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安山岩【あんざんがん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

安山岩
あんざんがん
andesite
火山岩分類の一つで中性火山岩の総称 (→中性岩 ) 。アンデス山脈に産する粗面岩様火山岩に対して命名された (L.フォン・ブッフ,1836) 。色指数 10~40,アルカリ長石の量が全長石量の3分の1以下の細粒ないしガラス質の火山岩。ガラス質のものは暗色,結晶度の高いものほど色が淡くて灰色。一般に斑状で,斑晶は中性の斜長石,輝石,角閃石,黒雲母,まれに橄欖石,柘榴石などを含む。おもな斑晶の鉄苦土鉱物の種類により,橄欖石安山岩,普通輝石安山岩,両輝石 (普通輝石,紫蘇輝石) 安山岩,角閃石安山岩などに分けられる。石基は隠微晶質かガラス質。石基の鉄苦土鉱物としてピジオン輝石を含む岩系と紫蘇輝石,普通輝石を含む岩系がある。安山岩は造山帯での最も普通の火山岩で,流紋岩,石英安山岩とともに,カルク・アルカリ岩系の主要な火山岩。新生代ではおもに大陸の造山帯,特に環太平洋造山帯に多く,大洋地域にはほとんどない。この分布の境を安山岩線と名づけている (P.マーシャル,1912) 。安山岩の成因としてソレアイト質マグマの分化作用によるものと,同じマグマが地殻物質の混成作用を受けて生成したものとの2通り考えられる。前者はソレアイト岩系に属し,石基にピジオン輝石があって紫蘇輝石を欠き,後者はカルク・アルカリ岩系に属し,石基に紫蘇輝石を含む。量的には後者が圧倒的に多い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

あんざん‐がん【安山岩】
《アンデス山脈の火山岩に命名されたandesiteから》火山岩の一。斜長石輝石斑晶(はんしょう)を含み、また、角閃石(かくせんせき)黒雲母(くろうんも)を含むこともある暗灰色の岩石板状・柱状の割れ目がある。日本で最も普通の火山岩で、土木・建築材や墓石などに使用。

出典:小学館
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岩石学辞典

安山岩
石基はアンデシンが主成分で,一種ないし数種の鉄マグネシウム鉱物,一般に輝石または角閃石,ときに黒雲母などからなる火山岩.一般に斑状で,長石の斑晶は複雑な累帯構造を示し,バイトウナイトのようなCaに富む結晶の中心部をもっている.細粒の閃緑岩に相当する組成である.
andesiteの名称は最初にフォン・ブッフがアンデスの長石と角閃石を含む岩石に命名した[Buch : 1836].ロスはさらに詳しく長石がオリゴクレースおよびアンデシンとして,角閃石およびオージャイトを含む種類を区別した[Roth : 1861].しかしツィルケルは長石の組成で制限することにはこだわらず,オージャイト安山岩はオージャイトと斜長石の噴出岩として定義した.したがって橄欖(かんらん)石を含まない玄武岩は安山岩に含まれ,玄武岩はオージャイト斜長石橄欖石岩に限定されることになる[Zirkel : 1894].イディングスはこの分類を適用して,ラブラドライト安山岩(玄武岩),オリゴクレース玄武岩(ムジャリ岩(mugearite)),アンデシン玄武岩(ハワイ岩(hawaiite))という岩石名を用いた[Iddings : 1913].その後ワシントンは安山岩と玄武岩をノルム値の(femic)鉱物の差で区別し,37.5%以下を安山岩とした[Washington : 1923]. シャンドは同様の考え方で実際の鉱物組成に基づいて区別し,マフィック鉱物の容量比が30%以下を安山岩とし,それ以上を玄武岩とした[Shand : 1927].1888年のティール以後は一般に安山岩は石英を含まない閃緑岩に相当する噴出岩という考えで合意されている[Teall : 1888].南米,アンデス(Andes)山脈のマルマト(Marmato)産の岩石に因む.なおAndenは棚田あるいは段々畑の意味[隅田 : 2002].Andenはおそらくケチュア語で,東を意味するantiに由来する.この語はケチュア=インディアンではCuzcoの東にある山脈を指した.一説ではインカ語のanta(銅)からともいわれる[ランダムハウス : 1994].日本語訳は最初は小藤文次郎により富士岩と訳されたが[小藤 : 1884],地質調査所では安山岩と訳し,富士岩と安山岩の両方が1890年代頃まで用いられた.安山岩の訳はライマンの弟子の西山正吾が最初らしい[西山 : 1886, 歌代ほか : 1978].

