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奉公人【ほうこうにん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

奉公人
ほうこうにん
元来,主君に奉仕する義務を負う従者を意味したが,安土桃山~江戸時代には,主として雇用関係にある雇人を意味た (→奉公 ) 。江戸時代には次の4種に大別された。 (1) 若党,小者,仲間,草履取りなどの武家奉公人。 (2) 下男,下女,下人譜代の百姓奉公人などで,主として家庭的な,または農家で使役される召使。 (3) 丁稚手代など,主として商家の労務契約のもとに使役される年季奉公人。 (4) 江戸時代初期まで残存した人身売買の後身とみられるもので,質物奉公人。江戸幕府は奉公人の年季について,元和2 (1616) 年に3年,寛永4 (27) 年に 10年を限りとしたが,元禄 11 (98) 年年季の制限を撤廃し,翌年には譜代召しかかえを許した。一方承応2 (53) 年には,雇用期限を1年または半年とし,法定期日に雇用関係に入り,またはこれから出る出替奉公の制がおかれ,一般化した。奉公契約の際には,給金の一部または全部の授受および奉公人請状の授受の手続を経るのが普通で,奉公人は主人の人別に移った。明治~大正年間にも奉公人の名は残ったが,賃金雇用者を意味した。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ほうこう‐にん【奉公人】
他人の家に雇われてその家事・家業に従事する者。下男・下女のほか、商家における丁稚(でっち)・手代、武家における仲間(ちゅうげん)・小者(こもの)など。
主君に仕える武士

出典:小学館
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とっさの日本語便利帳

奉公人
江戸時代、一定の年限を定めて、住み込みで商家の家業に従事(年季奉公)した者の総称。丁稚(でっち)は無給で、使い走りをしつつ、読み書き算盤などを習得する。元服後、手代(てだい)に昇格有給となる。番頭は管理職で、暖簾分けして独立する機会を持った。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

世界大百科事典 第2版

ほうこうにん【奉公人】
平安時代後期以来,武士の封建的主従関係は,主人の従者に対する所領与=〈御恩〉と,従者の主人に対する軍事的勤務=〈奉公〉という関係によって成立していたが,本来奉公人とは,武士のこの主従関係における従者をさし,主君に対する家臣の意味である。奉公人という称呼は,中世では上位の従者,家臣をさすものとして用いられるのが一般的であった。御恩・奉公【佐藤 堅一】
【武家奉公人】
 近世初頭までは侍身分の者をも奉公人のうちに加えていたが,江戸時代では将軍や大名,旗本・御家人や大名の家中に雇用された若党(わかとう),足軽中間(ちゆうげん),小者(こもの),六尺,草履取(ぞうりとり),ときに徒士(かち)などの軽輩をさし,軽き武家奉公人ともいう。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

奉公人
ほうこうにん

主人に仕える者。元来は朝廷に仕える者の意であったが、江戸時代には武家や商家、職人、農家などでも用いられるようになった。なお鎌倉時代には、本領安堵(あんど)・所領給付などを中心とする将軍の御恩に対し、家臣の負う軍事的・経済的義務を奉公とよび、これら家臣を奉公人ともいった。

 武家奉公人とは一般武家のもとに仕える若党(わかとう)、徒(かち)、中間(ちゅうげん)、小者(こもの)、陸尺(ろくしゃく)などのことである。江戸中期には、江戸では武家の譜代(ふだい)奉公人は消滅し出替(でがわり)奉公人となる現象がみられる。それも渡り用人が出現するなど、中級の武家奉公人にまで及んでいった。出替奉公人の出現による譜代奉公人の消滅は武家下部構造の変質を意味する。それは主従関係にあっては封建的忠誠心の欠如となって現れてくる。出替武家奉公人の身分は、奉公以前は町人であるので帯刀することはない。しかし武家奉公中は武士に準じた身分として扱われ、帯刀が許される。それは身分の転換ではなくあくまで一時的な扱いであるが、武家として雇傭(こよう)されている期間中に盗みを働くと、町人では入墨(いれずみ)・敲(たたき)にすぎないのに、武家同様の扱いを受けるため死罪となる。町の商工業者の丁稚(でっち)、小僧(やがて手代(てだい)、番頭(ばんとう)となる)や徒弟(弟子)などの奉公人は別家や親戚(しんせき)などの縁者や知己の紹介によることが多く、一定の年季を勤めて独立するが身分的従属関係が強い。これに対して下男、下女などの短期の出替奉公人は通常口入(くちいれ)屋を介して雇傭され、それも比較的短期間の雇傭であり、しかも賃金による雇傭関係といった面が強いのが特色である。なお上方(かみがた)に本店がある越後(えちご)屋や白木屋などの江戸店(えどだな)では男の奉公人ばかりで女奉公人はいっさい置かず、台所の仕事も台所衆や男衆とよばれた男子たちが勤めた。

