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宿主抵抗性誘導剤【しゅくしゅていこうせいゆうどうざい】

日本大百科全書(ニッポニカ)

宿主抵抗性誘導剤
しゅくしゅていこうせいゆうどうざい

殺菌剤を病原菌の標的との相互作用で分けたときの分類の一つ。宿主抵抗性誘導剤は、宿主植物(ウイルスの寄生対象となる植物)の病害に対する抵抗性の誘導(病害防除システムの活性化)により発病抑制効果を発揮する殺菌剤の総称であり、プラントアクチベーターplant activatorともよばれる。

 病原菌が感染すると、植物は生体防御のために、感染した細胞の周辺細胞が壊死(えし)する現象(過敏感反応)を生じる。この現象は、すぐに植物体内全体に伝達され、植物の全体で抵抗性が誘導される。このように、植物全身がさまざまな病原菌に対して抵抗性を示すようになる現象を全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance:SAR)とよぶ。SARを誘導する宿主抵抗性誘導剤には、プロベナゾール(1974年登録)、アシベンゾラル-S-メチル(1998年登録)およびチアジニル(2003年登録)がある。

 プロベナゾールは、サッカリンのベンゾイソチアゾリン骨格を特徴とし、イネ体内でサリチル酸の生合成を誘導することによりSARを発現し、イネがいもち病菌に感染することを防御するとされている。アシベンゾラル-S-メチルは、ベンゾチアジアゾール骨格を特徴とし、サリチル酸を蓄積しないことにより、プロベナゾールとは異なる作用でSARを誘導し、病害防除効果を発揮していると考えられている。チアジニルは、チアジアゾールの酸アミドを基本骨格とし、イネの生体防御反応を誘導することによりいもち病菌を防除すると考えられている。有機リン系のホセチルは、べと病や疫病菌の感染を遅延させることにより、植物体内で抗菌性物質(ファイトアレキシン)が生合成され、このことにより防除効果を発揮するとされているが、阻害機構の詳細は不明である。

[田村廣人]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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