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年代測定【ねんだいそくてい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

年代測定
ねんだいそくてい
age determination
過去の地球上のイベントは現在より何年前に起ったのか,過去の生物の遺骸や遺物である化石は何年前のものか,それらを含んでいる地層は何年前のものと考えられるか,地質時代の長さは何年間で境界は何年前なのか,あるいは考古学的な遺跡・遺物は何年前のものなのかなど,それらの年代を測定するのが年代測定で,年代測定法の開発および地質時代の年代精度を高める研究分野を地質年代学 geochronologyという。年代測定には種々の方法があるが,それぞれ制約があり,目的に応じた方法を選ぶ必要がある。また,地層や岩石はどれでも年代測定ができるわけではない。
樹木の年輪,氷河堆積物の氷縞土など年周期がわかっているものは第四紀の最近地質時代に適用できる。黒曜石の水和層の厚さを計測する方法は考古学で利用できるが,温度の影響を受けるため,およその年代であれば得ることができる。火山の多い地域では噴火に伴う降灰は広い地域に分布するので,火山灰に含まれる鉱物の放射年代を測定し火山灰層を使って対比することができるので,最近地質時代の地層や考古学的遺跡にも利用される。化石の生層序と放射年代,古地磁気層序を組合せることによっても精度の高い年代を得ることができる。これは特にジュラ紀以降の海成層に広く利用されている。放射性同位体を利用した放射年代測定は地質時代に広く使えるが,測定可能な鉱物,岩石がどこにでもあるとは限らない点に問題はある。しかし,最も広く利用され信頼度も高い。
放射性同位体を使った年代測定は放射性物質が外的条件とは無関係に一定の割合で崩壊することを利用するもので,質量分析計の発達によって微量の元素の定量分析が可能となり,精度の高い年代が得られるようになった。以下,いくつかの方法の要点を述べる。
ウラン・鉛法というのは,ウランの同位体のうち,ウラン 238が 44億 7000万年の半減期で鉛の同位体である鉛 206に,ウラン 235が7億 400万年の半減期で鉛 207にそれぞれ崩壊する。したがってウラン鉱物の生成年代が古いほどそれには多量の鉛 206と 207が含まれるわけで,ウラン 238と鉛 206の量比とウラン 235と鉛 207の量比をはかることによってウラン鉱物の生成年代を得ることができる。実際には鉛 206と 204の比,鉛 207と 204の比をはかって年代が求められるので鉛・鉛法ともいう。半減期が長いため1億年以上の古い試料の年代測定に有効である。
ルビジウム・ストロンチウム法は,ルビジウムの同位体のうちルビジウム 87が 488億年の半減期でストロンチウム 87に崩壊するものを利用するわけであるが,この場合は,初生鉱物中にストロンチウム 87がすでに若干含まれているため,同一の岩石から2つ以上の異なった鉱物を取出し,それぞれについてストロンチウム 87と 86の比,ルビジウム 87とストロンチウム 86の比を求め,それから等時線を描いて年代を得る。この方法は花崗岩などに広く利用され 1000万年前より古い試料の年代測定に適用できる。
カリウム・アルゴン法は,カリウムの同位体のうち,カリウム 40は 12億 5000万年の半減期でアルゴン 40とカルシウム 40に崩壊する。このうちカリウム 40とアルゴン 40を使って年代を決める。カリウムは多くの岩石に含まれているので 100万年以上前の試料に広く利用される。また,岩石に中性子を照射し,岩石中のカリウム 39をアルゴン 39に変え,アルゴン 40と 39の比を使って年代を測定する方法をアルゴン・アルゴン法と呼び,これは量の限られた試料に有用である。
炭素 14法 (→ラジオカーボンデーティング ) は,天然に存在する炭素の同位体である炭素 14が 5730年の半減期で窒素 14に崩壊するが,生物体中の炭素 14の割合は大気中と等しく,死んだ生物体内の炭素 14は時間とともに放射性崩壊で消滅するので,残存する炭素 14の割合から年代を得る方法である。これは木材,動物の骨などに利用され,数万年前までの年代測定に使われる。
フィッショントラック法は,鉱物中に含まれるウランが核分裂を起すとき,放出される物質が鉱物中を通過する際に結晶に傷跡をつけるので,鉱物中のウラン含有量とフィッショントラック (飛跡) の数を数えることにより年代測定をする。使用する鉱物としてはジルコンが最も適し,火山噴出物に有用である。
このほか,化石による生層序と古磁気層序を利用した年代測定としては,海洋のプランクトンであるナンノプランクトン,浮遊性有孔虫,ケイ藻,放散虫のそれぞれの化石の生層序と古磁気の逆転史を組合せ,それに放射年代を加えて,連続した微化石年代尺度をつくり,白亜紀以降の海成層で精度の高い年代が得られている。古地磁気層序はジュラ紀中期まで確立されているのでアンモナイトの生層序を組合せて利用できるし,放散虫は古生代から出現しているのでその生層序と放射年代を組合せることが可能である。これらも地質年代学ではあるが,通常,生物年代層序学 biochronostratigraphy,生物年代学 biochronologyと呼ばれている。
これらのさまざまな方法を使って地層,岩石,地質時代の年代を決めることができるが,近年では年代測定の精度が高まり,地質学の分野に大きな進歩をもたらした。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版

