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宇宙科学【うちゅうかがく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

宇宙科学
うちゅうかがく
space science

宇宙空間での観測を主体とした科学活動の分野。打上げロケットの発達は、大気圏を越えた高空に観測機器を送り出すことを可能にした。これら宇宙空間の観測機器により、まず、太陽からは紫外線の外側に波長のさらに短い電磁波の出ていることが確認され、続いて地球を取り囲んだ放射能域(バン・アレン帯)がみいだされるなどした。こうした状況のなかで宇宙科学が新しい分野として開けてきた。観測機器の発達と観測機器を打ち上げ、かつそれをはるかかなたの宇宙空間まで送り出し、誘導・制御する宇宙航行技術が進展するにつれて、宇宙科学の内容も急速に分科し、高度化した。以下、それらの成果のいくつかを例示する。

 まず惑星間空間については、太陽風の存在の立証がある。これは、太陽から非常に高温の粒子群(陽子、α(アルファ)粒子、電子など)がプラズマとなって、秒速500キロメートルの高速度で吹き出している現象である。太陽風は地球の近傍で地球磁場を変貌(へんぼう)させ、地球を頭とする吹流しのような磁気圏を形づくっている。

 次に月および惑星の探査がある。アポロ宇宙船は月の岩石を多量に地球に持ち帰り、多くの新しい知見を加えたが、月の海やあばたの正体はまだ判明していない。1997年以降、月の極付近に氷層が存在することが判明したが、水分が存在するということになれば、月の利用はさらに促進されよう。火星については、その表面を詳細に調べることに成功した。しかし火星運河については否定的な結論を出し、また生物の存在についてはその痕跡(こんせき)さえみつかっていない。しかし2004年にはアメリカが、探査機による地質調査で、かつて水が液体状で存在していたことを確認したと発表した。今後サンプルを持ち帰ることができれば惑星や生命の生成解明に役だつに違いない。金星については、金星の表面温度が450℃、大気圧が90気圧といったことが明らかになり、また大気成分を示す資料を得た。木星についてはその衛星の火山活動が認められ、土星の環(わ)の微細構造が明らかになった。

 太陽系外については、銀河の渦巻に沿う磁場の存在や、強いX線を出す天体の存在が判明した。

 宇宙空間における無重量状態に関連しての研究成果もある。生物については、上下の区別のつかない世界での植物の成長やクモの生態の実験があり、人間については、筋肉や心臓、また骨についての研究などがある。また、新しい合金や複合材料、新薬(タンパク質の大型結晶成長など)の実験も行われている。

 宇宙科学の成果には、以上のほかに、宇宙からの地球そのものの観測という重要な分野がある。地球の形の測定、重力分布の調査、あるいは海流や流氷の観測などがそれで、最近の地球環境保全のための長期的リモート・センシング(遠隔観測)の陸・海・空域およびオゾン層などのデータ蓄積は重要な側面であり、大きな貢献を果たしている。

[新羅一郎・久保園晃]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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