●尺八【しゃくはち】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
尺八
しゃくはち





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デジタル大辞泉
しゃく‐はち【尺八】
2 書画に用いる紙・絹などの幅1尺8寸のもの。
3 竹製の花器の一。一重切りで、長さ1尺8寸の中央よりやや下に節をとったもの。利休作に始まる。
4 《1の吹奏方法の連想から》男性器に対する口唇による刺激。フェラチオ。
出典:小学館
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日本文化いろは事典
尺八
世界大百科事典 第2版
しゃくはち【尺八】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
尺八
しゃくはち
日本と古代中国の無簧(むこう)(ノン・リード)の縦笛。尺八の名称は、中国唐代の律尺による1尺8寸(約43.7センチメートル)に由来する。狭義には現行の普化(ふけ)尺八をさすが、広義には、古代尺八、天吹(てんぷく)、一節切(ひとよぎり)、多孔尺八をも含む。原則として竹製。管の太さ、長さ、指孔および節の数は、種類により異なる。ただし、管の上端の一部を外側に斜めに削りとった形の歌口は共通で、その鋭い角に直接息を吹き付けて音を発するのが特徴である。
[月溪恒子]
古代尺八
雅楽尺八、正倉院尺八ともいう。雅楽(唐楽)の楽器として7世紀後半以後日本に伝来した。『唐書(とうじょ)』によれば、7世紀中ごろ、楽人呂才(りょさい)は従前の縦笛を改善整備し、十二律にあわせた12種の長さの管をつくった。その最長管(中国十二律の基準音である黄鐘(こうしょう)を筒音(つつね)とする管)の長さ、1尺8寸から尺八の名称が生まれたらしい。日本に伝わったうち、正倉院に8管、法隆寺に1管(現在は東京国立博物館にある)、計9管が現存する。
指孔は前面5孔、背面1孔の6孔。管長は1尺8寸(黄鐘管)を最長にさまざま。節は3節で、玉(ぎょく)・石(せき)・牙(げ)など竹製以外の材も、竹管を模して三つの節をもつ。
10世紀ごろまで雅楽の管絃(かんげん)合奏に用いられたが、やがてその編成から外された。その後平安時代末ごろまでは雅楽以外で用いられたものの、楽譜などの記録を残さなかったため、奏法や音階など音楽についてはまったくわからない。
[月溪恒子]
普化尺八
狭義の尺八。江戸時代を通じて普化宗の法器(宗教の道具)であったことに由来する名称。現行される尺八はすべてこの種で、他種との区別のため、普化尺八または虚無僧(こむそう)尺八とよぶ。普化尺八の名が一般化しているが、歴史的には虚無僧尺八とよぶほうが適切である。また近代以降の楽曲と区別して、「普化宗時代に虚無僧によって吹かれた楽曲」の意味にも用いる。
[月溪恒子]
形態と奏法
真竹を用い、根に近い部分を歌口(上端)にする一節切とは逆に、管尻(下端)に根の部分を使う。指孔は前面4孔、背面1孔の5孔。節は中間に3節、歌口と管尻の4節をあわせて7節あるが、古代尺八と同様、中間の3節が基本の形と思われる。古管の管内は、抜いた節の一部を凸起として残す、ほぼ自然の状態だが、近代以降の尺八は、管内を滑らかに磨き、砥の粉(とのこ)や石膏(せっこう)で地塗りして漆で仕上げるため、均質な音色と音量が得られる。前者を「地無し尺八」、後者を「地塗り尺八」とよび、外観は同じでも楽器の特性がまったく異なる。前者は古典本曲(ほんきょく)に適し、後者は三曲合奏や現代曲に適すといわれる。また、節と指孔の理想的な関係を自然の竹材に求めるのが困難なことから、調節に便利な中継ぎが多い。歌口には、撥先(ばちさき)型や三日月型の水牛角(つの)または象牙(ぞうげ)を細工した箝口(はさみぐち)を埋める。これは歌口補強のためで、近代以降のくふうの一つである。