ねんだいそくてい【年代測定】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

年代測定
ねんだいそくてい
地質現象の年代を具体的な数値として求めること、あるいはその技術。放射性同位元素を利用した年代測定法がもっとも有力である。放射性元素の利用の仕方には、放射性元素の崩壊に注目する方法と、放射性元素による損傷に注目する方法がある。
 放射性元素の崩壊に注目する方法は、放射性元素の崩壊が、通常の地質現象の下では周囲の条件と独立に進行することを根拠としている。この方法は大きく次の二つに分けられる。
(1)カリウム‐アルゴン法、ルビジウム‐ストロンチウム法、ウラン‐鉛法など。用いられる放射性元素において、親元素と娘(じょう)元素の量比が時間の経過にしたがって変わることを用いる。
(2)炭素14法、イオニウム減衰法など。用いられる放射性元素が、生成と崩壊の平衡状態から離脱することによって、親元素の量が時間の経過とともに変わることを用いる。
 これらの方法が実際の地質現象に適用されるためには、第一に、放射性元素の半減期が測定すべき地質現象の発生から現在までの時間とおおよそ対応していること、第二に、年代を測定すべき地質現象の発生後、測定試料において放射性元素の出入がないこと、第三に、試料中に放射性元素が測定可能な量含有されていること、が必要である。したがって、先に述べた方法には、それぞれ適用可能な年代幅と鉱物種などがある。
 放射性元素による損傷に注目する方法は、放射線によって物質は原子レベルでの放射線損傷を受けるが、その損傷量と放射線被曝(ひばく)時間との間には正の相関があるということを根拠としている。この方法としてもっとも有名なものはフィッショントラック法で、それは放射性元素が自発核分裂をするときに残した飛跡(フィッショントラック)数によって損傷が蓄積されるようになってからの時間を評価しようとするものである。測定対象としては、火山ガラスやジルコン、燐灰石(りんかいせき)(アパタイト)などが用いられている。これに対して、熱を加えて放射性損傷を回復させる際に熱ルミネセンスという発光現象があることを利用して、その発光量から損傷量を評価しようとするのが熱ルミネセンス法(TL法)である。また、電子スピン共鳴によって評価しようとするのが電子スピン共鳴法(ESR法)である。この熱ルミネセンス法と電子スピン共鳴法は、新生代第四紀の地質現象に対してよく用いられる年代測定法である。[伊藤谷生・角井朝昭]
『兼岡一郎著『年代測定概論』(1998・東京大学出版会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版

年代測定
ネンダイソクテイ
age determination

大きく分けて二つの流れがある.一つは,化石によってたい積の層序から決める地質年代で,たとえば,古生代カンブリヤ期からミルル期にかけての三葉虫の出現,死滅による方法などである.もう一つは,絶対年代の決定という観点から放射性核種を利用する方法である.現在では,年代測定といえば後者をさす.用いられる核種などは,その目的,用途,対象とする物質(岩石)によってそれぞれ工夫されなければならない.核種の寿命や性質がその場合の決め手となる.一般に用いられている方法は,ルビジウム-ストロンチウム法,カリウム-アルゴン法,トリウム-ウラン-鉛法,ヘリウム法,14C法がある.放射性核種を用いる方法は,時間の経過をその間に崩壊した放射性核種の量から推定する.この場合,二つの条件を必要とする.それは,
(1)試料が測定された年代を通じて,外界からの物質の出入りがないこと,
(2)得られた年代前の試料に含まれていた放射性核種の崩壊生成物の量が,推定可能であること.
[別用語参照]放射性炭素による年代測定

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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