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子宮筋腫【しきゅうきんしゅ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

子宮筋腫
しきゅうきんしゅ
myoma of the uterus
子宮筋層に発生する良性腫瘍で,子宮腫瘍としては最も多く,婦人科手術率もいちばん高い。発生する場所によって,粘膜下筋腫壁内筋腫漿膜下筋腫に分けられる。不正出血,月経過多,月経困難症などによって発見されることが多いが,症状がまったくないこともある。出血が多く,貧血を起したり,過大になって圧迫などによる障害の著しいときは子宮を除去する。ただし,若い人で出産を希望する場合は,筋腫だけを摘出する手術を行うこともできる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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栄養・生化学辞典

子宮筋腫
 子宮筋を構成する平滑筋から発生する良性腫瘍

出典:朝倉書店
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家庭医学館

しきゅうきんしゅ【子宮筋腫 Uterine Myoma】
◎子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)
[どんな病気か]
[原因]
[症状]
[検査と診断]
[治療]

[どんな病気か]
 子宮筋腫は、婦人科の病気のなかでももっとも一般的な疾患の1つです。35歳以上の女性の15~30%に子宮筋腫があるといわれています。子宮は、大部分が平滑筋(へいかつきん)という筋肉でできていますが、その筋肉から発生したおでき(腫瘍(しゅよう))のうち、良性のものを筋腫(きんしゅ)といいます。悪性のものは肉腫(にくしゅ)(がんとはの「悪性腫瘍のいろいろ」の肉腫)といって、筋腫とは区別しています。
 成人女性の子宮は、ニワトリの卵の大きさですが、そこに筋腫ができると徐々に大きくなり、ガチョウの卵大とか、リンゴ大、おとなのにぎりこぶし大、新生児の頭大などと表現されます。ときには、成人の頭より大きくなることもあります。また、個数も1個とは限らず、数個から無数に存在する場合もあります。

[原因]
 子宮筋腫の原因は、はっきりしていません。しかし、子宮はもともと生殖器(せいしょくき)であるため、エストロゲンという女性ホルモンの影響を受け、思春期から増大していき、閉経から老年期にかけて縮小していきます。筋腫もエストロゲンにより大きさが変化します。つまり発生の原因は不明でも、発育には女性ホルモンが大きく関与しているのです。
 筋腫は発生部位により、漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)(外側)、筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)(中間)、粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)(内側)の3つに分けられます。さらに特殊な場合として筋腫分娩(きんしゅぶんべん)(筋腫が腟(ちつ)に脱出したもの)や頸部筋腫(けいぶきんしゅ)(子宮頸部に発生したもの)があります。

[症状]
 子宮筋腫によるおもな症状は、過多月経(かたげっけい)、不正(性器)出血、月経痛、貧血症状、下腹部腫瘤感(しゅりゅうかん)(しこりを感じる)などです。しかし、無症状の場合も多く、筋腫の大きさ、個数、発生部位によってさまざまです。
 過多月経とは、毎月の月経の出血量(経血量)が多いことです。これは、子宮が増大するためや、子宮内膜が多くなること、内腔(ないくう)の変形のためなどと考えられます。自分の出血量が多いかどうかは、なかなか判定がむずかしいのですが、血のかたまりが出れば、多いと考えたほうがよいでしょう。
 月経痛や不正(性器)出血もしばしばみられる症状です。筋腫によって月経血の流出が妨げられたり、出血が多いためにおこります。月経痛がひどい場合は筋腫ではなく、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)(「子宮内膜症」)であったり、子宮内膜症と子宮筋腫の合併であったりすることも少なくないので、専門医の判断が必要です。
 過多月経や長期の不正(性器)出血を放置しておくと、やがて貧血になります。自分のつくれる血液量よりも毎月の月経血量が多ければ、しだいに血がなくなっていき、動悸(どうき)、息切れがおこります。しかしたいていの場合、貧血は徐々に進行するため、その状態にからだが慣れてしまい、かなりひどくなってからようやく気づくことも多いのです。内科の診察や健康診断のときに初めて貧血といわれ、婦人科受診を勧められて筋腫が見つかることもよくあります。
 前記の症状がなくとも、子宮筋腫に気がつくことはあります。なにげなく下腹部を触ったら、かたい腫瘤(こぶ)に触れたというときなどです。ときにはゴツゴツしていて、動くことがありますし、なんとなく下腹部が太ったと思っているだけの人もいます。しかし、このような場合は卵巣(らんそう)が腫(は)れていることがありますので、子宮筋腫だと思って油断しないで、必ず婦人科の診察を受けることが必要です。
 子宮筋腫が大きくなって、骨盤内(こつばんない)を占拠(せんきょ)し、その圧迫症状で気がつくこともあります。たとえば、大きくなった筋腫がその前方にある膀胱(ぼうこう)を圧迫し、頻尿(ひんにょう)などの膀胱炎症状が出たり、直腸を圧迫して便秘になったりします。また、筋腫が骨盤内の神経を圧迫すると、足にしびれがおこります。