管長の標準は曲尺(かねじゃく)の1尺8寸(約54.5センチメートル)。1尺3寸ぐらいから3尺くらいまで、1寸刻みで長短各種あり、1寸の増減で基音(指孔を全閉した筒音)がほぼ半音上下する。指孔の開閉の組合せによる基本音列(レ・ファ・ソ・ラ・ド)のほか、半開・4分の3開・4分の1開・かざし指などの指の操作、メリ・カリなどのあごの操作により、派生音を自由に出すことができる。また指やあごの微妙な運動による微分音やポルタメント奏(メリ込(こみ)、スリ上げ、ナヤシなど)、細かい指の動きによるトレモロ奏(コロコロ、カラカラ)、あごの連続運動によるビブラート奏(縦ユリ・横ユリ・斜ユリ)、のどや息を使った特殊奏(タマネ、ムラ息、コミ吹(ぶき))など、多彩な技法を用いる。
[月溪恒子]
記譜法
記譜法は、指使いにつけられた名称を片仮名文字で表記する奏法譜。この文字を譜字(ふじ)といい、「フホウ式」(旧譜)と「ロツレ式」(新譜)の2種がある。フホウ譜は17世紀に一節切で用いられ、普化尺八では尾崎真龍(しんりょう)(1820―1888)の系統、明暗真法(みょうあんしんぽう)流、宗悦(そうえつ)流(ともに廃流)などで使用された。宗悦流の末流、竹保(ちくほ)流にのみ現行される。ロツレ譜は一節切(小竹(こたけ))にも一時使われたが、18世紀以降琴古(きんこ)流尺八譜として定着し今日に至る。現行譜のほとんどがロツレ式だが、派生音や音価表記の方法は根笹派錦風(ねざさはきんぷう)流、西園(せいえん)流、明暗対山(みょうあんたいざん)流(または明暗対山派)、都山(とざん)流、上田流など、各流とも異なり、指法も微妙な差があって複雑である。
[月溪恒子]
流派
虚無僧の修行として尺八が吹かれた江戸時代には、普化宗寺院の尺八指南役(吹合(ふきあわせ))によって教授され、流派のような組織は存在しなかった。京や江戸を中心に、全国に多くの尺八名人や製管師が活躍したと思われるが、記録に残されているのはわずかである。江戸の吹合として活躍した黒沢琴古(きんこ)(1710―1771)は歴史に名をとどめた数少ない一人で、4世まで家芸を継承、今日の琴古流の基礎が築かれた。しかし家元組織としての流が確立するのは普化宗廃止(1871)後で、1896年(明治29)に都山流、1917年(大正6)に上田流と竹保流の近代流派が誕生。一方、普化宗時代の伝統を継承する諸派に、根笹派錦風流、西園流、明暗対山流などの派もあるが、近代流派のような組織力はもたない。
[月溪恒子]
楽曲の種類
尺八音楽の分類概念に、本曲(ほんきょく)と外曲(がいきょく)の用語がある。本曲とは「尺八のみの、尺八のための曲」、外曲とは「他楽器曲(他種目)の尺八への編曲」を意味する。普化宗時代はすべて本曲であったため、この分類すら不要だったが、廃宗後三曲合奏に仲間入りしたことで区別が生じた。また近代流派の流曲を「都山流本曲」などとよんだことから、古典本曲と近代本曲に区別され、さらに演奏形態で近代本曲を独奏本曲と合奏本曲に分けるなど、用語の拡大化がみられる。
内容的には、古典本曲の大半が普化宗の宗教音楽に、古典本曲の一部と外曲や近代本曲が芸術音楽に入り、その他これらとはまったく別に、民謡尺八とよばれる民俗音楽、ジャズやポピュラーなどの大衆音楽も含まれる。このように尺八は、民俗から芸術まで、古典から現代まで、独奏からさまざまな組合せによる合奏まで広く用いられている。
[月溪恒子]
多孔尺八
普化尺八の指孔の数を増やした改造楽器。昭和初期に考案された七孔尺八、九孔尺八、オークラウロの3種。ほとんど普及せず、七孔尺八がごく一部で使用されるのみである。
[月溪恒子]
『上野堅實著『尺八の歴史』(1983・キョウワ出版社)』
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精選版 日本国語大辞典
さく‐はち【尺八】
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しゃく‐はち【尺八】

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