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子宮体がん【しきゅうたいがん】

家庭医学館

しきゅうたいがん【子宮体がん Carcinoma of the Corpus Uteri and Endometrial Carcinoma】
[どんな病気か]
 子宮体部(図「子宮がんの発生部位」)に発生したがんを子宮体がん(子宮内膜(ないまく)がん)といい、日本では、最近増加の傾向にあります。
 もともと欧米では、子宮がんのうちでも多いがんだったのですが、日本でも、全国平均で全子宮がんの30%程度まで増えてきました。
 子宮体がん増加のはっきりした原因は不明ですが、食生活の欧米化にともなって動物性脂肪の摂取量が増えたことや、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの長期間にわたる過剰刺激が関係しているともいわれています。
●どんな人がなりやすいか
 子宮頸(けい)がん(「子宮頸がん」)に比べて、子宮体がんになる人は比較的年齢層が高いのが特徴で、50歳代にもっとも多く発見されます。ところが、最近では若い年齢層にもみられるようになり、30歳代の子宮体がんもまれではありません。
 以前は、肥満、高血圧、糖尿病の人に多く発生するともいわれていましたが、はっきりした因果関係は否定されています。また、最後の妊娠から5年以内に子宮体がんが発生することはまれです。
 妊娠との関係を調べてみると、妊娠しなかった人や、妊娠・分娩(ぶんべん)の回数が少なかった人に比較的多く発生する傾向があります。月経不順が長期間続いた場合にも多いといわれています。
 最近では、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(「骨粗鬆症」)などに対してHRT(ホルモン補充療法)などを行なう場合も多く、閉経後もホルモン環境(体内のホルモン量)が変化している場合がありますので、こういった治療を受けている人は、乳がん、子宮がん(頸部、体部)の検査を定期的に受けてください。
 子宮がん検査の際に行なった経腟的超音波検査(けいちつてきちょうおんぱけんさ)(腟のほうから超音波を用いて子宮などの形を画像に表わす装置)で、子宮内腔(ないくう)の肥厚(ひこう)(異常に厚くなる)が見つかり、検査する場合もあります。
●がんの進行
 子宮体がんの広がり方には、大きく分けて4つあります。
①子宮の壁にしみこむように(浸潤(しんじゅん))進み、おなかの中に転移(てんい)する。
②卵管(らんかん)を通り抜けて、子宮のまわりに転移する。
卵巣の動脈にそって走るリンパ管の流れにのり、全身に転移する。
④子宮の下部にある子宮頸部へむかって浸潤し、子宮頸がんのように進む。
 現在、子宮体がんの進みぐあいは、手術後の組織検査により決められますが、それはつぎのように分類されます。
 0期 まだ本当のがんとはいえないが、がんに移行するおそれが強いもの。異型子宮内膜増殖症(いけいしきゅうないまくぞうしょくしょう)(「子宮内膜増殖症/子宮内膜異型増殖症」)などがこれに相当します。
 Ⅰ期 がんが子宮体部にとどまるもの。子宮内膜にとどまるⅠa期と、子宮体部の筋肉層の2分の1以内の浸潤にとどまるⅠb期、筋肉層の2分の1以上に浸潤しているⅠc期に分けられます。