[検査と診断]
 超音波断層法(エコー)がもっとも一般的で、侵襲(しんしゅう)のない(痛みをともなわない)検査です。筋腫が大きい場合、より正確に映し出すために、尿をためて(膀胱をいっぱいにして)、腹部に器械をあて検査します。最近は腟から直接(経腟的に)超音波の器械を入れて行なうことが多く、小さな筋腫や粘膜下筋腫の診断に有効です。
 しかし、場合によっては超音波検査だけでは、卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)や子宮悪性腫瘍(しきゅうあくせいしゅよう)と区別できない場合があるので、さらにCTスキャン(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)検査を行なうことがあります。
 血液検査では、特有なものはありませんが、貧血が見つかった場合、筋腫の有無を検査する必要があります。また、子宮内膜症、卵巣がん(「卵巣がん」)、子宮がん(「子宮がん」)などと区別するために、CA125、CA19‐9、LDH、IAPなどの腫瘍マーカー(体内にがんができると増加、または出現してくる物質。「腫瘍マーカー」)も診断の補助となります。

[治療]
 筋腫があるだけでは、治療の対象となりません。筋腫が大きい場合、痛みをともなう場合、貧血を合併する場合、不妊症(ふにんしょう)(「不妊症」)の場合など、理由がある場合に限って治療が必要となります。
 治療法には大きく分けて、手術療法と薬物療法があります。基本的には子宮を全摘する手術療法がもっとも一般的で、おなかを切る腹式(ふくしき)と、腟から摘出する腟式(ちつしき)があります。腹式はどんな場合でも行なえますが、腟式は経産婦で、あまり子宮の大きくない場合などに限られます。
 手術療法には、筋腫のみを子宮から摘出する筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)という方法もあります。しかし、この方法は妊娠・出産を希望する人、若い人などに限って行なわれます。筋腫核出術は、筋腫の大きさ、数、発生部位によっては、全摘術より出血量が多くなることがあり、術後の回復の遅れや、癒着(ゆちゃく)の可能性、筋腫再発の可能性、子宮がんをおこす可能性など、欠点が多くあるからです。
 よく、子宮をとると女性でなくなると思われる人がいますが、決してそうではありません。たしかに子どもはできなくなりますが、卵巣が残っているかぎり女性ホルモンは出ます。月経時の出血はなくなってもホルモン周期はありますし、ホルモン的にはなんら変化がないといわれています。また、精神的には十分女性のままであり、腟も残っているので性交にも支障ありません。
 薬物療法は、最近脚光をあびるようになってきた治療法です。女性ホルモンを抑えることで、筋腫や子宮内膜症に治療効果が得られることがわかってきました。脳の視床下部(ししょうかぶ)の性腺分泌(せいせんぶんぴつ)ホルモンが、脳下垂体(のうかすいたい)に卵巣を刺激するホルモンを出させ、さらに卵巣の女性ホルモンが分泌されますが、このホルモンの流れを薬が抑えてしまうのです。閉経時と同じ状態になるため、偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)といわれています。
 しかし現在のところ、まだいくつかの問題点をかかえています。薬物によって、筋腫の縮小はあっても、消失することはないこと、薬を中止し、再び月経が戻ると再発する可能性があること、女性ホルモン低下によって更年期障害(こうねんきしょうがい)、骨塩量(こつえんりょう)低下の副作用があること、最長6か月間しか治療できず、その6か月間の治療でかかる費用が決して安くない(保険3割負担で約7~12万円)ことなどです。
 治療法の選択にあたっては、一人ひとり、症状、条件がちがいますので、それぞれが担当の婦人科医とよく相談して決定するべきでしょう。
■子宮筋腫合併不妊症(しきゅうきんしゅがっぺいふにんしょう)
 筋腫が卵管の通過性を悪化させたり、内腔に突出して受精卵の着床障害をおこしている場合、不妊の原因となることがあります。しかし、そのような場合でも妊娠することがあるので、ほかに不妊の原因となる異常がないかどうか調べる必要があります。手術により子宮に癒着がおこり、かえって不妊の原因をつくることがあるので、子宮卵管造影検査(腟から子宮および卵管に造影剤を注入してX線撮影し、流通状態や狭窄(きょうさく)を診断する方法)や子宮ファイバースコープ(内視鏡)などで確認し、手術したほうがよいかどうか慎重に決めるべきです。
■子宮筋腫合併妊娠(しきゅうきんしゅがっぺいにんしん)
 妊娠して筋腫が見つかることがよくあります。妊娠により女性ホルモンが大量に出るため筋腫も大きくなることや、妊娠で初めて産婦人科を受診して、筋腫が発見されるという人が少なくないからです。
 子宮筋腫合併妊娠の場合、流産、早産になりやすいといわれています。以前は妊娠中に筋腫核出術がよく行なわれましたが、最近はあまり行なわれないようです。自然の流産、早産より、手術のリスクのほうが高いと考えられるためです。しかし、妊娠5か月ごろよく腹痛がおこったり、結局帝王切開(ていおうせっかい)になったりと、合併症を覚悟しなければならず、手術するかしないかは、位置や大きさをよくみて、主治医と相談するほうがよいでしょう。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

