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家内工業【かないこうぎょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

家内工業
かないこうぎょう
home industry
家族従業者を主体に,自己の住宅を作業場所として営む工業形態。低賃金と劣悪な労働条件を一般的特徴としている。歴史的には,マニュファクチュアに先立つ初期資本制経営形態の一つで,商品生産の発展とともに中世封建社会において広まった。産業革命以後,マニュファクチュアないしは工業制生産の発展とともにその多くは消滅したが,大工場問屋の下請け,および実質的な賃加工労務者として存続してきたもの (問屋制家内工業) もある。今日,ヨーロッパでは,特に奢侈品,家具製造業などに多く残存し,日本では,機械制工場経営が発達してからも,繊維,マッチ,セルロイド玩具などを中心とした軽工業部門に多い。

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デジタル大辞泉

かない‐こうぎょう〔‐コウゲフ〕【家内工業】
自分の家の一部を作業場として、家族や家族的使用人の労働力と、簡単な技術・設備を用いて経営する工業の形態。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

かないこうぎょう【家内工業】
一般的には自宅の作業場で家内労働を中心に営む小規模の工業経営をいうが,歴史的には,商人(問屋)から供給される原材料や半製品を自宅で賃加工する問屋制家内工業を指す。作業が労働者の〈家庭〉で行われるので,英語では〈ドメスティック・インダストリーdomestic industry〉というが,問屋が仕事を〈下請けに出す〉ので〈プッティングアウト・システム〉とも呼ばれる。家内工業は道具熟練に技術的基礎をおいている点では,中世のギルドや手工業制度と変わらないが,分業を導入した点で一つの組織的な革新であり,生産性の向上をもたらした。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

家内工業
かないこうぎょう

市場目当ての大量生産にもかかわらず、生産工程が小規模で、多くの生産者の住宅内で商品がつくられる企業体制。技術的には手工業と通じる場合が多いが、独立手工業者が自ら直接に市場を相手に生産するのに対して、家内工業者は、外部の企業家に委託されて生産するから、市場との関係は間接的である。資本力をもち、市場での販売力をもつ企業が、零細な分散した家ごとの生産者に製品を統一的につくらせ、市場で販売する。このため、家内工業の生産者は企業家に対し従属した関係にある。なお企業家が自ら直接に仕事を委託する場合と、仲介人が生産者との間にたつ場合とがある。仲介人は企業家の単なる代弁人であるか、自らも生産者への委託人として危険を負担して利益をねらうという二つの場合がありうる。これらの複雑な関係において生産者の従属が厳しくなると苦汗(くかん)制度とよばれる。なお、企業家が原料や生産用具を前貸しし、製品の価格を買いたたくときには、問屋制家内工業となる。それは、中世または前近代の手工業と近代の機械制工業の中間に存在した過渡期の企業形態であった。近代になって衰退した面がある一方、産業の停滞期、繁栄期のいずれにも、家内工業が一定の役割を担ってきた。大工業への集中がむずかしい伝統の強い地域性や、労働集約的な産業の存在のためである。刺しゅうなど手仕事の必要な繊維加工業や雑貨品、玩具(がんぐ)や時計などの組立て工業では、家内工業が根強く残存してきた。

 なお家内労働者には、世帯主が生計維持の専業とする者、世帯主以外の家族の内職者、世帯主の副業がありうる。わが国は後発資本主義国として労働集約的産業があり、家内工業が第二次世界大戦後も盛んである。1965年(昭和40)に家内労働者の96%が軽工業に従事していた。また、専業者14%、内職者80%、副業者6%であった。男女別でみると、男子が1割弱、女子が9割強であり、家族内の女子の内職が日本の軽工業を支えていることがわかる。

[寺尾 誠]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かない‐こうぎょう ‥コウゲフ【家内工業】
〘名〙 自宅で、家族を中心にして、単純な用具で生産する手工業。
※日本の労働運動(1901)〈片山潜・西川光二郎〉一「従来の家内工業は漸く変移して工場工業たらむとす」

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