 Ⅱ期 がんが子宮頸部にまで浸潤しているもの。
 Ⅲ期 がんが子宮の外側に広がり始め、卵管や卵巣(らんそう)、腟(ちつ)、リンパ節に浸潤や転移がみられたり、腹腔の細胞診(さいぼうしん)(コラム「子宮がん検診」)が陽性のもの。
 Ⅳ期 がんが子宮から遠い位置にある臓器へ転移し、膀胱(ぼうこう)や直腸の粘膜(ねんまく)に浸潤がおよぶもの。
[症状]
 無症状のものもありますが、子宮頸がんがある程度進行してから症状が出始めるのに比べ、子宮体がんは、いわゆる0期の段階から少量の出血や褐色の帯下(たいげ)(おりもの)などの出血症状が現われることが多く、少なくともこれを目安に、子宮体がん検査を行なうよう推奨されています。
 とくに閉経前後は、不順な月経と区別するのがむずかしいので、おかしいと思ったら婦人科の診察を受け、できるだけ子宮体がん検査も受けるようにしましょう。
 がんが進行してくると、帯下は血性や水様性、膿性(のうせい)となって悪臭をともなうようになり、量も増えてきます。
 また、子宮の内側に膿(うみ)、血液、分泌物(ぶんぴつぶつ)、がんの崩壊した物質がたまって子宮がふくれ、子宮留膿腫(しきゅうりゅうのうしゅ)の状態になります。この状態から、子宮が収縮して内容が流れ出すときに、規則的に反復して痛みがおこり、悪寒(おかん)や発熱がおこることもあります。
 子宮体がんは子宮頸がんに比べて穏やかに進行することもありますが、やがてはがん性悪液質(あくえきしつ)(がん毒素が臓器や神経を侵した状態)におちいります。
[検査]
 子宮体がんの検査には、つぎのようなものがあります。
 細胞診(さいぼうしん) 子宮頸がんと同様、細胞を採取して顕微鏡で検査する方法です。
 子宮の内腔から細胞をとるために、子宮の中にポリエチレン製の細くやわらかい管や、細いブラシ、プラスチック製の棒状の器具などを挿入します。
 子宮内に挿入する際に、多少の疼痛(とうつう)を感じる場合もありますが、操作前に内診(手指で子宮などの大きさや形を診断する)や経腟的超音波断層診断装置で子宮の状態を確認してから操作するため、ほとんど危険はありません。この検査でがんの存在が疑われた場合は、つぎの検査を行ないます。
 子宮鏡診(しきゅうきょうしん) 細い内視鏡(ないしきょう)を用いて、子宮の中を直接みる検査です。麻酔をかけて行なう場合もあります。
 組織診 子宮の内膜(子宮内腔の内側の部分)を掻爬(そうは)してその一部を採取し、病理組織検査を行なって最終診断をつけます。これは多少の疼痛をともないますので、麻酔をして行なうことが多い検査です。
[治療]
 進行の程度によって、治療の内容がちがいます。
 0期 妊娠・出産を希望する場合は、ホルモン療法を行ないます。妊娠・出産を希望しない場合は、年齢などを考慮して、単純子宮全摘術(ぜんてきじゅつ)を行なうこともあります。
 Ⅰ期 単純子宮全摘術と骨盤(こつばん)リンパ節の郭清術(かくせいじゅつ)を行ないます。
 Ⅱ期~Ⅳ期 がんが骨盤壁まで到達していなければ、広汎子宮全摘術(こうはんしきゅうぜんてきじゅつ)と骨盤リンパ節の郭清術を行ないます。骨盤壁まで、がんが浸潤している場合には、放射線療法を行ないます。手術後の再発防止のため、ホルモン療法などを一定期間行なうこともあります。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