食の医学館

しきゅうきんしゅ【子宮筋腫】

《どんな病気か?》


〈30歳代以降の5人に1人に子宮筋腫が発生〉
 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、30歳代以降の女性の20~30%の人にあるというほど、婦人科では一般的な病気です。年齢を増すごとに発生率は高くなりますが、その発生原因ははっきりしていません。ただ、子宮の筋肉に発生する筋腫は良性の腫瘍(しゅよう)であり、その発育には、女性ホルモンが影響していることはわかっています。
 筋腫は人によって発生する部位や大きさ、個数などが異なります。そのため、過多月経(かたげっけい)、不正出血(ふせいしゅっけつ)、極度な月経痛、それにともなって起こる貧血(ひんけつ)など、現れる自覚症状もさまざまです。発生した部位や大きさによっては、下腹部にしこりを感じたり、子宮の周囲を圧迫するため、頻尿(ひんにょう)や便秘(べんぴ)、腰痛(ようつう)を訴えることもあります。なかには、まったく自覚症状のない人もいます。
 症状がひどい場合や筋腫が大きくなってしまった場合に、子宮の部分的または全摘出手術を行うのが、現在のところ、もっとも多い治療法です。術後は子宮を摘出したことで受けるダメージを緩和するための心のケアと、体力を回復させるための食事を心がけることがたいせつです。

《関連する食品》


〈ホウレンソウの鉄分、くだもののビタミンC〉
○栄養成分としての働きから
 たいせつなのは摘出手術後のケアです。基本は各栄養素を十分摂取すること。そのうえで、低下した体力を取り戻すためにたんぱく質やミネラル、ビタミン類を、また手術で失われた血液を補うために鉄分を多めにとるように心がけましょう。
 その点、ビタミンを多く含む緑黄色野菜のなかでも、ホウレンソウなどの青菜類は鉄分も多いので、くふうしながら毎日でも食べたい食品です。また、手術によって傷ついた結合組織を再生させるのに役立つのがビタミンC。1日に必要な摂取量を、くだものならデザートとしても効率よくとれます。たとえば、イチゴなら140g(10~20粒)、パパイアなら1個(正味200g)、ネーブルオレンジなら小2個(正味140g)で摂取することができます。
〈ハスの実、キクラゲ、シイタケが有効〉
○漢方的な働きから
 子宮筋腫は、原因がわからないだけに、食事によって改善するのがむずかしい病気です。しかし、治療の必要がない子宮筋腫の諸症状なら、婦人科疾患に有効なものが多い漢方によって緩和できます。
 月経過多や不正出血には、食品としてはハスの実やキクラゲ、シイタケ、当帰(とうき)やヨモギの煎(せん)じ汁などが効果的です。漢方薬としては、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、女神散(にょしんさん)、温清飲(うんせいいん)などがあります。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
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世界大百科事典 第2版

しきゅうきんしゅ【子宮筋腫 myoma of uterus】
子宮の大部分を占めている筋肉組織から発生する良性の腫瘍を子宮筋腫という。その原因についてはまだ明らかではないが,一つは卵巣ホルモンアンバランス,とくに卵胞ホルモン優位の環境が原因になると考えられ,もう一つは遺伝的な体質的素因であるといわれている。
[種類]
 子宮筋腫は子宮頸部に発生するものは比較的少なく,90~95%は子宮体部に発生する。また発育の方向に従って,(1)漿膜下筋腫(子宮体部の比較的表面,漿膜の下に発生し,子宮の外側に向かって発育するもの),(2)壁内筋腫(子宮壁の真ん中あたりに発生するもの),(3)粘膜下筋腫(子宮内膜面に近いところの筋層に発生するもので,子宮腔内のほうに突出して発育し,頸管を通って腟内に,ときに腟外にまで下降,露出することがある――筋腫分娩)の3種類に分けられる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しきゅうきんしゅ【子宮筋腫】
子宮にできる腫瘍しゆようの一種。多くは平滑筋から生じ、良性。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

