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山姥物【やまんばもの】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

山姥物
やまんばもの
日本の伝統的演劇,舞踊,音楽の曲の一系統。山姥伝説,あるいはそれと金太郎伝説とを結びつけたものを題材とする曲の総称。浄瑠璃のほか,江戸の歌舞伎の顔見世狂言のなかの舞踊劇として数多く作られた。大部分のものは単に「山姥」と通称される。代表的なものをあげると次のようになる。 (1) 能『山姥』。 (2) 義太夫節の人形劇『嫗山姥 (こもちやまんば) 』 近松門左衛門作。正徳2 (1712) 年竹本座初演。遊女八重桐が山姥となって怪童丸 (坂田金時) を育てたとする趣向が以後定着した。 (3) 常磐津節『四天王大江山入』 通称『古山姥』。1世瀬川如皐作詞,鳥羽山里長作曲。天明5 (1785) 年桐座の顔見世狂言『男山娘源氏』2番目大切の舞踊劇。以後の山姥物舞踊劇の典型となる。 (4) 常磐津節『薪荷雪間 (たきぎおうゆきま) の市川』 通称『新山姥』『市川山姥』。三升屋二三治作詞,5世岸沢式佐作曲。嘉永1 (1848) 年河原崎座の顔見世狂言『東都内裡花良門 (あずまだいりはなのよしかど) 』2番目大切の舞踊劇。山姥物の集大成として最も有名で,日本舞踊では,眼目の山めぐりの部分を独立させて素踊で踊る場合が多い。そのほか,能に基づいた地歌『山姥』や,富本『母育雪間鶯 (ははそだちゆきまのうぐいす) 』,長唄『四季の山姥』,清元『月花茲友鳥 (つきとはなここにともどり) 』,荻江節など多数ある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

やまんば‐もの【山×姥物】
歌舞伎舞踊の一系統。山姥」、およびそれに基づく近松門左衛門浄瑠璃嫗(こもち)山姥」によったもの。常磐津(ときわず)富本清元など数多くあるが、常磐津「薪荷雪間市川(たきぎおうゆきまのいちかわ)」(新山姥)が今日最も有名。山姥に育てられた怪童丸が、坂田公時となって都へ上るという筋。

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世界大百科事典 第2版

やまんばもの【山姥物】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

山姥物
やまんばもの
歌舞伎(かぶき)舞踊の一系列。能の『山姥』をもとにしているが、歌舞伎では近松門左衛門の浄瑠璃(じょうるり)『嫗(こもち)山姥』を基礎に、遊女八重桐(やえぎり)が夫坂田蔵人(さかたのくらんど)の死後、山姥となって遺児の怪童丸を足柄(あしがら)山で育てるという設定で、1729年(享保14)以来しばしばつくられた。とくに顔見世狂言で「前太平記」を世界とするときは、大切(おおぎり)舞踊として山姥を扱うのが恒例のようになっていたので、数多くの作品が生まれた。今日もっとも有名なのは1848年(嘉永1)11月河原崎(かわらさき)座初演、三升屋二三治(みますやにそうじ)作の常磐津(ときわず)『薪荷雪間(たきぎにのうゆきま)の市川(いちかわ)』で、その原作『四天王大江山入(してんのうおおえのやまいり)』(1785)を「古(ふる)山姥」というのに対し、俗に「新山姥」という。足柄山中で山姥が育てた怪童丸が源頼光(よりみつ)の臣にみいだされ、坂田公時(きんとき)となって都へ上るという筋で、眼目は山姥の「山めぐり」の所作(しょさ)。ほかに富本『母育雪間鶯(ははそだちゆきまのうぐいす)』(1805)、清元『月花茲友鳥(つきとはなここにともどり)』(1823)などが知られ、また「山めぐり」のくだりは独立して踊られることがあり、長唄(ながうた)『四季の山姥』や地唄舞にもなっている。[松井俊諭]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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