六訂版 家庭医学大全科

子宮体がん
しきゅうたいがん
Endometrial cancer
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 子宮の太くなった部分(子宮体部)の内部は粘膜(子宮内膜(しきゅうないまく))で裏打ちされた空洞になっています。子宮体部の粘膜から発生するがんのことを子宮体がんといいます。子宮内膜がんと呼ぶこともあります。子宮内膜に発生したがんは次第に子宮の筋肉に浸潤(しんじゅん)します。さらに子宮頸部(けいぶ)や卵管・卵巣に及んだり、骨盤内や大動脈周囲のリンパ節に転移したりします。さらに進行すると、腹膜・腸・肺・肝臓・骨などに転移します。

 子宮体がんは、50、60代に最も多く発見されますが、5%は40歳未満で発見されます。

原因は何か

 子宮体がんの発生には、エストロゲン(卵胞(らんぽう)ホルモン)による子宮内膜の刺激作用が関与しています。

 子宮内膜は卵巣から分泌されるエストロゲンの作用によって増殖します。卵巣から排卵したあとには黄体が形成されますが、そこから分泌されるプロゲステロン(黄体(おうたい)ホルモン)の作用が加わることによって子宮内膜は分泌期内膜(ぶんぴつきないまく)に分化します。黄体は2週間ほどで消退して、エストロゲン・プロゲステロンの分泌も減少しますが、それに反応して子宮内膜が剥離(はくり)します(月経)。正常なホルモン環境では子宮内膜は増殖・分化・剥離のサイクルを繰り返します。

 しかし、排卵の障害などのために子宮内膜がプロゲステロンの作用を受けないままエストロゲンに刺激され続けると、子宮内膜が過剰に増殖し(子宮内膜増殖症(しきゅうないまくぞうしょくしょう))、子宮体がんの発生母地になります。

 肥満・未産・遅い閉経年齢(53歳以上)が子宮体がんの危険因子です。また糖尿病高血圧症も危険因子とされています。

 乳がん大腸がんの既往のある人は子宮体がんになる危険が一般より高く、逆に子宮体がんの既往のある人は乳がん大腸がんになる危険性が高いことが知られています。

 逆に、経口避妊薬の使用により子宮体がんの発生率が下がります。

症状の現れ方

 ほとんどの子宮体がんで不正性器出血(月経以外の出血)がみられます。しかし、がん病巣からの出血を「不順な月経」と誤解していることもあり、注意が必要です。そのほか、漿液性帯下(しょうえきせいたいげ)(水っぽいおりもの)、血性(けっせい)帯下(血液の混じったおりもの)や下腹部痛がみられることもあります。

検査と診断

 不正性器出血がある場合は、まず妊娠の可能性を否定します。次に経腟(けいちつ)超音波検査で子宮内膜厚の測定を行います。診断確定のためには、子宮のなかに細い器具を入れて子宮内膜の細胞診・組織診を行います。診断が困難な場合は、子宮鏡検査や子宮内膜全面搔爬術(ぜんめんそうはじゅつ)を行います。

 子宮体がんの診断が確定したら胸部X線検査、経静脈性尿路造影、膀胱鏡・直腸鏡検査、腹部超音波検査、CT、MRIなどにより病変の広がりを調べます(表3)。

治療の方法

 原則として開腹手術を行います。基本術式は腹式単純子宮全摘と両側付属器(卵巣・卵管)切除です。病変の進行度に応じて骨盤リンパ節・傍大動脈リンパ節の生検(一部をとる)あるいは郭清(かくせい)(すべてとり除く)を追加します。

 子宮外(卵巣、腹膜、リンパ節など)にがんが進展していた場合は術後に放射線療法や化学療法を行うことが多いのですが、どのような場合にどのような追加治療を行うべきかは世界的に統一されていません。

 若年女性のごく早期の子宮体がんに対しては、妊娠の可能性を残す目的で、ホルモン療法が試みられています。

病気に気づいたらどうする

 不正性器出血、とくに閉経後に出血がみられた場合は婦人科を受診してください。また極端な月経不順も子宮体がんの発生母地になる場合があるので、ホルモン剤を用いて定期的に月経を起こすのがよいでしょう。

山田 学

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

子宮体がん
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 子宮体(しきゅうたい)がんは、子宮の内側を覆(おお)っている粘膜(ねんまく)(子宮内膜(しきゅうないまく))の細胞が異常に増殖したがんです。多くは子宮内膜から発生する「腺(せん)がん」で、1割が筋肉組織などから発生した「肉腫(にくしゅ)」です。
 おもな症状として、月経(生理)以外のときに性器から出血する不正出血がみられます。おりものを伴うこともあります。初期のおりものは黄白色または透明ですが、病状が進行すると、子宮内部にたまった血液や膿(うみ)が外に排出されるため、おりものに血や膿が混じるようになります。このときに、激しい下腹部の痛みがでることもあります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 女性ホルモンとの関連が指摘されています。すなわち、初潮年齢が早いこと、閉経(へいけい)が遅いこと、出産歴がないこと、55歳以上であること、乳がんに対するタモキシフェンの内服により、リスクが高まるとされています。また、肥満糖尿病、脂肪分の多い食事も危険因子になると報告されています。(1)
 遺伝性の子宮体がんとしては、大腸がん・子宮体がんと関連するリンチ症候群が報告されています。(2)