子宮筋腫
しきゅうきんしゅ
myoma of uterus
子宮の平滑筋と結合織線維の異常増殖によって結節をつくる良性腫瘍(しゅよう)で、婦人科領域における腫瘍中もっとも多い。単発性と多発性の場合があるが、普通は多発性で1~30個の結節を形成する。個々の大きさはアズキ大から成人頭大にもなる。発生する子宮の部位により体部筋腫、頸(けい)部筋腫、腟(ちつ)部筋腫に分ける。このうち平滑筋の多い子宮体部筋腫が全体の90%を占めており、腟部筋腫はまれである。35~50歳の過体重の女性、とくに未産婦か、経産婦でも不妊期間の長い人に多くみられる。
 発生部位などにより無症状のこともあるが、主症状は過多月経と不正子宮出血で、貧血、めまい、心悸亢進(しんきこうしん)などが現れるほか、腫瘤(しゅりゅう)による圧迫症状、筋腫の続発性変化とよばれる循環障害による諸症状がある。まれに悪性変化(肉腫)をおこす。不妊率が高くなり、妊娠しても筋腫が内側に向かって発育しているときなどは流・早産の率が高くなる。一般的な治療としては、症状の緩和には薬物療法を行うことがあるが、筋腫がこぶし大以上になって圧迫症状が強くなったり、貧血が増悪するような場合に手術を要する。これには筋腫結節(筋腫核)だけを摘出して子宮を温存する子宮筋腫核出術と、子宮全摘除術などがある。[新井正夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しきゅう‐きんしゅ【子宮筋腫】
〘名〙 子宮の筋層にできる腫瘤(しゅりゅう)。良性の腫瘍。過多月経や不正出血がつづき、その結果として貧血や心臓障害のおそれがある。三〇~五〇歳の未産婦に多い。

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

子宮筋腫
しきゅうきんしゅ
Uterine fibroids
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 子宮筋腫は、主に子宮筋層内の平滑筋(へいかつきん)成分から発生し、女性ホルモン(エストロゲン)のはたらきによって発育する良性腫瘍です。婦人科の腫瘍のなかでは最も多い病気で、その発生頻度は30歳以上の女性で20~30%と推測されています。さらに非常に小さな筋腫も含めると、過半数の女性にあると考えられています。20代の女性にもみられます。

 小は顕微鏡的な大きさから、大は数十㎝にまで達する硬い球形のこぶができます。こぶは1個から数個できるのが普通です。筋腫の90%以上は子宮体部に発生し、残りは子宮頸部(けいぶ)に発生します。筋腫ができる部位によって、3つのタイプがあります。内側の子宮内膜に向かって発育したものを粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)、筋層のなかで発育したものを筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)、子宮の外側に向かって発育したものを漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)と呼びます(図9)。

原因は何か

 子宮筋腫ができる原因については不明な点が多いのですが、現在、次のような仮説が提唱されています。

 未分化な子宮平滑筋(へいかつきん)細胞が、胎児期の分化の過程でいろいろな影響を受け、筋腫の芽になる細胞が子宮筋層内に発生し、思春期から増えてくる性ステロイドホルモンに反応して子宮筋腫に成長していく、という説です。実際、初経が来る前には子宮筋腫はみられず、また閉経後には筋腫の発生はなく、すでにある筋腫も縮小します。

症状の現れ方

 粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫の場合は、筋腫がある部分の子宮内膜が薄くなり、うっ血、壊死(えし)、潰瘍などが生じて月経の出血量が増えます。そのため、貧血になることがあり、動悸(どうき)・息切れなどの貧血症状で筋腫が発見されることも少なくありません。筋腫のこぶが握りこぶし大以上になると、下腹部に腫瘤感(しゅりゅうかん)膨満感(ぼうまんかん)を自覚することがあります。

