●対馬国【つしまのくに】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
対馬国
つしまのくに
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藩名・旧国名がわかる事典
つしまのくに【対馬国】
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世界大百科事典 第2版
つしまのくに【対馬国】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
対馬国
つしまのくに
九州と朝鮮との間に存在する島で、西海道(さいかいどう)に属する国の一つ。大宝令(たいほうりょう)の規定による下国(げこく)。国府(こくふ)は現在の長崎県対馬市厳原町(いづはらまち)に置かれていた。古くは上県(かみあがた)郡・下県(しもあがた)郡の2郡よりなり、上県郡には伊奈(いな)・向日(むかい)・久須(くす)・三根(みね)・佐護(さご)の5郷、下県郡には与良(よら)・豆酘(つつ)・賀志(かし)・雞知(けち)・玉調(たまつき)の5郷があった。延喜式(えんぎしき)によると大宰府(だざいふ)よりの海路行程は4日、正税(しょうぜい)3920束、庸(よう)・中男作物(ちゅうなんさくもつ)は免除され、特産物として銀を納めている。
対馬は朝鮮半島より北九州への交通路として開け、『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』にも対馬について、「狗邪韓国(くやかんこく)から1000余里の海を渡ると対馬国に到着する。そこの大官を卑狗(ひこ)(彦)とよび、副官を卑奴母離(ひなもり)(夷守)とよぶ。住んでいるところは絶海の孤島で、面積は400余平方里(実際は約698平方キロメートル)で、土地は山が険しく、深林が多く、道路は鳥や鹿(しか)の通るような道しかない。そこには1000余戸の家があるが、良田がなく、海産物をとって食糧とし、自活生活を送っている。島民は船に乗って貿易をしている」との記事がみえる。対馬国では、初めは島司(とうし)、島分寺(とうぶんじ)と称されていたが、のちには国司(こくし)、国分寺と名称を改めた。島分寺は現在の対馬市厳原町国分字金石(かねいし)に建立されていたが、857年(天安1)の郡司(ぐんじ)の反乱で焼失している。また式内社は上県郡に16社、下県郡に13社が存在した。対馬は4世紀後半から大和(やまと)政権の朝鮮半島経営の前線基地となっていたが、663年(天智天皇2)8月の白村江(はくすきのえ)の敗戦によって、逆に防衛の第一線となり、防人(さきもり)と烽火(とぶひ)を設置し、667年には金田城(かねたのき)を築き、外敵の侵入に備えた。以来、対馬には防人が常駐することになった。対馬はしばしば外敵に襲われているが、894年(寛平6)9月の新羅(しらぎ)人の入寇(にゅうこう)、1019年(寛仁3)3月の刀伊(とい)の入寇は大規模な外敵の侵入であった。このように絶えず対馬は外敵侵入の危険にさらされていたので、平安時代には武勇に秀でた者を国司に任命した。
鎌倉幕府成立後、源義長(よしなが)が守護に任じられたが、のちには武藤(むとう)氏が守護を世襲した。平安時代以来、在庁官人の阿比留(あびる)氏が土着して勢力を振るっていたが、鎌倉時代には武藤氏の地頭(じとう)代(代官)である宗(そう)氏が阿比留氏にかわって対馬を支配することになった。1274年(文永11)、81年(弘安4)の二度のモンゴル(元)の襲来によって、宗氏の奮戦にもかかわらず島民に多くの被害が生じた。14世紀後半には宗氏が事実上の島主として君臨しており、対朝鮮貿易も独占することになった。室町時代には対馬は倭寇(わこう)の中継基地となり、その根絶を意図する朝鮮側は1419年(応永26)大軍を対馬に送り、一時対馬を占拠した(応永(おうえい)の外寇)。この事件により朝鮮貿易が中絶したため、対馬は経済的に苦境に陥り、その後の外交交渉によって対朝鮮貿易の回復を図っている。豊臣秀吉(とよとみひでよし)による文禄(ぶんろく)・慶長(けいちょう)の朝鮮出兵には対馬がその前線基地となり、江戸時代にも宗氏(対馬藩)は対朝鮮外交の功によって、10万石格の大名として貿易の特権を与えられている。明治新政府成立後、対馬は厳原県となり、その後一時伊万里(いまり)県、佐賀県に所属したこともあったが、1872年(明治5)8月長崎県に合併され、現在に至っている。
[瀬野精一郎]
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つしま‐の‐くに【対馬国】
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