●病気の特徴
 日本で、新たに子宮体がんにかかった人は2011年で14,763人、また死亡者数は2013年で2,107人と報告されています。年齢としては、50~60歳代前半に多い病気です。2007年以降、子宮体がんにかかった人の数は子宮頸(けい)がんにかかった人の数より多いと報告されています。(3)(4)


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]リスクの高い人は子宮体がん検診を受診する
[評価]☆☆
[評価のポイント] リスクのない人に対する子宮体がん検診の効果は否定されています。(5)
 不正性器出血がある場合、あるいはリンチ症候群やその家族歴、35歳未満の大腸がんの家族歴があるなどのリスクの高い女性に対しては、早期発見の有効性とがん検診を行うという侵襲的(しんしゅうてき)な操作の問題点(子宮の奥まで器具を入れるため、苦痛をともなうなど)を十分に説明したうえで、子宮体がん検診を行うよう勧められています。
 日本では、子宮体がん検診を行っている自治体は全体の約半数と報告されています。子宮頸がん検診を行っている婦人科医が、50歳以上かつ閉経後の人に対し、最近6カ月以内の不正性器出血があったか、または未妊婦であって月経不規則か質問を行い、必要に応じて検診を実施することとされています。(6)

[治療とケア]病期などに応じて治療方法を検討、選択する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 子宮体がんと診断された場合、まずは手術療法により、がんをできるかぎり取り除きます。さらに、がん細胞の広がり(病期)や、がん細胞の悪性度(再発リスクの高さ)、腫瘍(しゅよう)の数や大きさ、リンパ節や他の臓器へがんが転移しているかどうかなどを総合的に考えて、さらに、患者さんの考え方を考慮して、化学療法や放射線療法を追加していくか、決めていきます。病期が進行している場合は、症状をコントロールする緩和(かんわ)療法なども組み合わせて行います。(7)~(10)

[治療とケア]手術療法を行う
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] がんの転移がない場合は、単純子宮全摘出術(たんじゅんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ)と、卵巣(らんそう)・卵管(らんかん)の付属器切除術が行われます。同時に、リンパ節の生検を行い、がん細胞の特性と病期を確定します。
 手術時のリンパ節郭清(かくせい)(リンパ節の切除)は、予後の改善が期待できないと報告されています。(11)

[治療とケア]化学療法を検討する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 悪性度の高い、早期子宮体がんの手術後に化学療法のひとつである抗がん薬療法を行うと、再発を抑える効果と生存期間を延長する効果があると報告されています。(12)
 また、広範囲に広がった子宮体がんに対する抗がん薬療法は、手術後に行うことで、放射線療法単独より効果があり、がんの進行を抑え、予後を改善すると報告されています。(13)
 抗がん薬療法は、がん細胞を壊したり増殖を抑える効果のある薬剤を、定期的(3週間おきなど)に点滴や内服で服用します。この薬によって、増殖速度の速いがん細胞のほうが健康な細胞よりも壊され、健康な細胞は次の治療の日までに回復してきます。このサイクルをくり返し、残ったがん細胞をできるかぎり体のなかからなくしてしまう、という治療法です。しかし、健康な細胞も薬の作用を受けるため、強い副作用がでます。いずれの場合も心臓の機能低下や、感染症を合併するなど、重篤(じゅうとく)な副作用が一定の頻度(ひんど)で発生します。このため、抗がん薬療法は全身状態や病期を十分に考慮して、使用できるかどうか検討する必要があります。