 また、子宮腔の変形による月経血の排出障害、筋腫の変性・感染、漿膜下筋腫の茎部(けいぶ)でのねじれなどにより、月経時に下腹部痛や腰痛を自覚することがあります。時には、筋腫が腟のなかにまで下がってきて、不正出血が続くことがあります。これを筋腫分娩(きんしゅぶんべん)といい、筋腫のこぶが子宮から分娩して出てきた形になります。

 筋腫が巨大になり、骨盤内が筋腫で占められるようになると、神経を圧迫して腰痛を起こしたり、膀胱や尿管を圧迫して排尿障害・水腎症(すいじんしょう)を起こすことがあります。さらに、骨盤内の血管を圧迫して下肢に浮腫や静脈瘤(じょうみゃくりゅう)を来すこともあります。

 子宮筋腫は、不妊症や流・早産の原因になることがあります。それは、筋腫のために子宮内膜への血流が不十分になり、また内腔の形が変化するためと考えられています。とくに、粘膜下筋腫の場合が問題になります。

検査と診断

 内診、超音波検査、MRIなどにより診断されます。

治療の方法

 子宮筋腫はすべて治療が必要になるわけではなく、治療の対象になるのは全症例の10%程度とされています。症状が強い場合、悪性が否定できない場合、不妊の原因になっていると考えられる場合、分娩障害が予測される場合などが手術の対象になります。実際には、年齢、症状の程度、妊娠の希望の有無など、さまざまな条件を考慮して治療の必要性や方法を決めます。

 子どもをつくる希望がある場合は、筋腫部分のみを摘出する子宮筋腫核出術(かくしゅつじゅつ)が行われます。再発することもあるので、手術後6カ月以降であれば早期に妊娠を計画するのがよいでしょう。

 また、子どもをつくる希望がなく40歳以上であれば、通常は子宮すべてを摘出する単純子宮全摘除術(ぜんてきじょじゅつ)が行われます。子宮の大きさによっては、腟式の子宮全摘が行えます。最近は、腹式・腟式手術以外に、腹腔鏡や子宮鏡を用いた内視鏡下手術も行われるようになりました。

 薬物療法としては、卵巣機能を抑えて血中エストロゲンのレベルを下げ、擬似的(ぎじてき)に閉経後の状態にするホルモン療法があります。術前にこの薬物療法を4~6カ月間行いますが、この間に無月経になるので貧血は改善し、筋腫は縮小し、手術操作が安全かつ容易になります。

 ただし、投与終了後すぐに手術を行わないと、閉経に移行しないかぎり、約6カ月で筋腫は元の大きさにもどります。また、使用される薬剤は低エストロゲン環境をもたらし、更年期障害のような症状や骨量の減少などの副作用を引き起こすので、繰り返し長期に使うことはできません。

 最近、一部で行われている子宮動脈塞栓術(そくせんじゅつ)は、X線透視下に、子宮動脈に挿入した細い管から血管を詰まらせる物質を注入し、血流を遮断(しゃだん)することによって筋腫を小さくする治療法です。

 この方法はまだ臨床研究段階にあり、健康保険は適用されません。筋腫の変性による感染や強い痛みなど、重い副作用の発生も報告されていて、将来の妊娠への影響など検討すべき課題が多いのが現状です。

矢野 哲

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

子宮筋腫
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は子宮の壁をつくっている筋肉組織が異常に増殖して、こぶのようなかたまり(腫瘍(しゅよう))ができる病気です。大きさはさまざまで、あずき程度から大人の頭くらいのものまでみられます。腫瘍とはいっても子宮筋腫の場合は良性で、非常に多い病気の一つです。
 症状は個人差が大きく、子宮のどこに筋腫ができるかによっても異なります。たとえば、まったく症状のない場合もあれば、月経時にのみ腹痛や腰痛がある場合、月経過多(月経の出血量が多い)によって貧血をおこす場合、不正性器出血がおきる場合などです。
 筋腫が大きくなると、周囲の臓器や骨盤を圧迫するようになるので、下腹部の痛み、腰痛、便秘、頻尿(ひんにょう)をおこします。大きさや場所によっては、おなかを触るとしこりにふれることもあります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 初潮前に子宮筋腫になる患者さんはほとんどいないことや、女性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)が活発な30~40歳代の人に多くみられること、閉経以降には、自然に筋腫が小さくなることなどから、女性ホルモン(エストロゲン)が関係していることは確実です。
 良性の腫瘍ですので、がんに移行する心配はありません。ただし、卵巣(らんそう)がん子宮体がん子宮頸(けい)がんと区別するために正確な検査が必要です。症状のない筋腫の場合は、経過観察でよいでしょう。
 子宮筋腫には子宮頸部(けいぶ)にできる「頸部筋腫」と子宮体部にできる「体部筋腫」があり、ほとんどが体部筋腫です。体部筋腫はできる場所によって3種類に分類され、子宮の外側に大きくなるものを「漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)」、内側に大きくなるものを「粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)」、筋肉の層のなかにできるものを「筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)」と呼びます。多発性のことが多く(60~70パーセント)、粘膜下筋腫・筋層内筋腫・漿膜下筋腫が複数合併することも少なくありません。
 粘膜下筋腫は子宮内膜の表面積が大きくなるため、月経時の出血量が多くなり(過多月経)、貧血、動悸(どうき)、息切れを伴いやすく、月経困難症や不妊の原因になります。
 筋層内筋腫は3つのなかでもっとも多く、過多月経や腹部圧迫症状を伴います。漿膜下筋腫は腹部の圧迫症状のほか、筋腫の茎部(けいぶ)がねじれると痛みを生じます。

