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後腹膜腫瘍【こうふくまくしゅよう】

家庭医学館

こうふくまくしゅよう【後腹膜腫瘍】
 後腹膜腔(こうふくまくくう)というのは、壁側腹膜(へきそくふくまく)と後腹壁(こうふくへき)の間にある腰仙部(ようせんぶ)領域で、第12胸椎(きょうつい)から骨盤上線(こつばんじょうせん)までをいいます(図「腹部の横断面」)。ここには腎臓(じんぞう)、脾臓(ひぞう)、副腎(ふくじん)などの臓器がありますが、それら以外の、臓器の形をしていない脂肪組織や結合組織などから発生した腫瘍が後腹膜腫瘍です。良性悪性がありますが、悪性が多くみられます。
 おもな症状は、腫瘍による圧排(あっぱい)(圧迫感)と、浸潤(しんじゅん)(がん細胞が組織を侵すこと)による腹痛腫瘤(しゅりゅう)の触知(しょくち)(外からしこりを触れる)、消化管の不定愁訴(ふていしゅうそ)(違和感)などです。
 超音波検査、CT検査、シンチグラムなどで調べて診断されます。
 治療は腫瘤を摘出することですが、大きく広がって摘出できないときは、抗がん剤、放射線治療が行なわれます。
 悪性の場合、進行してから見つかることが多いので、予後(治療後の経過)はあまりよくありません。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

内科学 第10版

後腹膜腫瘍(後腹膜腫瘍ほか,腹膜疾患)
(1)後腹膜腫瘍概念・定義
 後腹膜腫瘤は臓側腹膜の背側で両側腰方形筋に囲まれた後腹膜腔内より発生した腫瘍の総称である.後腹膜に存在する実質臓器より発生した腫瘍は除外される.後腹膜腫瘍の約80%は悪性腫瘍であるとされてきたが,近年,画像診断の発達により良性の腫瘍が発見される機会が多くなってきている.悪性リンパ腫が多いが,それを除くと,悪性腫瘍では脂肪肉腫が最も多く,平滑筋肉腫,悪性線維性組織球腫と続く.良性腫瘍では奇形腫,神経鞘腫,脂肪腫,リンパ管腫などが比較的多く認められる.
臨床症状
 初期にはほとんど症状を示さず,腫瘍が増大して周辺臓器を圧迫,浸潤することにより症状が出現する(発見時の腫瘍の大きさの中央値は約15 cmである).腹痛,背部痛,腫瘤触知が一般的な症状であるが,消化管の圧迫によりイレウス症状が,血管,リンパ管の圧迫により下腿の浮腫やしびれ,脱力などの症状が現れる.
特徴
ここでは頻度の多い3種類の後腹膜肉腫の特徴を示す.
1)脂肪肉腫
低悪性度の高分化型が最も多い.ほかに高悪性度の脱分化型,粘液型,円形細胞型,多形型などがある.低悪性度では転移がみられないのに対し,高悪性度では高率に遠隔転移をきたし予後不良である.PPARγのリガンドは糖尿病治療薬として使われているが,PPARγは脂肪細胞の終末分化因子であり,同リガンドにより脂肪肉腫細胞に分化を誘導をさせる可能性が考えられ治療が試みられているがまだ効果は不明である(Debrockら, 2003).
2)平滑筋肉腫:
多くの場合,下大静脈とその枝から発生する.脂肪肉腫と異なり肺転移を高率にきたす.片側の下腿浮腫を契機に見つかることが多く,発見時に肺転移を合併していることが多い.まれに消化管や子宮から発生する場合がありその場合は腹膜播種や肝転移を起こしやすい.
3)悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histio­­cytoma:MFH):
中高齢者の四肢近位部および後腹膜に多くみられる.組織学的には低分化の多形性の悪性軟部腫瘍である.組織学的には,線維芽細胞様細胞と組織球様細胞を有する低分化の多形性の腫瘍であり,通常型,粘液型,巨細胞型,炎症型,類血管腫型に分類される.
診断
 確定診断には経皮的針生検などで組織診断を得ることが必要である.CT,MRIなどの画像検査も重要であり,大きさ,局在,腫瘍成分の評価に加え周囲臓器,血管との位置関係の把握が可能である(図8-10-3).脂肪肉腫はCTでほぼ診断でき,平滑筋肉腫では壊死や囊胞性変性を示すことがある.神経由来の腫瘍では石灰化を含む場合がある.
治療
 後腹膜肉腫のすべてで外科的切除が完治の唯一の方法である.しかし後腹膜腫瘍は発見時に手術不能なことも多く,完全切除しえるのは約50%とされる.完全切除率を向上するため術前の化学放射線療法が研究されているが,確立されていない.完全切除ができなかった症例に対しては術後の補助放射線療法も行われるが,完全切除しえた症例に対する術後の補助放射線療法は予後を改善しないとされる.腫瘍を取りきれない場合の腫瘍減量手術は,低悪性度の脂肪肉腫に対してのみ腫瘍切除を繰り返すことにより予後が改善するがその他の腫瘍においては予後を改善しないため推奨されない.
予後
 後腹膜肉腫全体での5年生存率は40~60%である.四肢,体幹原発の肉腫と比べ局所再発が多く一般的に予後が悪い.遠隔転移は多くの場合肺,肝に認められる.[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.

出典:内科学 第10版
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