●安倍晴明【あべのせいめい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
安倍晴明
あべのせいめい
[没]寛弘2(1005).9.26. 京都
平安時代中期の陰陽家。安倍益材の子。賀茂忠行,保憲父子から陰陽道を学び,保憲から天文道の奥義を授かった。大膳大夫,左京権大夫,天文博士などを歴任。その家が土御門の北,西洞院の東にあったため,その子孫は土御門家と呼ばれ,長く陰陽家として栄えた。彼は吉凶を占ったり,陰陽道の祭祀 (泰山府君祭など) を行うなど宮廷で活躍した。また藤原道長,行成ら公家の求めに応じて,多武峯の鳴動を占ったり,病気,物怪 (もののけ) の調伏なども行なった。『栄花物語』では,彼を「神さびたりし物」という,陰陽道の達人として伝えており,彼の伝記には,早くから説話的要素が濃厚であった。『今昔物語』には,忠行の知遇を得たこと,彼が師の忠行と外出して鬼にあったとき,忠行の術法によって難を免れたこと,よく職神 (精霊の一種) を使ったことなどの話を載せ,『古事談』には,道長が飼い犬によって身の危険を知り,晴明に占わせると,彼は,道長を呪咀する者がいることを見破り,白さぎを飛ばして,これを見つけ出した話などを載せている。室町時代の『臥雲日件録』では,彼を「化生のもの」としている。そのため人々は彼の居宅跡に安倍晴明社を創建して彼を霊神として,あがめるようになった。著書に『占事略決』『金烏玉兎集』がある。
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デジタル大辞泉
あべ‐の‐せいめい【安倍晴明】
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
安倍晴明 あべの-せいめい
延喜(えんぎ)21年生まれ。讃岐(さぬき)(香川県)の人という。天文道を賀茂忠行(かもの-ただゆき)・保憲(やすのり)父子にまなび,天文博士,主計権助(かずえのごんのすけ),大膳大夫(だいぜんだいぶ),左京権大夫を歴任。占いの名声はたかく,「今昔物語集」「大鏡」「宇治拾遺物語」などにその説話がのこっている。土御門(つちみかど)家の祖。寛弘(かんこう)2年9月26日死去。85歳。著作に「占事略決」「馬上占」など。
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世界大百科事典 第2版
あべのせいめい【安倍晴明】
平安中期の陰陽家。系図類によれば,8世紀はじめの右大臣阿倍御主人(あべのみうし)の系譜を引き,益材の子とされる。960年(天徳4)に天文得業生として歴史に姿をあらわし,以後,天文博士・主計権助などを歴任して,大膳大夫・左京権大夫となる。極位は従四位下。賀茂忠行・賀茂保憲父子を師として天文道・陰陽道を学び,名声きわめて高く,天文密奏(天文の変化をいちはやく察してその吉凶を占いこれを天皇に奏すること)をはじめ,天皇・貴族の陰陽道諸祭や占いに従事した。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
安倍晴明
あべのせいめい
(921―1005)
平安中期の陰陽(おんみょう)家で土御門家(つちみかどけ)の祖。益材(ますき)の子。文武(もんむ)朝の右大臣阿倍御主人(あべのみうし)(635―703)の後裔(こうえい)といわれるが、讃岐(さぬき)国(香川県)の人という伝説もある。天文博士(はかせ)、大膳大夫(だいぜんだいぶ)などを歴任して従(じゅ)四位下。寛弘(かんこう)2年85歳で没。清明社が9月26日を例祭日とするのは没日にちなむという。賀茂忠行(かものただゆき)・保憲(やすのり)父子を師として陰陽道の達人となり、とくに天文密奏は安倍氏の独占するところとなって、暦道の賀茂家と並ぶ天文道の安倍家(土御門家)の基を開いた。花山(かざん)天皇の譲位を天変で予知したなど神秘化された説話が諸書(『大鏡』『今昔物語集』など)に多い。彼の著書と伝えるものも多いが、現存する確実なのは『占事略決』1巻のみ。
[下出積與]
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精選版 日本国語大辞典
あべ‐の‐せいめい【安倍晴明】
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旺文社日本史事典 三訂版
安倍晴明
あべのせいめい
平安中期の陰陽 (おんみよう) 家。土御門 (つちみかど) 家の祖
陰陽の術を学び,天文を解して事変を予見したという。『今昔物語集』『古今著聞集』に説話が伝えられ,その呪力が賞賛され,崇敬の対象ともなった。
出典:旺文社日本史事典 三訂版
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