●病気の特徴
 婦人科のなかでも頻度(ひんど)の高い病気で、とくに30歳以上では20~30パーセントの人にみられるといわれています。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]エストロゲン・プロゲステロン混合低用量ピルを用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 子宮筋腫に避妊ピルは禁忌とする記述もありますが、臨床経験上、子宮筋腫に伴う過多月経は低用量ピルによく反応することが知られています。子宮内膜の萎縮(いしゅく)をおこすことによると考えられます。避妊したい女性にも使え、副作用も少ないことから、体への影響の大きい治療に進む前に試してみる価値があるといえます。

[治療とケア]IUS(子宮内避妊具)を用いる
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] レボノルゲストレル(黄体ホルモン)徐放型IUS(Intra Uterine System)は、子宮内に装着する避妊具です。子宮内膜の体積と出血を減少させ、貧血を改善したとする、観察研究とシステムレビューがあります。避妊したい女性にも使えます。(1)~(3)

[治療とケア]黄体ホルモン製剤(プロゲスチン)を用いる
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 子宮内膜の増殖を抑え、過多月経を改善します。避妊を希望する、軽症から中等度の症状の人によいでしょう。コホート研究で、筋腫形成のリスクを減らすといわれています。(4)(5)

[治療とケア]ホルモン薬により、筋腫を小さくする
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] GnRHアゴニストは、女性ホルモン(エストロゲン)を抑制する目的で用いられ、いわば閉経状態をつくる薬です。非常に信頼性の高いいくつかの臨床研究によって、この薬によって、子宮筋腫の大きさが35~60パーセントも縮小することが確認されています。(6)~(8)

[治療とケア]手術によって筋腫だけを摘出する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 筋腫だけを摘出する「筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)」は、妊娠を希望する女性や子宮を残すことを希望する女性にとって、有効な治療法です。非常に信頼性の高い臨床研究によって、この手術方法は子宮ごと摘出する「子宮全摘術」と比べて、手術時間や入院期間が短くなり、出血量も少ない点がすぐれていることがわかっています。また、筋腫核出術を腹腔鏡下(ふくくうきょうか)で行った場合は、術後の痛みや発熱が少なく、回復も早いということも臨床研究で確認されています。(9)~(13)

[治療とケア]子宮を摘出する
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 子宮全摘術は、子宮筋腫の症状や再発を取り除くことができるため、もっとも信頼できる治療方法です。非常に信頼性の高い臨床研究によって、子宮全摘術を受けた場合、身体症状、精神状態、生活の質(QOL)が改善したということが確認されています。
 子宮全摘術には、「経腹式子宮全摘術」(開腹して子宮を全摘する方法)、「経腟式子宮全摘術」(腟からメスを入れて、子宮を摘出する方法)、「腹腔鏡下全摘術」(おなかに小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡という手術器具を挿入し、モニターで腹部の画像を見ながら、手術をする)の3種類があります。このうち、「腹腔鏡下全摘術」は、「経腹式子宮全摘術」に比べて、回復が早く、術後の痛みも少なかったということが、非常に信頼性の高い研究によって証明されています。しかし、手術時間が約30分長くなることや、膀胱(ぼうこう)尿管損傷は増えたとの報告もあります。(14)~(16)
 「経腟式子宮全摘術」は「経腹式子宮全摘術」「腹腔鏡下全摘術」と比べて、いちばんよい結果であったという、信頼性の高い臨床研究の結果がでています。安全性にすぐれ、入院期間が短く、短期長期合併症も少ないことにより低コストであるとされ、海外では腹腔鏡での手術よりも先に選択すべきとの意見もあります。また、経腟式子宮全摘術は腹腔鏡下に比べて17分手術時間が短くてすみ、経腹式(開腹手術)に比べて、入院期間も短く、日常的な動きができるまでの日数も早かったことにより、出血量、疼痛(とうつう)が少なくすみ、術後の回復も早いといわれています。経腟式子宮全摘術の絶対禁忌はありませんが、悪性疾患が疑われる、筋腫が大きい、腹腔内の癒着(ゆちゃく)が考えられるなどの場合や、未産婦、高度の肥満、骨盤内の放射線照射、子宮が下降しないときなどでは、経腟式なアプローチがむずかしいこともあります。(17)(18)
 ロボットアシスト子宮摘出術(ダヴィンチ手術)については、今までの腹腔鏡下子宮摘出術に比べ、費用対効果や合併症の発生率、出血量、回復までにかかる期間などの面で、よりよい方法であるという大規模研究の結果はまだでていません。

