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奇跡【きせき】

日本大百科全書(ニッポニカ)

奇跡(映画)
きせき
Ordet
カール・ドライヤー監督が1955年に製作したデンマーク映画。原題は「御言葉」という意味。ナチスに虐殺されたデンマークの牧師・劇作家・詩人カイ・ムンクKaj Munk(1898―1944)が1925年に書き、1932年に初演された同名の舞台劇に基づいている。20世紀初めのユトランド半島の農村が舞台。この村の大きな農場主モーテン・ボーオンのところには、長男ミッケルとその妻インガー、次男ヨハンネス、三男アナスそれに長男夫妻の小さな娘が暮らしている。モーテン・ボーオンには悩み事がある。長男はあまり信仰心がない。次男は信仰心がありすぎたため、精神に異常をきたし、自分をキリストであると思い込んでいる。三男は自分の信じるキリスト教のセクトとは対立するセクトに属する一派の娘に恋をしている。こうした悩みがありながらも、長男の妻がまもなく子どもを産むことから、男子の孫が生まれることを切に願っている。だが、長男の妻は死産で、その後まもなく自らも死亡してしまう。葬儀の日、しばらくの間姿を見せなかった次男ヨハンネスが突然姿を現し、キリストがそうしたように、死んだ長男の妻を生き返らせる。20世紀初頭のデンマークの農民の生活と信仰を見事に描いた傑作である。[小松 弘]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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