●帰巣性【きそうせい】
知恵蔵
帰巣性
(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
きそう‐せい〔キサウ‐〕【帰巣性】
出典:小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)
帰巣性
きそうせい
動物が自分のすみ場所や巣場所から遠く離れた場合、ふたたびそこへ戻ってくる性質あるいは能力をいう。ミツバチが遠くの餌場(えさば)から自分の巣へ正確に戻ってきたり、伝書バトが何百キロメートルも飛んで鳩舎(きゅうしゃ)へ戻ってくる例はよく知られている。また、渡りや回遊をする動物が自分の生まれた場所や、元の繁殖地に戻ってくる場合には回帰性ということばも使われる。たとえば、ツバメに限らず、渡り鳥の多くは自分の前年の繁殖地または越冬地に戻ってくる。アホウドリ類やミズナギドリ類などの海鳥、またアザラシ類やオットセイなどの海獣類では、繁殖を終えると次の繁殖期までに海洋を何千キロメートルも回遊して、繁殖地の小島へ帰ってくる。ただし、鳥の渡りや魚の回遊という現象は、ミツバチや伝書バトの帰巣性とは、時間スケールや、その行動がもつ適応的意味が質的に異なっている。
帰巣の能力がなにに基づくものであるかは、まだよくわかっていない場合が多いが、ミツバチでは、いくつもの実験結果から、太陽の方位と体内に備わっている日周期の時間感覚である、いわゆる体内時計によって巣の方向を正確に見定めることができる。サケ・マス類では、自分の生まれた河川の水のにおい(化学成分)を記憶しているためであるといわれる。また、渡り鳥たちは、昼間は太陽の位置、夜は星座を頼りに体内時計で方向を修正しながら渡りを行うらしい。すでに渡りの経験をもつ成鳥ばかりではなく、初めて渡りを経験する幼鳥でさえも、正確に繁殖地と越冬地との往復を行うことは、この能力が単に経験や学習によるものばかりではなく、生得的な基盤をもつ可能性が大きい。
[山岸 哲]
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精選版 日本国語大辞典
きそう‐せい キサウ‥【帰巣性】
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