[治療とケア]子宮内膜焼灼術(しょうしゃくじゅつ)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 子宮鏡下子宮内膜焼灼術やマイクロ波子宮内膜アブレーションは、子宮内膜を焼灼することにより内膜を破壊し、出血を止める方法です。体に負担の大きい手術をしなくてもすむことより、イギリスでは2003~2006年の間には過多月経の手術の60パーセントをしめるまでになりました。子宮内膜過形成やがんが疑われる場合や、妊娠を希望する場合には適応となりませんが、子宮筋腫など器質的疾患がある過多月経にも適応となります。
 子宮筋腫の人に子宮内膜焼灼術をした場合、23パーセントが無月経になりましたが、5年以内に子宮全摘となる例が8~29パーセントありました。その要因としては、子宮筋腫の存在よりもむしろ年齢が若かった(45歳以下)ことが大きく作用しました。ただし、子宮内腔が9センチメートルを超える場合は、内膜焼灼をしても無月経とはならず出血が持続し、子宮全摘となることがあります。子宮内腔の拡大しているような、子宮内腔に飛びでている大きな筋腫の場合には、再手術や子宮全摘の可能性が高くなるといえます。(19)~(23)

[治療とケア]子宮動脈塞栓術(そくせんじゅつ)(UAE)を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 右総大腿動脈から子宮動脈へカテーテルを通して、筋腫に栄養を運ぶ動脈をゼラチン、スポンジなどで栓をしてふさぎます。栓は1~3週間で吸収され、動脈は再開通するといわれています。現在のところ、日本では保険適用となっていませんが、止血効果が高く大量出血時に有効で、過多月経の改善や筋腫の縮小に効果があるといわれています。
 UAEと子宮全摘について、治療後5年の経過と健康関連QOL(生活の質)を比較したランダム化比較試験(RCT)では、UAE群の82.7パーセントで治療後に過多月経の症状が消失または軽減し、両群で健康関連QOLは有意に向上したとされています。UAE群の28.4パーセントで症状の改善が不十分であり、子宮全摘を要しましたが、両グループ間で治療の満足度には有意差は認めませんでした。しかし、合併症や予約外の受診、再入院が増えたという報告もあり、どのような筋腫によい適応となるかは、さらなる研究が必要とされています。(24)~(26)

[治療とケア]MRガイド下超音波療法
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)は、MRIガイド下に高密度超音波を当てて腫瘍を60~90度に加熱し、熱凝固・変性・壊死させる方法です。体への負担が少ない治療法といわれていますが、まだ日本では保険適用となっていません。筋腫体積は6カ月で30パーセント減少し、症状も有意な改善がみられ、社会復帰までの時間も短くなりました。しかし、治療に長時間を要することや、筋腫が大きい、または筋腫が多発している場合や、筋腫の位置により腸管や座骨神経を避けられないような場合は適応とはならないなど、治療法として十分に確立されているとはいえません。しかし、海外では有用な治療法であるとされ、とくにイギリスでは、NHS(国営医療保険制度)に属する病院からこの治療法がcost effectiveである(費用対効果が高い)と支持する報告が出ており、これからの治療法の一つとして考えられています。(27)~(29)


よく使われている薬をEBMでチェック

黄体ホルモン製剤
[薬名]ヒスロン/プロベラ(メドロキシプロゲステロン酢酸エステル)(4)(5)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 子宮内膜の増殖を抑え、過多月経を改善します。避妊を希望する、軽症から中等度の症状の人によいでしょう。コホート研究で、筋腫形成のリスクを減らすといわれています。

