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市民運動【しみんうんどう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

市民運動
しみんうんどう
citizen movement
おもに次の3つの意味内容をもつ。 (1) 実体的カテゴリーとして,都市部ないしは行政区分上の市地域の住民を主たる構成員とした住民運動。 (2) 歴史的カテゴリーとして,市民階級とりわけ零細な都市中産階級,および「新中間層」といわれるような「小市民階層によって主導される運動。 (3) 理念的カテゴリーとして,市民的不服従の形態を中心とする抵抗権の行使運動。これらの3規定は,第2次世界大戦後の日本ではまず全面講和運動頂点を見出す知識人,進歩的文化人中心の抵抗運動,次に原水爆禁止運動のような,無党派小グループに基礎をおく運動,そして公害防止運動などの地域的性格の強い自治的運動,地域住民の生活権が侵されることに抵抗する住民運動というように,相互にからみ合いながら重層的に蓄積され発展してきたと考えられる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

市民運動
国民は、市民・住民運動などによって、社会・経済状況の変化に伴う新しい選好を政府に伝えたり、政策の変更を求める場合がある。市民・住民運動は、特に公害、物価上昇、地域格差などが表面化してきた1960年代後半に高まった。市民・住民運動には、請願陳情デモ集団交渉議員や有力者との接触マスコミの利用による世論喚起などの手段が用いられてきた。
(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

しみん‐うんどう【市民運動】
一般市民が中心となった政治・社会運動。ふつう、特定政党と無関係なものをいう。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

しみんうんどう【市民運動】
自由で平等な市民社会と平和で健康な市民生活を実現するため,それを妨げるさまざまな力に対して,連帯して抵抗し,市民的自由の拡大と市民生活の擁護を図ろうとする運動。歴史的には,17,18世紀,イギリス,フランス,アメリカで都市ブルジョアジーが王政や植民地支配に反抗し,市民的自由を獲得していった市民革命の経験に,古典的な市民運動の原型が求められる。 現代の市民運動は,すでに手にした市民的自由を武器に,核兵器反対,人種性別など差別撤廃,人権擁護,軍事基地撤去,公共開発事業の阻止,公害反対,自然保護,情報公開法の要求公選制の拡大,嫌煙権の要求など,市民の自由権と社会(生存)権を守る多様な目標を掲げ,国際,国内,地域社会で自発的な運動を展開している。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しみんうんどう【市民運動】
政治的・社会的問題の解決をめざして、特定の政治信条にとらわれず、市民が公民としての自覚に基づいて行う運動。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

市民運動
しみんうんどう
ひとりひとりの市民が民主主義を基礎に、権利意識を自覚し、階層の相違を超えた連帯を求め、特定の共通の目的を達成しようとする運動をいう。この市民運動の特徴は、個人の自主的な参加を前提に、流動的で柔軟な組織を通して、非政治的な市民による非党派的な運動を展開する点にある。かつてのベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)をはじめ、反戦運動、平和運動、反公害運動、反核運動、消費者運動、エコロジー運動などがその例としてあげられる。市民運動は、さまざまな職業に従事している人々によって担われており、特定の職種や職場で働いている人々を基盤に展開される労働運動とは区別される。この市民運動は住民運動としばしば同義に用いられることがあるが、用語が相違しているように、両者は区別されるときもある。この区別は、運動の目的とするところが特定の地域社会に根ざしているかどうか、つまり地域性の問題にかかわってくるものである。その点を別とすれば、市民運動と住民運動はほぼ同義であると考えてよいであろう。しかし、その地域性の問題もかならずしも一義的に理解できるとは限らず、したがって、実際には区別しにくい場合も少なくない。[高橋勇悦・原田 謙]