 農家では(1)身分的にまったく主家に従属し給金支給のない奉公関係と、(2)身分的制約も緩く給金支給のある雇傭関係的奉公とに大別される。(1)には主家に代々隷属する終生的下人の譜代奉公と、質奉公、養子奉公とがある。

[南 和男]

質奉公

質奉公は質券奉公ともいい、債務の担保に人間の労働力を質入れしたもので、債務を弁済するまで奉公に従う。これは人身の永代売買禁止後に一般化したもので、身売奉公の形式変化から発生したものであるため、契約の文言はきわめて従属的であり、違反への制裁も主従的・隷属的文言を用いている。質奉公には、前借の利子を払うものと払わないものとがある。後者は前借の利子分だけ労賃が高くなったわけで、これがさらに高くなると居消質奉公(いげししちほうこう)となる。これは質奉公労働によって前借金の一部または全部を相殺していくもので、質奉公から変化し、年季奉公へと移行する先駆的形態である。その契約期間は3~5年が普通である。

[南 和男]

年季奉公

年季奉公は出替奉公、一季(いっき)奉公ともいい、1年を単位に奉公契約をするものである。譜代奉公や質奉公のような長期にわたる奉公と区別するため使用した。1年を単位とした奉公であるから、1年以上継続するときは契約の切れたとき改めて契約を更新する慣習があった。江戸の出替日限は1615年(元和1)ごろは毎年2月で、旗本、御家人の武家奉公人のみを対象としていたが、1668年(寛文8)より3月5日とし、翌年には大名が江戸で雇傭する武家奉公人や、江戸町方の奉公人にも及ぼした。これは「かぶきもの」や出居(でい)衆などの浮浪人化を取り締まるためであった。さらに1672年には全国に及ぼしてその統一を図ったが、各藩の出替日はかならずしも一定していない。その雇傭期間も実質的には6か月、3か月、1か月というように日雇的なものが増加する傾向が生じた。江戸や大坂のような都市では奉公人を周旋する「けいあん」(口入、人宿(ひとやど)などとも)が多数存在しており、江戸では彼らの不正悪質な行為は正徳(しょうとく)・享保(きょうほう)(1711~1736)のころから社会問題化していた。江戸で武家奉公人として雇傭されるためには身元や、キリシタンでないこと、また逃亡しないこと(逃亡したときは前渡金の弁償)などの保証をする証書(奉公人請状(うけじょう))を必要とした。しかし適当な身元保証人のないときは人宿に金銭(判賃)を支払うと簡単に保証人となった。このように中期以降になると請人制は形式化し、請人の債務履行義務が軽減化され、この種の出入りは漸次私法的関係に赴く過程を示すのである。

[南 和男]

『林玲子著『江戸店犯科帳』(1980・吉川弘文館)』『南和男著『江戸の社会構造』(1969・塙書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ほうこう‐にん【奉公人】
〘名〙
① 奉公する人。武家、商家などに召し使われている人。江戸時代には、譜代、年季、出替(でがわり)の別があった。雇人。召使。ほうこにん。
※園太暦‐貞和五年(1349)二月二五日「当荘代々家礼奉公人所知行也」
② (町人、百姓に対して) 武士のこと。
※吉川家文書‐天正一九年(1591)三月六日・安国寺恵瓊佐世元嘉連署事書状「奉公人は奉公人、町人は町人、百姓者百姓、一所に可書出事」

出典:精選版 日本国語大辞典
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