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

あんざんがん【安山岩 andesite】
日本の火山岩のなかでは一番量の多い岩石である。多量の白い斑晶鉱物と少量の黒色の斑晶鉱物,および灰色の石基からできていることが多い。しかし斑晶が少ない安山岩や急に冷やされたため石基が黒色に近い安山岩もある。安山岩は含まれる斑晶鉱物の種類によって,普通輝石・シソ輝石安山岩,角セン石安山岩,黒雲母安山岩などに細分される。よりケイ酸SiO2成分にとぼしい玄武岩との間で,組成も存在量も連続的に移り変わる。よりケイ酸成分に富むデイサイトとの間も連続的である。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

安山岩
あんざんがん
andesite

通常、斑晶(はんしょう)質で、中性の斜長石、単斜輝石(普通輝石、ピジョン輝石)、斜方輝石(紫蘇(しそ)輝石)、普通角閃(かくせん)石、黒雲母(うんも)、磁鉄鉱などからなる火山岩。そのほか、橄欖(かんらん)石、ざくろ石、石英、菫青(きんせい)石などを含むこともある。造山帯に多く分布する暗灰色、灰色ないし淡赤色、雑色などの火山岩で、カルク・アルカリ岩系の火山岩相の代表。日本ではもっとも多く分布する火山岩である。色指数35~10。19世紀初頭ドイツのブッフにより南アメリカのアンデス山脈山中の火山岩に対して命名された。日本名は1868年(明治1)小藤(ことう)文治郎により富士岩とされたが、地質調査所では安山岩の訳を用い、のちにこれが一般的となった。石基はガラス質のこともあるが、斑晶とほぼ同じ鉱物のほか、アノーソクレース、鱗珪(りんけい)石、クリストバル石などを含む。安山岩をさらに細分、記述するのには斑晶の苦鉄(くてつ)質鉱物を用いて、普通輝石安山岩、ピジョン輝石安山岩、紫蘇輝石安山岩、古銅輝石安山岩、普通輝石・紫蘇輝石安山岩(両輝石安山岩)、角閃石安山岩、黒雲母安山岩、ざくろ石安山岩などとよぶ。岩石の性質としては玄武岩と石英安山岩(デイサイト)の中間の性質をもつ。

 この岩石は、日本列島、アリューシャン列島、ロッキー山脈、アンデス山脈をはじめとして広く環太平洋地域や、他の新旧の造山帯に分布するが、太平洋地域や大西洋地域には、アルカリ質の粗面安山岩のようなものしか分布しておらず、典型的なカルク・アルカリ岩系の安山岩は海洋性地殻の地域には分布しない。1912年にニュージーランドのマーシャルP. Marshallが提案した安山岩分布の境界線を安山岩線とよぶ。

 安山岩マグマの成因としては、(1)マントル内での初生的な安山岩質本源マグマの発生、(2)玄武岩質マグマからの分化、(3)玄武岩質マグマと地殻物質の混成、(4)地殻物質の融解などが考えられており、主成分元素、微量元素、同位体、高温高圧合成実験などの各方面から研究されているが、まだ完全な解決には至っていない。いくつかの異なった過程を経て、ほぼ同質の安山岩の形成される可能性も考えられる。

 日本の火山岩中もっとも分布の広いのはこの安山岩で、これは耐火性も強く、発達した節理のため採石しやすく、また美しいものも多いので石材として利用されることが多い。神奈川県真鶴(まなづる)町の新小松石、長野県下の鉄平石(てっぺいせき)、鹿児島市伊敷町の黒御影(くろみかげ)、香川県坂出(さかいで)市のかんかん石、神奈川県小田原市の根府川石(ねぶかわいし)、福島県須賀川市の須賀川石などがある。

[矢島敏彦]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

あんざん‐がん【安山岩】
〘名〙 (アンデス山脈で発見されたのに由来する andesite から) 火山岩の一種。造山帯に最も普通に産出する。斜長石、輝石、角せん石、黒雲母などを含む。暗灰色で板状・柱状の割れ目があり硬く、耐久力が強い。土木・建築石材や墓石に用いる。
※日本風景論(1894)〈志賀重昂〉四「和田峠〈略〉西餠屋の側なる『橡石』は安山岩なり」

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

安山岩
アンザンガン
andesite

中性火山岩.南アメリカのアンデス山脈の火山岩に対して命名された.SiO2が55~65% 程度で,その性質は玄武岩と石英安山岩の中間にある.典型的安山岩の平均化学組成(%)は,以下のとおりである.SiO259.59,TiO20.77,Al2O317.31,Fe2O33.33,FeO 3.13,MnO 0.18,MgO 2.75,CaO 5.80,Na2O3.58,K2O2.04,H2O1.26,P2O50.26.斜長石,単斜輝石,斜方輝石,角せん石,黒雲母,磁鉄鉱チタン鉄鉱などから構成される.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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