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延年【えんねん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

延年
えんねん
平安時代中期から室町時代にかけて,興福寺東大寺長谷寺延暦寺園城寺など畿内の大寺院で,法会のあとや貴族接待などに行なわれた遊宴歌舞。長寿を意味する遐齢延年(かれいえんねん)から名づけられたともいわれる。その担い手は,のちに僧兵とも呼ばれるうになる寺院内新興勢力の衆徒で,武力蜂起の際と同様の作法で年を催すことも多かった。その芸能には,滑稽なことばで一山をほめ,仏をたたえて開会を告げる開口(かいこう),やはり滑稽なことばのやりとりで機知を競う答弁(とうべん),稚児による白拍子若音(わかね),糸綸(いとより),舞楽などの歌舞や,による夫催(ぶもよおし),大衆舞,倶舎(ぐしゃ),連事風流猿楽田楽などの演劇的所作がある。これらの芸能は,同時代に流行していた猿楽の芸を取り入れたと考えられているが,寺院の声明などの影響も認められる。室町時代後期以降,畿内の寺院ではしだいに行なわれなくなったが,地方寺院において,正月の修正会の行事として延年の芸能が行なわれるようになった。今日でも,岩手県平泉の毛越寺延年や,栃木県の日光輪王寺,岐阜県の長滝白山神社(→六日祭)などで見ることができる。かつての延年の詞章は,多武峰延年(→多武峰)にまとまったものが残っており,興福寺には元文4(1739)年の『興福寺延年舞式』がある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版

えんねん【延年】
寺院の法会のあとに余興として演ぜられた芸能の総称。延年とは文字通り,〈齢を延ぶる〉ということで,もとは芸能を意味する言葉ではなかったが,〈詩歌管絃者遐齢(かれい)延年也〉(《庭訓往来》),あるいは〈,芸能とは諸人の心をやはらげて上下の感をなさん事,寿福増長のもとひ,遐齢延年の法なるべし〉(《風姿花伝》)とあるように,芸能には古来延年除禍の効が認められており,そのために延年と言えば芸能を意味するようになったものである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

えんねん【延年】
寿命を延ばすこと。長生きすること。 詩歌管絃は、嘉例-の方也/庭訓往来
延年舞に同じ。
寿命が延びるほどに楽しむこと。 夫はなけれども出て共に-す/今昔 3

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

延年
えんねん
中世芸能の一つ。貴族たちが節会(せちえ)のあとで行った遊宴の際の芸能や僧侶(そうりょ)たちが法会のあとで行った遊宴の際の芸能をいう。延年の語は遐齢延年(かれいえんねん)(長寿の意)から出たという。芸能によって心を和やかにし、寿福を祈り、災(わざわ)いを除くということである。平安時代末から室町時代にかけ、近畿を中心とした寺院で盛んに行われた。延年には稚児(ちご)が出るのが特色であり、それに猿楽(さるがく)、白拍子(しらびょうし)、舞楽(ぶがく)、風流(ふりゅう)、今様(いまよう)、朗詠(ろうえい)、小歌(こうた)など上代から中世に栄えた雑多な芸能が加わっていた。しかし、延年というまとまった芸能はなく、各種多様な芸能が行われていたので、鎌倉時代には延年を乱遊ともいった。延年の流行とともに、寺院においては遊僧(ゆそう)とよばれる芸能に巧みな僧が生まれた。東大寺、法隆寺、園城寺(おんじょうじ)、興福寺、多武峯(とうのみね)(現、談山(だんざん)神社)、周防(すおう)(山口県)仁平寺(にんぺいじ)、奥州平泉の中尊寺、同毛越寺(もうつうじ)などの延年が有名であった。多武峯延年には開口(かいこう)、連事(つらね)(「れんじ」とも)、大(だい)風流、小(こ)風流などが行われており、大風流、小風流には古い猿楽能を彷彿(ほうふつ)させるものがあった。興福寺延年には寄楽(よせがく)、振舞(えんぶ)、舞催(ぶもよおし)、僉議(せんぎ)、披露(ひろう)、開口、射払(いはらい)、間駈(あいがけ)、連事、糸綸(いとより)、遊僧、風流、相乱拍子(あいらんびょうし)、火掛(ひがかり)、白拍子、当弁(とうべん)、走(はしり)、散楽(ちりがく)などの曲が行われていた。中尊寺や毛越寺の延年では呼立(よびたて)、田楽踊(でんがくおどり)、路舞(ろまい)、祝詞(のっと)、老女、若女、児舞(ちごまい)、京殿舞(きょうでんまい)、「延年」、舞楽などという曲が今日も行われているが、その曲目中、老女、若女、京殿舞は古い猿楽を想像させるし、「延年」とよんでいる留鳥(とめとり)、卒都婆小町(そとばこまち)、女郎花(おみなめし)、伯母捨山(おばすてやま)の四番の古能の構成は、今日の能が完成する直前を思わせるものである。延年のなかのさらに狭義の「延年」として、能完成直前の古い能が行われているところに、延年のなかから能が発展していった過程を知ることができる。延年は日本芸能を育てた温床の場としてその文化史的意義は大きい。
 現存する延年には、岩手県西磐井(にしいわい)郡平泉町の毛越寺(1月20日)、同中尊寺(5月4日)のほかに、栃木県日光市の輪王寺(りんのうじ)(5月17日)、岐阜県郡上(ぐじょう)市白鳥(しろとり)町の長滝(ながたき)延年(1月6日)、島根県隠岐(おき)国分寺(隠岐の島町)の蓮華会舞(れんげえまい)(4月21日)などがあり、現在もなお昔のおもかげを伝えている。[後藤 淑]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店) ▽本田安次著『延年資料その他』(1948・能楽書林) ▽林屋辰三郎著『中世芸能史の研究』(1960・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典

えん‐ねん【延年】
〘名〙
① (━する) 寿命をのばすこと。長生きすること。延寿。延命。
※菅家文草(900頃)一・喜雨詩「含弘渙汗濃、延年秋可待」 〔史記‐淮南王安伝〕
② (━する) (楽しんで寿命をのばす意から) 楽しむこと。
※今昔(1120頃か)三「燼杭(じんかう)太子の妻(め)も〈略〉出て共に延年す」
※吾妻鏡‐文治四年(1188)一〇月二〇日「御酒宴之間。児童及延年云々」

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旺文社日本史事典 三訂版

延年
えんねん
平安中期から室町時代にかけて寺院で行われた遊宴の余興
田楽 (でんがく) ・猿楽 (さるがく) の影響をうけ,寺院芸能として発生。東大寺・興福寺や延暦寺で大きな法会 (ほうえ) のあとなどに境内で行われ,遊僧という舞専門の僧と稚児 (ちご) が舞い,演技種目も多彩であった。現在,平泉毛越 (もうつ) 寺・広島県厳島神社などに伝承されている。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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デジタル大辞泉

えん‐ねん【延年】
寿命を延ばすこと。長生きすること。
延年舞」の略。

出典:小学館
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus

延年 えんねん

出典:講談社
(C)Kodansha 2015.
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