低用量ピル
[薬用途]一相性 第一世代ピル
[薬名]オーソM-21/ルナベル配合錠(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール複合剤)
[評価]☆☆
[薬用途]一相性 第四世代ピル
[薬名]ヤーズ配合錠(ドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合剤)
[評価]☆☆
[薬用途]三相性 第一世代ピル
[薬名]オーソ777-21/シンフェーズT28(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール複合剤)
[評価]☆☆
[薬用途]三相性 第二世代ピル
[薬名]トリキュラー21・28/アンジュ21・28(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール複合剤)
[評価]☆☆
[薬用途]三相性 第三世代ピル
[薬名]マーベロン21・28(デソゲストレル・エチニルエストラジオール複合剤)
[評価]☆☆
[評価のポイント] いずれも大規模研究での報告はありませんが、一般的によく使われています。避妊希望がある、筋腫による過多月経に悩む人の最初の治療によいでしょう。

筋腫を小さくする薬
[薬用途]GnRHアゴニスト
[薬名]スプレキュア(ブセレリン酢酸塩)(1)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ナサニール(酢酸ナファレリン)(1)(2)(8)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]リュープリン(リュープロレリン酢酸塩)(1)(2)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 非常に信頼性の高い臨床研究によって、これらの薬は筋腫を小さくする効果があると確認されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
治療は症状によって異なる
 子宮筋腫は、その大きさと合併する症状の程度によって、治療法を決定します。
 通常、筋腫が小さく、貧血や不妊のような体調の悪化や苦痛がない場合は、とくに治療をせず、定期的に経過を観察します。しかし、筋腫が大きくなり、周囲の臓器や骨盤を圧迫することで下腹部の痛みや腰痛、便秘、頻尿などを引きおこした場合、あるいは貧血になるほどの月経異常を引きおこしている場合には、ホルモン療法や手術が行われます。

IUS、黄体ホルモン製剤、低用量ピルを用いる
 避妊希望がある人で、筋腫による過多月経に悩む人の最初の治療によいでしょう。IUSは子宮筋腫の存在により、腟より脱出してしまうことがあるので注意が必要です。

ホルモン薬(薬物療法)は効果が確認されている
 GnRHアゴニストの使用によって、重症の月経時の出血が抑えられ、子宮筋腫を縮小させる効果があるということが、非常に信頼性の高いいくつかの臨床研究で確認されています。しかし、副作用としてエストロゲンが少なくなることによる更年期症状、骨粗(こつそ)しょう症(しょう)、血圧の変動、乾燥性腟炎、関節痛、筋肉痛、浮腫(ふしゅ)、吐き気、不眠、気分のムラなども報告されていることから、投与期間(通常は6カ月)に注意する必要があります。薬の使用が12カ月以上になると、骨密度が減少し、骨粗しょう症のリスクが高くなります。
 ただし、この治療は根治療法ではないため、薬の使用中は筋腫が小さくなりますが、使用をやめると大きくなったり、症状が再発したりします。そのため、手術の3~6カ月前に筋腫のサイズを小さくするために使われることもあります。子宮筋腫が小さくなることにより、経腟手術、横切開(縦切開ではなく)などのより負担の少ない方法で子宮の摘出ができ、手術中の出血が少なくなるメリットがあります。

薬物治療が効果なければ、手術療法を
 ホルモン薬による治療の効果がでない場合、または副作用のために治療を継続できない場合は手術を行うことになります。可能であれば筋腫だけを摘出する「筋腫核出術」を選択しますが、筋腫が非常に大きくて、子宮を全部摘出せざるをえない場合には「子宮全摘術」を行います。
 筋腫核出術でも子宮全摘術でも、開腹手術よりも腹腔鏡下、子宮全摘術の場合は、開腹手術より腹腔鏡下、腹腔鏡下より経腟式子宮全摘術のほうが体への負担が少なく、回復するのに短時間ですむという利点があります。
 しかし、腹腔鏡下手術は比較的新しい手術方法で、医療チームの熟練度によりさまざまな合併症の発症率が異なる可能性があるため、婦人科医とよく相談したうえで決めるとよいでしょう。

子宮内膜焼灼術、子宮動脈塞栓術、MRガイド下集束超音波療法も
 新しい治療法として、子宮内膜焼灼術、子宮動脈塞栓術、MRガイド下集束超音波療法も開発研究されています。それぞれの治療法のメリット、デメリットを主治医とよく相談して決めましょう。(30)

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出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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デジタル大辞泉

しきゅう‐きんしゅ【子宮筋腫】
子宮の筋肉に発生する良性腫瘍(しゅよう)

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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