日本の市民運動

このような運動が盛んに展開し始めたのは、いわゆる経済の高度成長が本格化した1960年代の中ごろからである。国は次々と開発計画を打ち出して経済成長を進め、地方自治体も、国の中央集権化が強められるなかで、産業基盤の整備に意を注いだ。その結果は、産業化、都市化は高度に推し進められ、「豊かな社会」ができあがり、「中流意識」階級も90%に達するまでになった。しかし、それは同時に、生活環境の悪化、自然環境の破壊、過密化・過疎化、廃棄物の著増、資源・エネルギーの乱用、人間疎外・個人解体などの、多くの深刻な問題を生み出した。このような問題が多発するなかで多様な運動が盛んに展開するようになったのである。
 これらの運動は、各種の公害反対運動(工場公害、交通公害、食品公害など)、福祉・文化・教育に関する公共施設の整備・充実要求運動、「迷惑施設」(ごみ処理施設など)建設反対運動、大規模な公共施設(空港、新幹線、高速道路、原子力・火力発電所など)建設反対運動、大規模開発反対運動(苫小牧(とまこまい)、むつ小川原(おがわら)、志布志(しぶし)など)、全国各地の自然保護運動、景観・町並みを保存する運動など、多様に分化している。
 1960年代から1970年代前半にかけて、既存の社会体制に対する異議申し立てを展開し、公共政策に多大な影響を与えた市民運動は、1980年代以降、全体としては沈静化していった。しかしこれまでの運動とは異なる組織形態をとるフェミニズム運動、エコロジー運動、チェルノブイリ原子力発電所事故以降の反原発運動、障害者運動といった単一争点主義の新しい運動が展開されるようになった。これらの運動は「新しい社会運動」とよばれることも多い。具体的に1980年代に展開した運動としては、神奈川県逗子(ずし)市の池子の森における米軍住宅建設反対運動が注目を集めた。また1990年代に入ると、さまざまな開発事業に対する運動が展開された。具体的には、新潟県巻町(現、新潟市西蒲(にしかん)区)の原子力発電所建設をめぐる運動、各地の産業廃棄物処分場反対運動などである。また、阪神・淡路大震災後の神戸空港建設問題、徳島県の吉野川河口堰(よしのがわかこうぜき)建設問題なども脚光を浴びた。[高橋勇悦・原田 謙]

運動の類型と展開

市民運動ないし住民運動の類型化はいくつか試みられている。たとえば、作為要求型・作為阻止型→地域づくり・まちづくり型、などがそれである。これは単に類型を意味するだけでなく、矢印が示すように、1960年代から1970年代への変容を意味するものにもなっている。1960年代には、教育・福祉施設の増設・充実を求める作為要求型と公害などの生活環境の悪化を招くおそれのある開発行為を阻止する作為阻止型の運動が数多く展開していた。しかしオイル・ショックを境に高度成長期から低成長期に入った1970年代には、開発国家と対峙(たいじ)する告発型の運動から地域づくり・まちづくり型とよぶべきコミュニティ・レベルの運動に移行していったのである。とはいえ、運動の展開は単純に類型的に把握しきれるわけではなく、どの類型の側面も、同時にもつ運動もあるし、また、1960年代の類型が1970年代には消失してしまうのでもない。
 1980年代以降の市民運動の展開を特徴づけるキーワードは「ネットワーキング」である。運動の組織形態として、自立した個々の市民運動がアドホックな(特別な目的のための)連合を形成したり、緩やかで水平的なつながりを重視する傾向が強まってきている。ネットワーキングは、アメリカの自発的市民によるさまざまな活動のなかから形成された概念であるが、インターネットといった情報化の進展に伴い、情報メディアを通じた運動の連携(「藤前(ふじまえ)干潟を守る会」の事例などにみられる)は、今日の市民運動がもつ大きな特質となっている。[高橋勇悦・原田 謙]
『伊東光晴・篠原一・松下圭一・宮本憲一編『岩波講座 現代都市政策 市民参加』(1973・岩波書店) ▽松原治郎・似田貝香門編『住民運動の論理』(1976・学陽書房) ▽森元孝著『逗子の市民運動』(1998・御茶の水書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しみん‐うんどう【市民運動】
〘名〙 既成政党や労働組合から独立した、市民を主体とする政治社会運動。個人の権利意識や地域的利害などに基づく場合が多い。
※現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉I「こうした市民運動が現代資本主義的なものと正面からぶつかりあうのは」

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