

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事典 日本の地域ブランド・名産品

太鼓[祭礼・和楽器]
たいこ
近畿地方、滋賀県の地域ブランド。
愛知郡愛荘町で製作されている。江戸時代から彦根藩武具として、また祭礼具として太鼓がつくられてきた。太鼓の皮は、雌牛の皮を愛知川の良質な水にさらしてなめし、脱毛して自然乾燥する。胴にはを用いる。江戸時代から主につくられていたのは、長胴太鼓・平太鼓・うちわ太鼓など。滋賀県伝統的工芸品。

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太鼓[祭礼・和楽器]
たいこ
九州・沖縄地方、熊本県の地域ブランド。
宇城市で製作されている。太鼓は、昔から神社仏閣の祭礼、地方の祭り、農村での雨乞いなどになくてはならないものであった。欅・塩地などの胴材を長期間にわたり乾燥させ材料とする。皮に用いる牛皮もなめした後しばらく自然乾燥させてから用いる。宇城市での太鼓づくりは江戸時代末期から明治時代初期頃に始まったとされる。熊本県伝統工芸品。

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精選版 日本国語大辞典

たい‐こ【太鼓】
〘名〙
① 打楽器の一つ。木製・金属製などの胴の両面、または片面に革を張ったもの。桴(ばち)で打ち鳴らす。日本のものは、多く、木をくりぬいて筒とし、両側面に革を張る。また、時刻の報知、軍陣での合図など、楽器として以外にも広く用いられた。
※西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780)一二月二五日「大皷一面」
※源氏(1001‐14頃)末摘花「たいこをさへ、勾欄のもとにまろばし寄せて、てづから打ち鳴らし、遊びおはさうず」
② 合図や信号に打つ①の音。
※新田由良家伝記「天正八年の春、甲斐国武田勝頼西上野へ働候処に〈略〉相国の太鼓にて大返しに致し」
③ 相手のきげんをとることや座興をとりもつこと。→太鼓を打つ
※浄瑠璃・加増曾我(1706頃)一「少将の恋さかづき、朝比奈がたいこにて歌ひ明かせ飲み明かせ」
※評判記・難波物語(1655)「人のきらへるすてものをあつめ、たいことさだめてずんどしたしみ」
※洒落本・仕懸文庫(1791)四「ソレヨわたいがてへこに出て、しかもそのばん、雪よしで一座ァしたァな」
※人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)二「二重鈍子(どんす)の丸帯を太鼓(タイコ)になすび」

出典:精選版 日本国語大辞典
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