●式年遷宮【しきねんせんぐう】
知恵蔵
式年遷宮
伊勢神宮の式年遷宮は飛鳥時代に天武天皇が定めた行事で、「常若(とこわか)」の思想に根ざすとされる。「常若」とは、常に新しく清浄であることを尊ぶ考え。伊勢神宮は天地神明造りと呼ばれる茅葺(かやぶ)き屋根、白木柱の掘っ立てによる弥生時代の様式を受け継ぐ高床式の社殿からなる。このため、経年変化による老朽化を嫌って、一定の期間で社殿の更新をすることにしたと考えられている。685年に天武天皇が制定し、690年の持統天皇の代に最初の式年遷宮が行われた。戦国時代など、100年以上にわたり中断や延期を余儀なくされた時期もあるが、1300年以上もおよそ同じ形式を保って続いてきた。定期的に遷宮を行うため、新旧の社殿の用地が隣接して確保され、造営技術も伝承されてきた。式年遷宮を巡り多種多様な祭事が行われ、皇族や神官のみならず神領民や信徒も多数参加する大規模なものである。このため伊勢参りとともに地元にもたらす経済効果は大きく、現在では奉祝コンサートなども行われて地域の観光の核となっている。
2005年から第62回式年遷宮が進められ、13年には神体を新しい社殿に移す儀式である遷御が行われる。なお、同年には島根県の出雲大社でも60年ぶりに「平成の大遷宮」が実施された。出雲大社の遷宮は、その周期を神事的な根拠によって定めているわけではなく、年月を経て老朽化した大屋根の葺き替えや修造・修繕のために行われる。このためおよそ60~70年程度で実施されているが、「式年」というような概念はない。
(金谷俊秀 ライター / 2013年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
朝日新聞掲載「キーワード」
式年遷宮
(2013-10-03 朝日新聞 朝刊 1総合)
出典:朝日新聞掲載「キーワード」
世界大百科事典 第2版
しきねんせんぐう【式年遷宮】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
式年遷宮
しきねんせんぐう
一定の周期ごとに新殿を造営して旧殿の神体を移すことをいう。伊勢(いせ)神宮の20年一度の式年遷宮はもっとも有名。
[岡田荘司]
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精選版 日本国語大辞典
しきねん‐せんぐう【式年遷宮】
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旺文社日本史事典 三訂版
式年遷宮
しきねんせんぐう
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デジタル大辞泉
しきねん‐せんぐう【式年遷宮】
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