●完全雇用【かんぜんこよう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
完全雇用
かんぜんこよう
full employment
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
かんぜん‐こよう〔クワンゼン‐〕【完全雇用】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
かんぜんこよう【完全雇用 full employment】
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
完全雇用
かんぜんこよう
full employment
働く意志と能力をもつ者が、すべて雇用されている状態をいう。
古典派経済学では、労働力需要も労働力供給もともに実質賃金率の関数であると考えるから、賃金率の伸縮性が十分であれば、賃金率の労働力需給調節作用によって完全雇用が達成されるわけであり、失業があるとすれば、現行の賃金率では就業することを拒否するもの、すなわちいわゆる自発的失業だけである。もっともこの場合にも、摩擦的失業や季節的失業は存在する。前者は市場事情の不知、労働移動の困難、職種転換の困難などの各種摩擦から発生する失業である。後者はある職種の求人が特定の季節にのみ集中するため、それ以外の季節に失業が発生する場合をいい、杜氏(とうじ)、北洋漁民などがその好例である。かくて古典派経済学は、自発的失業、摩擦的失業、季節的失業は別として、完全雇用の経済学であるといわれる。
これに対して1929年の世界不況以後の大量の失業は、古典派経済学では説明がつかぬものであり、この現実を背景にしてケインズ経済学が登場した。J・M・ケインズは、現行の賃金率で働く意志があるにもかかわらず、有効需要が不足するとその社会の産出量が低下して、そこに就業の機会を得られない人々が発生する、すなわち非自発的失業が発生することを指摘した。そしてこの非自発的失業は、公共投資その他の政策によって有効需要を高めて、その解消を図るべきものであるとした。ケインズ経済学にあっては、古典派経済学と異なり、完全雇用は自動的に達成されるものではなく、政策的に実現を図るものなのである。
ケインズ経済学はアメリカのニューディールによって実践に移され、失業の解消に貢献した。各国もこれに追随し、失業の解消は政策目標としてしだいに定着していった。さらに第二次世界大戦中には、W・H・ビバリッジに代表されるような、完全雇用の実現を政策的に図るべきであるとの思想が高まった。そして戦後には先進諸国において完全雇用政策は社会・経済政策の中軸として定着した。戦後の経済は経済復興から経済成長期に移り、完全雇用の実現も比較的容易であったが、1970年代に入ると各国ともスタグフレーションに襲われ、ふたたび失業が問題化してきた。
[佐藤豊三郎]
『J・M・ケインズ著、塩野谷九十九訳『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1941・東洋経済新報社)』▽『渡部経彦・筑井甚吉著『現代経済学9 経済政策』(1972・岩波書店)』▽『W. H. BeveridgeFull Employment in a Free Society (1944, London)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
かんぜん‐こよう クヮンゼン‥【完全雇用】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「完全雇用」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●完全雇用の関連情報