[治療とケア]放射線療法を検討する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 腟(ちつ)への密封小線源療法(みっぷうしょうせんげんりょうほう)と、骨盤全体に放射線をあてる方法の2種類があります。
 早期の子宮体がんに対する放射線療法は、その部位での再発を抑える効果はありますが、予後を改善する効果は証明されていません。また、密封小線源療法と骨盤全体への照射療法で、再発率には差がなく、副作用を考慮すると密封小線源療法がすぐれているとされています。(14)~(17)
 進行し広範囲に広がったがんの場合、効果の点から抗がん薬療法が優先されます。しかし、抗がん薬療法の効果がなくなった場合や、再発時、全身状態により抗がん薬が使用できない場合の放射線療法の効果が報告されています。(18)~(20)

[治療とケア]ホルモン療法を検討する
[評価]☆☆
[評価のポイント] ホルモン療法について、延命や病気の進行を抑える効果は証明されていません。しかし、がんが子宮体部から外へ広範囲に浸潤(しんじゅん)しているような病期や、再発した場合でがん細胞にホルモン受容体があるときには使用を考慮します。(21)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗がん薬
[薬用途]AP療法など(22)
[薬名]ランダ/ブリプラチン(シスプラチン)+アドリアシン(ドキソルビシン塩酸塩)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 悪性度の高い早期がん、およびがんが子宮体部から外へ広範囲に浸潤しているような病期で、病気の進行を抑え、予後を改善する効果が報告されています。

ホルモン療法薬(21)
[薬名]ヒスロンH(メドロキシプロゲステロン酢酸エステル)
[評価]☆☆
[評価のポイント] がんが子宮体部から外へ広範囲に浸潤しているような病期や、再発した場合でがん細胞にホルモン受容体があるときには使用を考慮します。延命や病気の進行を抑える効果は証明されていませんが、専門家の意見や経験から支持されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
子宮体がん検診の方法は確立されていない
 リスクのない女性に対する子宮体がんの効果は否定されており、子宮体がんの検診方法は確立されていません。このため、早期発見には、不正出血や普段と異なるおりものに気づいたら、できるだけ早く婦人科医を受診することが勧められます。ただし、子宮体がんの原因として、女性ホルモンとの関連が指摘されており、初潮年齢が早い、閉経が遅い、出産歴がない、55歳以上のほか、遺伝性のリンチ症候群の病歴や家族歴などがリスクを高める要因とされています。リスクのある女性の場合は、早期発見の有効性と検診の体への負担を十分に理解したうえで、検診を受けることが勧められています。

子宮体がんの治療は、手術で病巣(びょうそう)を切除するのが基本
 子宮体がんの基本的な治療は、がんそのものを体から取り除くことです。病期によって、子宮の全摘術に加え、卵巣・卵管などの両側の付属器を切除するかどうかが検討されます。

術後の化学療法・放射線療法・ホルモン療法を検討する
 患者さんの全身状態とともに、病期、がん細胞の悪性度などから再発のリスクが高いと考えられる場合には、効果と副作用の程度を考慮して、手術後に化学療法・放射線療法・ホルモン療法を併用するか検討します。
 悪性度の高い早期の子宮体がんに対しては、化学療法による再発の予防効果、生存期間の延長効果が確認されています。広範囲に広がった子宮体がんでは、放射線療法と化学療法の併用が、放射線療法単独よりもがんの進行を抑制する効果が高いことなどが示されています。
 また、手術後の放射線療法により、再発を抑える効果が証明されています。放射線療法には、腟に放射線源を埋め込んで体内から照射する密封小線源療法と、通常の骨盤全体に放射線をあてる方法があります。照射法での再発率に差はありませんが、副作用を考慮すると、密封小線源療法がすぐれているとされています。
 がん細胞が女性ホルモンに感受性がある(受容体が現れている)場合には、ホルモン療法薬の使用が検討されます。

