●延年【えんねん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
延年
えんねん
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世界大百科事典 第2版
えんねん【延年】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
延年
えんねん
中世芸能の一つ。貴族たちが節会(せちえ)のあとで行った遊宴の際の芸能や僧侶(そうりょ)たちが法会のあとで行った遊宴の際の芸能をいう。延年の語は遐齢延年(かれいえんねん)(長寿の意)から出たという。芸能によって心を和やかにし、寿福を祈り、災(わざわ)いを除くということである。平安時代末から室町時代にかけ、近畿を中心とした寺院で盛んに行われた。延年には稚児(ちご)が出るのが特色であり、それに猿楽(さるがく)、白拍子(しらびょうし)、舞楽(ぶがく)、風流(ふりゅう)、今様(いまよう)、朗詠(ろうえい)、小歌(こうた)など上代から中世に栄えた雑多な芸能が加わっていた。しかし、延年というまとまった芸能はなく、各種多様な芸能が行われていたので、鎌倉時代には延年を乱遊ともいった。延年の流行とともに、寺院においては遊僧(ゆそう)とよばれる芸能に巧みな僧が生まれた。東大寺、法隆寺、園城寺(おんじょうじ)、興福寺、多武峯(とうのみね)(現、談山(だんざん)神社)、周防(すおう)(山口県)仁平寺(にんぺいじ)、奥州平泉の中尊寺、同毛越寺(もうつうじ)などの延年が有名であった。多武峯延年には開口(かいこう)、連事(つらね)(「れんじ」とも)、大(だい)風流、小(こ)風流などが行われており、大風流、小風流には古い猿楽能を彷彿(ほうふつ)させるものがあった。興福寺延年には寄楽(よせがく)、振舞(えんぶ)、舞催(ぶもよおし)、僉議(せんぎ)、披露(ひろう)、開口、射払(いはらい)、間駈(あいがけ)、連事、糸綸(いとより)、遊僧、風流、相乱拍子(あいらんびょうし)、火掛(ひがかり)、白拍子、当弁(とうべん)、走(はしり)、散楽(ちりがく)などの曲が行われていた。中尊寺や毛越寺の延年では呼立(よびたて)、田楽踊(でんがくおどり)、路舞(ろまい)、祝詞(のっと)、老女、若女、児舞(ちごまい)、京殿舞(きょうでんまい)、「延年」、舞楽などという曲が今日も行われているが、その曲目中、老女、若女、京殿舞は古い猿楽を想像させるし、「延年」とよんでいる留鳥(とめとり)、卒都婆小町(そとばこまち)、女郎花(おみなめし)、伯母捨山(おばすてやま)の四番の古能の構成は、今日の能が完成する直前を思わせるものである。延年のなかのさらに狭義の「延年」として、能完成直前の古い能が行われているところに、延年のなかから能が発展していった過程を知ることができる。延年は日本芸能を育てた温床の場としてその文化史的意義は大きい。
現存する延年には、岩手県西磐井(にしいわい)郡平泉町の毛越寺(1月20日)、同中尊寺(5月4日)のほかに、栃木県日光市の輪王寺(りんのうじ)(5月17日)、岐阜県郡上(ぐじょう)市白鳥(しろとり)町の長滝(ながたき)延年(1月6日)、島根県隠岐(おき)国分寺(隠岐の島町)の蓮華会舞(れんげえまい)(4月21日)などがあり、現在もなお昔のおもかげを伝えている。
[後藤 淑]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店)』▽『本田安次著『延年資料その他』(1948・能楽書林)』▽『林屋辰三郎著『中世芸能史の研究』(1960・岩波書店)』
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えん‐ねん【延年】
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旺文社日本史事典 三訂版
延年
えんねん
田楽 (でんがく) ・猿楽 (さるがく) の影響をうけ,寺院芸能として発生。東大寺・興福寺や延暦寺で大きな法会 (ほうえ) のあとなどに境内で行われ,遊僧という舞専門の僧と稚児 (ちご) が舞い,演技種目も多彩であった。現在,平泉毛越 (もうつ) 寺・広島県厳島神社などに伝承されている。
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デジタル大辞泉
えん‐ねん【延年】
2 「延年舞」の略。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
延年 えんねん
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