(1)Van den Bosch T, Coosemans A, Morina M, et al. Screening for uterine tumours. Best Pract Res ClinObstetGynaecol. 2012 ;26:257-266.
(2)Walsh CS, Blum A, Walts A, et al. Lynch syndrome among gynecologic oncology patients meeting Bethesda guidelines for screening. GynecolOncol. 2010 ;116:516-521.
(3)国立がん研究センターがん情報サービス. 地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2011年). http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html  アクセス日2015年5月1日
(4)国立がん研究センターがん情報サービス. 人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2013年). http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html アクセス日2015年5月1日
(5)Smith RA, Manassaram-Baptiste D, Brooks D, et al. Cancer screening in the United States, 2015: a review of current American cancer society guidelines and current issues in cancer screening. CA Cancer J Clin. 2015;65:30-54.
(6)厚生労働省健康局長. がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針の一部改正について 平成25年3月28日. http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=148162&name=2r98520000035gti_1.pdf アクセス日2015年5月3日
(7)Kokka F, Bryant A, Brockbank E, et al. Hysterectomy with radiotherapy or chemotherapy or both for women with locally advanced cervical cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Apr 7;4:CD010260.
(8)National Comprehensive Cancer Network ホームページ(NCCN:全米がんセンターガイドライン策定組織)NCCN Guidelines. Uterine neoplasm ver.2. 2015. http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/uterine.pdf アクセス日2015年5月3日
(9)日本婦人科腫瘍学会.子宮体がん治療ガイドライン2013年版.金原出版. http://jsgo.or.jp/guideline/taigan.html アクセス日2015年5月2日
(10)日本婦人科腫瘍学会.NCCNガイドライン 日本語版 2014年版. http://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/gynecological/ アクセス日2015年5月2日
(11)May K, Bryant A, Dickinson HO, et al. Lymphadenectomy for the management of endometrial cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Jan 20;(1):CD007585.
(12)Johnson N, Bryant A, Miles T,et al. Adjuvant chemotherapy for endometrial cancer after hysterectomy. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Oct 5;(10):CD003175.
(13)Galaal K, Al Moundhri M, Bryant A, et al. Adjuvant chemotherapy for advanced endometrial cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2014 May 15;5:CD010681.
(14)Nout RA, Smit VT, Putter H, et al; PORTEC Study Group. Vaginal brachytherapy versus pelvic external beam radiotherapy for patients with endometrial cancer of high-intermediate risk (PORTEC-2): an open-label, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2010;375:816-23.
(15)Kong A, Johnson N, Kitchener HC, Lawrie TA. Adjuvant radiotherapy for stage I endometrial cancer: an updated Cochrane systematic review and meta-analysis. J Natl Cancer Inst. 2012;104:1625-1634.
(16)Kong A, Johnson N, Kitchener HC, et al. Adjuvant radiotherapy for stage I endometrial cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Apr 18;4:CD003916.
(17)Klopp A, Smith BD, Alektiar K, et al; American Society for Radiation Oncology. The role of postoperative radiation therapy for endometrial cancer: Executive summary of an American Society for Radiation Oncology evidence-based guideline. Pract RadiatOncol. 2014;4:137-144.
(18)Secord AA, Havrilesky LJ, O'Malley DM, et al. A multicenter evaluation of sequential multimodality therapy and clinical outcome for the treatment of advanced endometrial cancer. GynecolOncol. 2009 ;114:442-447.
(19)Geller MA, Ivy JJ, Ghebre R, et al.A phase II trial of carboplatin and docetaxel followed by radiotherapy given in a "Sandwich" method for stage III, IV, and recurrent endometrial cancer. GynecolOncol. 2011 ;121:112-117.
(20)Lin LL, Grigsby PW, Powell MA, et al.Definitive radiotherapy in the management of isolated vaginal recurrences of endometrial cancer. Int J RadiatOncolBiol Phys. 2005 ;63:500-504.
(21)Kokka F, Brockbank E, Oram D, et al.Hormonal therapy in advanced or recurrent endometrial cancer. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Dec 8;(12):CD007926.
(22)Randall ME, Filiaci VL, Muss H, et al; Gynecologic Oncology Group Study. Randomized phase III trial of whole-abdominal irradiation versus doxorubicin and cisplatin chemotherapy in advanced endometrial carcinoma: a Gynecologic Oncology Group Study. J ClinOncol. 2006;24:36-44.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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